留学生採用の注意点:労働時間制限と資格外活動の基本ルール
留学生をアルバイト採用する企業は、資格外活動許可と「連続する7日間で28時間以内」というルールを守らなければなりません。
この制限を超えると、留学生本人だけでなく企業側も不法就労助長として行政処分や刑事罰の対象になります。
【この記事のポイント】
- 留学生バイトは「資格外活動許可」と「週28時間(連続7日)」の両方を押さえることが必須。
- 28時間ルールは「日曜〜土曜」ではなく「どの日から数えても7日間で合計28時間以内」で管理する必要がある。
- 違反すると、留学生の退去強制だけでなく、企業は最長5年間新たな外国人を雇えないなど重いリスクを負う。
この記事の結論
- 一言で言うと「28時間ルールを“シフト管理”で守れない会社は、留学生を採用すべきではない」です。
- 最も重要なのは、「資格外活動許可の有無」と「連続する7日間で28時間以内」のダブルチェック体制を整えることです。
- 失敗しないためには、「掛け持ちバイトの合計時間」を本人任せにせず、タイムカードとヒアリングで見える化することです。
資格外活動と28時間ルールの「本当の」基本
資格外活動許可とは何か(まず押さえるべき土台)
資格外活動許可は、「本来は働けない在留資格の外国人が、学業や本来の活動に支障がない範囲でアルバイトなどの就労を行うための特別な許可」です。
留学生の在留資格「留学」は原則就労が認められていないため、コンビニや飲食店でレジに立っている留学生は、ほぼ例外なくこの許可を持っています。
出入国在留管理庁の公的情報でも、「留学」の在留資格で収入を伴う活動を行う場合には資格外活動許可が必要と明示されています。
正直なところ、現場では「在留カードさえあれば働ける」と勘違いしている店長も少なくありません。
面接時に在留カードだけチェックして、「アルバイトOK」の表示を見て安心してしまうパターンです。
実は、在留カードの裏面やシールに「資格外活動許可:許可」の記載があるかどうかを見ていないケースが驚くほど多いのです。
弊社が以前サポートした都内の飲食チェーンでは、新任店長がその点を見落とし、留学生スタッフが無許可で2か月ほど働いていたことが後から発覚しました。
会社としてはすぐに法務部と行政書士に相談し、本人のシフトをゼロにする措置を取りましたが、ヒヤリとした空気は数週間店舗に残っていました。
週28時間ルールの本質は「連続7日間」
多くの企業担当者が誤解しやすいのが、「週28時間」の“週”の意味です。
出入国在留管理庁が示すルールでは、留学生が資格外活動許可のもとでアルバイトできるのは「1週について28時間以内」とされますが、この1週は「日曜日〜土曜日」ではなく、「どの曜日から数えても連続する7日間」のことです。
よくあるのが、「今週は日曜に10時間、月曜に8時間、火曜に8時間入っても、日〜土で見れば26時間だからOK」と考えてしまう運用です。
ところが、火曜日からさかのぼって連続7日間を見た場合、別のアルバイト先との合計で28時間を超えてしまうことが普通にあり得ます。
ケースによりますが、掛け持ちをしている留学生ほどこの「7日間の窓」が複雑になり、本人も完全に把握できていないことが多いのが実情です。
実際、以前ご相談を受けた都内のコンビニオーナーは、週のシフト表だけを見て「うちでは25時間以内だから大丈夫」と思い込んでいました。
しかし、留学生本人のスマホのカレンダーを一緒に見ていくと、別の飲食店と合わせた労働時間が「火曜スタートの7日間」で32時間になっていたのです。
この瞬間、オーナーが小さくため息をつきながら、「ちゃんと聞いたつもりだったんだけどな…」とつぶやいた表情を、今でもよく覚えています。
長期休暇中の「1日8時間」との関係
留学生のアルバイトは原則「連続7日間で28時間」ですが、学則上の長期休暇(夏休み・春休み・冬休みなど)の期間中は、1日8時間まで働くことが認められます。
出入国在留管理庁も、教育機関の長期休業期間中は「1日について8時間以内」の収入を伴う活動を許容すると示しています。
ただし、正直なところここでまた混乱が起きやすいポイントがあります。
「長期休暇中は週40時間までOKだから、28時間ルールは消える」と誤解されがちですが、これは間違いです。
長期休暇中は労働基準法上の一般的な上限(1週40時間)を意識する必要が出てきますが、資格外活動許可に基づく「連続7日間で28時間」の制限は基本的に残ると解釈されているため、企業側は実務としてより厳しい方を基準に運用せざるを得ません。
弊社がサポートした学習塾チェーンでは、春期講習で留学生講師に1日7時間×5日=35時間を入れたいという要望がありました。
法務アドバイザーに確認すると、「在留資格と資格外活動許可の観点からはリスクが高い」との判断で、1日6時間×4日+4時間=計28時間に抑えるシフトに急遽組み直したことがあります。
塾長は「せっかく戦力になってくれているのに、もっと入ってほしいのが本音なんだけどね」と苦笑いしていましたが、安全側に倒したことで、後々の不安はかなり軽くなったと話していました。
現場でよくある失敗とリスク
掛け持ちバイトの「見えない時間」
留学生アルバイトで最も現場トラブルにつながりやすいのが、「掛け持ち先の労働時間が会社側から見えない」という点です。
よくあるのが、面接時に「他のバイトはしていない?」と一度だけ聞いて、「していません」の答えをそのまま信じてしまうパターン。
採用後、生活費や学費の事情から新しくバイトを始めていても、誰も気付かないまま時間だけが積み上がっていきます。
実は、留学生本人も「ここまでなら大丈夫だろう」と曖昧な感覚でシフトを入れていることが少なくありません。
シフト表を見ながら「この週はちょっと多いかも」と思いつつ、断りづらくてついそのまま受けてしまう。
夜、自宅に帰ってスマホのカレンダーを見返しながら、「あれ、これって28時間超えてるかも…」と小さく息を吐く、そんな姿を何度も見てきました。
弊社が関わったある食品工場では、留学生スタッフが3つのアルバイトを掛け持ちしており、合計時間が28時間を超えていたことが、半年後の入管の調査で発覚しました。
工場側は「うちのタイムカードではいつも20時間以内だった」と主張しましたが、「合計で28時間を超えることを認識し、是正する義務があった」と指摘され、最終的に不法就労助長のリスクを強く警告されました。
あの時の総務担当者の「本人に任せきりにしたのは、完全にこちらのミスでした」という言葉は、今でも他社にお話しする“反面教師のエピソード”として使わせていただいています。
タイムカードと実働がズレる「サービス残業」
もう一つ見過ごされがちなのが、タイムカードと実働時間のズレです。
例えば、タイムカード上は「22:00退勤」なのに、片付けやレジ締めで実際には22:30まで残っているケース。
日本人スタッフならまだ36協定などで残業がカバーされる場面もありますが、28時間ルールの対象者にはそもそも時間外労働が許可されていません。
よくあるのが、「5分、10分くらいならタイムカードは切ってから作業しようか」という“善意のサービス残業”です。
ケースによりますが、こうした小さな積み重ねが、1か月後には2〜3時間、半年後には十数時間という「見えない労働時間」になってしまいます。
そして入管側は、ヒアリングや実地調査でこうした運用をかなり細かく見ています。
以前、都内のドラッグストアでヒアリングをしたとき、留学生スタッフが「タイムカードは少し早めに押すように言われています」と何気なく答えた瞬間、店長が一瞬言葉に詰まったのを覚えています。
その後、会社全体で「タイムカードと実働時間を一致させる」運用に切り替え、退勤後の作業を一切禁止するルールを明文化しました。
地味な改善ですが、「これなら堂々と入管に説明できる」と店長の表情が少し柔らかくなったのが印象的でした。
28時間ルール違反のリスクは「企業側」も重い
出入国在留管理庁は、不法就労を行った外国人本人だけでなく、雇用主にも厳しい責任を課しています。
留学生が資格外活動許可の範囲を超えて働いた場合、不法就労とみなされ、場合によっては退去強制や在留資格の取り消しにつながる可能性があります。
さらに重いのが、企業側の「不法就労助長罪」です。
不法就労と知りながら、または重大な過失により気付かずに外国人を働かせた場合、刑事罰の対象となり、罰金や懲役が科される可能性があります。
公的な案内でも、こうした刑罰に加え、「処罰を受けた企業は、その後5年間にわたって新たな外国人の受け入れが制限される」ことが明記されています。
弊社が見てきた中で印象的だったのは、地方の製造業のケースです。
留学生アルバイトの28時間ルール違反が繰り返され、入管の指導を受けた結果、特定技能や技能実習での受け入れ計画が一時凍結になりました。
工場長は「正直なところ、留学生の労働時間管理をここまで重く見ていなかった」と話し、外国人戦力に依存していた生産ラインの見直しを余儀なくされました。
この一件で、「28時間ルールは“アルバイトの話”ではなく、“会社の経営リスク”の話だ」と気付いた経営者は多かったはずです。
現場で実際に機能する管理・運用のコツ
採用時に必ず確認すべき3つのポイント
留学生を採用するときに、最低限チェックしておきたいのは次の3点です。
- 在留カードの在留資格が「留学」かどうか
- 在留カード裏面またはシールに「資格外活動許可:許可」の記載があるか
- 学校名・在籍状況(退学・休学になっていないか)
正直なところ、③の「在籍状況」は軽視されがちです。
実は、留学生が退学や除籍になると「留学」の在留資格を維持できなくなる場合があり、その状態でアルバイトを続けると不法就労になるリスクが一気に高まります。
弊社がサポートした飲食チェーンでは、学校の在籍証明書のコピーを初回提出してもらい、半年に一度だけ更新をお願いする仕組みを作りました。
最初は「そこまでやるの?」と現場から抵抗もありましたが、一度ルール化してしまうと、むしろ「確認しておいた方が安心」という空気に変わりました。
また、面接時には「現在のアルバイト先と週の勤務時間」を必ずヒアリングし、簡単なメモを残すことをおすすめします。
ある都内のカフェチェーンでは、面接シートの項目に「他社の勤務:店名・1週あたりの時間」を追加しただけで、後のトラブルが大きく減りました。
「ここで嘘をつくと、入管の調査でバレる可能性がある」というメッセージを最初に伝えておくと、留学生側も慎重になります。
シフト管理の「3つの工夫」で28時間を守る
週28時間ルールを現場で守るには、シンプルですが効果の高い工夫がいくつかあります。
- 1シフトの上限時間を決める(例:1日最大6時間)
- 掛け持ちがあるスタッフほど、「週3〜4日勤務」に分散させる
- シフト作成時に「7日間の窓」で合計時間をざっくりチェックする
ケースによりますが、1日に長時間入れてしまうと7日間の合計が一気に28時間に近づき、別のバイト先の影響を受けやすくなります。
弊社が関わったコンビニチェーンでは、「留学生スタッフは1日5時間まで」というルールを試験導入しました。
最初は「人が足りない時間帯に長く入ってもらえない」と不安が出ましたが、結果的にはシフトの分散でピークタイムの人員配置が安定し、「売上も変わらず、リスクだけ減った」とエリアマネージャーが話していました。
もう一つ実務的なポイントとして、「週」ではなく「月単位」の売上や人件費で頭がいっぱいになっていると、7日間の感覚が薄れがちです。
そこで、あるアパレル店では、店長のスマホのカレンダーに「○○さんの直近7日間合計」というメモを週に1回だけつける運用を始めました。
手作業ではありますが、「あ、このペースだと来週超えそうだな」と気付けることで、早めにシフト調整ができるようになりました。
「最初は半信半疑」から始まったフォーマット導入事例
ある中規模スーパーの事例をご紹介します。
留学生スタッフが増え、28時間ルールの管理に不安を感じた人事担当者から、「何かシンプルな管理シートは作れませんか?」とご相談を受けました。
最初は、現場から「そんな紙、誰も見ないですよ」「また書類が増えるだけじゃないですか」と少し冷ややかな声もありました。
そこで作ったのが、「留学生シフト確認シート」です。
内容は次の3点だけ。
- 週ごとに「本人申告の他社勤務時間」を記入
- 自社の予定勤務時間を足し算して「7日間の合計」を確認
- 28時間を超えそうな場合は、その場でシフトを削る
導入初週、ある店舗で「他社20時間+自社12時間=32時間」というパターンがシート上で発覚し、その場でシフトを2時間分減らす調整を行いました。
留学生スタッフは「すみません…」と申し訳なさそうにしていましたが、店長は「いや、シートを書いたおかげでセーフになったんだから、むしろ良かったよ」と笑っていました。
数か月後、同じ店長が「最初は半信半疑だったけど、この紙がない生活には戻れないですね」とぽろっと言った一言が、とても印象に残っています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 留学生バイトの「週28時間」は、具体的にどう計算すればよいですか?
A1. どの曜日から数えても連続する7日間の総労働時間が28時間以内になるように計算します。
日曜〜土曜の区切りではない点が重要です。
Q2. 夏休みなどの長期休暇中は、週40時間まで働けますか?
A2. 長期休暇中は1日8時間まで働くことが認められますが、資格外活動許可に基づく28時間制限を踏まえ、より厳しい基準で運用するのが安全です。
Q3. 留学生が資格外活動許可を持っているか、どこで確認できますか?
A3. 在留カードの裏面または貼付されているシールに「資格外活動許可」の記載があります。
採用時に必ず現物で確認しましょう。
Q4. 28時間を1〜2時間だけ超えてしまった場合でも、不法就労になりますか?
A4. 時間超過の程度にかかわらず、許可された範囲を超えていれば不法就労に該当する可能性があります。
企業側も不法就労助長罪のリスクを負います。
Q5. 掛け持ち先の勤務時間まで管理しなければいけませんか?
A5. 法的に「すべてを把握せよ」と明記されているわけではありませんが、合計28時間を超えないように確認・是正する努力義務があると考えるべきです。
Q6. タイムカード上は28時間以内でも、実働が超えていたらアウトですか?
A6. 実際に働いた時間が基準となるため、サービス残業などで実働が28時間を超えていれば違反と見なされる可能性が高いです。
Q7. 28時間ルールを守らなかった場合、企業にはどんなペナルティがありますか?
A7. 不法就労助長罪として罰金や懲役などの刑事罰を受ける可能性があるうえ、その後5年間、外国人の新規受け入れが制限される場合があります。
Q8. 留学生が退学・休学しても、資格外活動許可があれば働き続けてよいですか?
A8. 留学の在留資格の前提が崩れるため、就労を続ければ不法就労となるリスクが高いです。
在籍状況の確認は必須です。
まとめ:留学生採用の「今すぐ見直すべきポイント」
- 28時間ルールは「連続する7日間で合計28時間以内」。
- 在留カードと資格外活動許可、学校の在籍状況は採用時に必ずチェック。
- 掛け持ちバイトの有無と週あたりの時間は、面接時と定期的なヒアリングで確認。
- シフトは「1日あたりの上限時間」と「週3〜4日勤務」の組み合わせで運用すると安全。
- タイムカードと実働時間を一致させ、サービス残業を慣習として残さない。
- 違反は留学生本人だけでなく、企業にも刑事罰と5年間の受け入れ制限など重いリスク。
「正直なところ、ここまで細かく管理するのは手間だ」と感じるかもしれません。
とはいえ、一度28時間ルール違反で指摘を受けると、その後の採用戦略や現場の空気は一変します。
こういう企業様は今すぐご相談ください。
- 既に複数の留学生を採用していて、労働時間の合計を本人任せにしている企業
- 長期休暇中に留学生に長時間シフトを組んでいるが、ルールの解釈に不安がある店舗
- 今後、特定技能や技人国ビザでの外国人採用も広げていきたい事業者
この状態ならまだ間に合う、というラインは「入管からの正式な指導や調査が入る前」です。
迷っているなら、自社の現状のシフト表と在留カードの確認方法を一度棚卸しし、必要であれば専門家や行政書士にチェックしてもらうことをおすすめします。
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