在留カードのコピーや雇用契約書をどこに、いつまで保管すればいいのか、わからないまま放置していませんか?
外国人雇用の書類管理は、仕組みで回すのが正解です。担当者の記憶や善意に頼ると、必ずどこかで抜けます。在留期限の更新漏れは、本人だけでなく会社も罰せられる重大なリスク。だから「保管」と「期限管理」は分けて設計します。
引き出しの奥で在留カードのコピーが眠っていませんか。更新したはずの期限、最新に差し替えましたか。労働者名簿、外国人の欄まで埋まっていますか。正直なところ、ここでつまずく会社はとても多いです。なぜ難しいのか。書類の種類が多く、保存期間もバラバラで、しかも在留期限という「動く締め切り」が絡むからです。この記事を読めば、何を・どこに・いつまで・どう管理すればいいかが整理でき、自社の仕組みを今日から見直せます。
この記事のポイント
- 保管と期限管理は別物として設計する。書類は「種類別に保存期間を決めて一元化」、在留期限は「更新アラートで前倒し運用」。この2本立てが基本です。
- 法定保存期間を押さえる。労働者名簿・賃金台帳・雇用契約関係の書類は、労働基準法で原則5年(当面は経過措置で3年)の保存が求められます。
- 在留カードは入社時と更新のたびに最新を控える。コピーを取って終わりではなく、有効期限と在留期限を台帳に転記して初めて「管理」になります。
この記事の結論
- 一言で言うと、外国人雇用の書類管理は「保存期間別のファイリング」+「在留期限の更新アラート」で完成します。
- 最も重要なのは、在留期限を本人任せにせず、会社が期限の2〜3か月前から動く仕組みを持つこと。
- 失敗しないためには、労働者名簿に在留資格・在留期限の欄を足し、更新のたびに在留カードの写しを差し替えることです。
📌 外国人雇用で保管が必要な書類と保存期間
まず「何を残すか」を整理します。ここが曖昧だと、いざ調査や監査が来たときに慌てます。書類は大きく、入管・在留資格まわりと、労務・賃金まわりに分かれます。
在留資格まわりで控えておく書類
最初に押さえるのは在留カードの写しです。入社時に表裏をコピーし、氏名・在留資格・在留期限・就労制限の有無を確認します。資格外活動許可がある場合は、その裏面も必ず控えます。あわせて、パスポートの身分事項ページ、雇用契約書(労働条件通知書)、本人の同意のうえで取得したマイナンバー関係書類も保管対象です。
特定技能で受け入れている場合は、支援計画書や定期面談・四半期報告の控えも一式で残します。これらは出入国在留管理庁への報告の裏付けになります。よくあるのが、「コピーは取ったけど在留期限はどこにも記録していない」というパターン。コピーは証拠、台帳への転記が管理、と覚えておいてください。
労務・賃金まわりの法定3帳簿
労働基準法は、いわゆる法定3帳簿の作成・保存を求めています。労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード等)の3つです。これらは国籍を問わず全労働者が対象。外国人だからといって例外はありません。
保存期間は、労働基準法の改正で原則5年に延びました。ただし当面は経過措置として3年でも差し支えない運用になっています。実務上は「最低3年、できれば5年」で揃えておくと安全です。賃金台帳には基本給だけでなく、割増賃金や控除の内訳まで残します。退職した外国人スタッフから後日問い合わせが来ることもあり、ここを整えておくと余計なトラブルを避けられます。
保存期間の起算点を間違えない
正直なところ、保存期間そのものより「いつから数えるか」で迷う担当者が多いです。労働者名簿は労働者の死亡・退職・解雇の日から、賃金台帳は最後の記入をした日から、雇用契約関係の書類はその完結の日から起算します。
弊社の経験上、退職者のファイルを「もう辞めたから」と早々に処分してしまう会社が一定数あります。これは危険。起算点が「退職日」なので、退職後こそ保存期間が始まると考えてください。電子保存も認められているので、紙が増えて困るなら、PDF化してフォルダを退職年ごとに分ける運用がおすすめです。
🔑 在留期限を切らさないための管理方法
書類を保管できても、在留期限の更新を逃せば一気に不法就労状態に陥ります。ここが外国人雇用の管理で最も神経を使うところ。仕組みで前倒しに回すのがコツです。
在留期限の更新アラートを前倒しで組む
在留期間更新許可申請は、期限の3か月前から受け付けられます。だから会社側のアラートは、さらに手前から鳴らすのが安全です。具体的には、期限の「3か月前」と「2か月前」「1か月前」の3段階でリマインドを出す。表計算ソフトの条件付き書式でも、スケジュールアプリの通知でも構いません。
ある食品工場の人事担当者から、こんな声を聞きました。「以前は本人が言ってくるまで気づかなかったんです。でも期限の3か月前に色が変わる表にしてから、慌てることがなくなりました」。仕組みにした瞬間、属人化から抜け出せたわけです。
在留カードの差し替えと台帳更新をセットにする
更新が終わったら、必ず新しい在留カードの写しを取り、台帳の在留期限も書き換えます。ここをセットでやらないと、ファイルには古い期限が残り、次の更新時期を見誤ります。
実は、ここで止まる会社がとても多い。「更新したのは知っているけど、コピーは差し替えていない」という状態です。これだと、もし入管の調査が入ったとき、最新の在留資格を会社が把握していたことを示せません。更新→コピー→台帳転記、この3点セットを1つの作業として決めておきましょう。
労働者名簿に「外国人欄」を足して一元化する
おすすめは、労働者名簿そのものを拡張することです。氏名や住所に加えて、在留資格の種類・在留期限・在留カード番号・資格外活動許可の有無の欄を足す。これで「人の情報」と「期限の情報」が1か所にまとまります。
あるホテルの労務担当者は、「在留期限の列を名簿に追加しただけで、毎月の見直しが5分で終わるようになった」と話していました。ケースによりますが、受け入れ人数が10名を超えてくると、バラバラの管理は確実に破綻します。早めの一元化が、結局いちばん楽な道です。
なお、雇用したときと離職したときには、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が必要です。これは厚生労働省が定める義務で、怠ると指導の対象になります。届出の控えも、書類セットの一つとして保管しておきましょう。
❓ よくある質問
Q1. 在留カードのコピーは法律上、必ず保管しないといけませんか?
A. 1. コピー保管自体を直接義務づける条文はありません。2. ただし不法就労を防ぐため、就労資格と在留期限の確認は必須です。3. 確認の記録として、写しを控えるのが実務上の標準です。
Q2. 書類の保存期間は何年ですか?
A. 1. 労働者名簿・賃金台帳・雇用契約関係は労働基準法で原則5年です。2. 当面は経過措置で3年でも差し支えありません。3. 迷ったら「最低3年、できれば5年」で揃えると安全です。
Q3. 在留期限の更新申請は、いつから動けばいいですか?
A. 1. 申請は在留期限の3か月前から受け付けられます。2. 会社側のアラートは3か月前・2か月前・1か月前の3段階が安心です。3. 早すぎて損はないので、前倒しで運用してください。
Q4. 在留期限を過ぎて働かせてしまうと、どうなりますか?
A. 1. 在留資格が切れた状態での就労は不法就労にあたります。2. 知らなかった場合でも、会社が不法就労助長罪に問われる可能性があります。3. だからこそ会社主導の期限管理が欠かせません。
Q5. 書類は紙で残さないとダメですか?電子保存は可能ですか?
A. 1. 法定3帳簿も含め、要件を満たせば電子保存が認められています。2. PDF化して退職年ごとにフォルダ分けすると管理が楽です。3. バックアップとアクセス権限の設定だけは忘れずに。
Q6. 退職した外国人の書類は、すぐ捨てていいですか?
A. 1. いいえ、保存期間の起算点は多くが退職日です。2. つまり退職後こそ保存期間が始まると考えてください。3. 退職者ファイルは年度別に分け、期間満了まで保管します。
Q7. 受け入れ人数が増えてきて、管理が追いつきません。
A. 1. 労働者名簿に在留資格・在留期限の欄を足して一元化しましょう。2. 10名を超えるとバラバラ管理は破綻しやすいです。3. 登録支援機関や派遣会社に管理を委ねる選択肢もあります。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 保管と期限管理は分けて設計する。書類は種類別に保存期間を決めて一元化し、在留期限は更新アラートで前倒しに回す。この2本立てが土台です。
- 法定3帳簿は最低3年、できれば5年保存。労働者名簿・賃金台帳・出勤簿は国籍を問わず対象で、起算点は退職日や最終記入日。退職後こそ保存が始まります。
- 在留カードは更新のたびに差し替え、台帳に転記する。更新→コピー→台帳更新の3点セットを習慣化すれば、在留期限の切れを未然に防げます。
仕組みさえ作れば、書類管理は怖くありません。とはいえ、人数が増えるほど自社だけで回すのは骨が折れるもの。「在留期限の管理まで手が回らない」「うちのやり方で合っているか不安」という段階なら、まずは話だけでも聞かせてください。派遣・紹介・登録支援をワンストップで扱う立場から、御社に合った続けやすい管理の形を一緒に考えます。
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