偽造在留カードの見抜き方|外国人雇用で騙されないための確認ポイント

採用した外国人の在留カードが偽造ではないかと不安なまま、確認方法も分からず雇っていませんか。

在留カードの偽造は、実在します。精巧なものは見た目で判別できません。そして知らずに雇えば、企業側が不法就労助長罪に問われます。「これ、本物だよね」「でも確かめ方が分からない」「疑うのも失礼な気がして…」。採用担当のそんな迷い、正直よくあります。悪いのは偽造した側であって、警戒するあなたは間違っていません。この記事では、偽造在留カードを見抜くための具体的な確認ポイントと、どこまでやれば「確認した」と言えるのかの判断基準を整理します。読み終える頃には、誰でも同じ手順でチェックできる状態になっているはずです。

この記事のポイント

  • 見た目だけでは見抜けません。 券面の目視確認に加えて、公的なオンライン照会とICチップの読み取りを組み合わせるのが基本です。
  • 確認を怠ると企業が罰せられます。 不法就労助長罪は「知らなかった」では免れにくく、確認した記録を残すことが自衛になります。
  • 判断基準は3つあります。 「番号が失効していないか」「ICチップと券面が一致するか」「在留資格で働けるか」。この順で見れば漏れません。

この記事の結論

  • 一言で言うと、偽造対策の要は「出入国在留管理庁のオンライン照会」と「読取アプリでのICチップ確認」の二本立てです。
  • 最も重要なのは、目視で満足しないこと。券面はコピーできても、失効情報の照会とICチップの改ざんは容易ではありません。
  • 失敗しないためには、確認を採用フローに組み込み、誰がやっても同じ結果になる手順にすること。属人的な「勘」に頼らないことです。
目次

🔍 偽造在留カードを見抜く確認ポイント

まず押さえたいのは、偽造は「巧妙なもの」と「粗いもの」に分かれるという事実です。粗いものは券面の目視で気づけます。巧妙なものは、公的データとの照合でしか見抜けません。両方に備えるのが現実的な守り方になります。

券面で確認するポイント

在留カードには偽造防止の仕組みが複数あります。カードを傾けると、左端のホログラムの絵柄や色が変化します。券面右上には「MOJ(法務省)」の文字が角度で見え隠れする加工が施されています。透かしのように見える細かな印字もあります。粗い偽造では、この光の反射や色の変化が再現しきれていないことが多いのです。

実際、ある食品工場の採用担当の方はこう話していました。「並べて比べたら、偽物はホログラムがのっぺりしていて、傾けても何も動かなかったんです」。本物を一度でも手に取っておくと、違和感に気づきやすくなります。券面の端の切り口が不揃いだったり、印字のフォントがわずかに違ったり、写真の解像度が粗かったり。粗い偽造ほど、こうした小さなほころびが出ます。実際、カード下部の「就労制限の有無」欄と、裏面の資格外活動許可の記載が食い違っていた、という分かりやすい例もありました。とはいえ、券面が完璧でも中身が偽造という例もある。見た目はあくまで一次チェックと考えてください。券面で安心して照会を省く、これが一番危ういパターンです。

オンラインで番号の失効を確認するポイント

最も確実で、しかも無料でできるのがこれです。出入国在留管理庁は「在留カード等番号失効情報照会」というページを公開しています。カード番号(右上のアルファベット2桁+数字8桁)と有効期間の満了日を入力すると、その番号が失効していないかを確認できます。

正直なところ、偽造カードは実在した他人の番号を流用したり、架空の番号を使ったりします。架空番号なら「該当なし」、失効済みの番号を使い回していれば「失効」と表示される。ここで引っかかれば、券面がどれだけきれいでも本物ではないと判断できます。採用の最終確認として、この照会は必ず一度は通してほしい工程です。

ICチップと券面の一致を確認するポイント

在留カードにはICチップが埋め込まれ、券面と同じ情報が記録されています。出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」をスマートフォンやパソコンで使えば、チップ内のデータを読み出し、券面の氏名・生年月日・写真などと一致するかを照合できます。

弊社の経験上、券面だけを作り替えた偽造はここで露呈します。写真だけ貼り替えても、チップ内の写真データまでは書き換えられないからです。「券面の顔とアプリに出た顔が別人だった」というケースも聞きます。目視・オンライン照会・ICチップ読取。この3点がそろって、初めて「確認した」と言えるわけです。

💡 確認を怠ったときのリスクと判断基準

なぜここまで手間をかけるのか。それは、確認を怠った企業側にこそ重い責任が及ぶからです。悪いのは偽造した本人でも、法律は雇った側を厳しく見ます。ここを理解すると、確認作業の位置づけが変わってきます。

不法就労助長罪という企業側のリスク

入管法には不法就労助長罪という定めがあります。就労資格のない外国人を働かせた事業主は、3年以下の懲役や300万円以下の罰金の対象になり得ます。しかも「偽造だと知らなかった」という言い訳は、原則として通用しにくい。過失があれば処罰を免れないと定められているためです。

つまり「確認しようがなかった」ではなく「確認すべきだったのにしなかった」と見なされる危険がある。ここが多くの経営者が見落とすところです。厚生労働省への外国人雇用状況の届出義務もあり、在留資格の管理は雇用主の責務として明確に位置づけられています。

どこまで確認すれば「確認した」と言えるか

では、どこまでやれば十分か。判断基準はシンプルです。①券面の目視、②番号失効情報のオンライン照会、③ICチップの読取照合。この3つを実施し、記録に残していれば、「合理的な確認を尽くした」と説明できる状態になります。

よくあるのが、コピーを一枚もらって満足してしまうパターン。これでは不十分です。ケースによりますが、原本を手に取り、上記3点を通し、日付と担当者名とともに記録する。誰が・いつ・何を確認したかが残っていれば、後から問われても筋道立てて説明できます。具体的には、照会結果の画面と読取アプリの表示をスクリーンショットで保存し、確認日と担当者名を添えて在留カードの写しと一緒にファイルしておくと万全です。この一連を採用フローに固定してしまうのが、最も確実な自衛策になります。人によってやることが変わる、というのが一番の穴になりますから。

疑わしいときの判断基準と対応

もし照会やアプリで不一致が出たら、その場で結論を急がないこと。読み取りエラーや入力ミスの可能性もあるからです。まずは本人に原本の再提示を求め、番号と満了日を再入力し、アプリでもう一度読む。それでも一致しなければ、採用を保留し、専門家や登録支援機関、最寄りの出入国在留管理局に相談してください。

「怪しいけど確証がない」ときこそ、ひとりで抱えないことです。実務では、支援機関に間に入ってもらって本人と冷静に確認を進める例が多い。疑うこと自体は失礼でも違法でもありません。むしろ全員に同じ手順を踏むと決めておけば、特定の誰かを疑う気まずさもなくなります。ルールにしてしまえば、担当者の心理的な負担もぐっと軽くなるはずです。

❓ よくある質問

Q1. 在留カードのコピーだけで確認しても大丈夫ですか?

A. 不十分です。コピーは券面のホログラムやICチップを確認できません。原本を手に取り、目視・オンライン照会・ICチップ読取の3点を通してください。

Q2. 番号の失効照会はどこでできますか?

A. 出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」ページで、無料でできます。カード番号と有効期間満了日を入力するだけで、その場で結果が出ます。

Q3. ICチップはどうやって読み取るのですか?

A. 出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」を使います。スマホやPCでチップ内データを読み出し、券面の氏名・写真などと一致するか照合できます。

Q4. 偽造だと気づかず雇ってしまったら、必ず罰せられますか?

A. 過失があれば不法就労助長罪の対象になり得ます。3年以下の懲役や300万円以下の罰金が定められています。確認を尽くした記録が残っていれば、責任の説明材料になります。

Q5. マイナンバーカードや特別永住者証明書でも確認は同じですか?

A. 特別永住者証明書も同様に失効照会と読取アプリで確認できます。カードの種類ごとに券面の見方は異なるので、まず本物の見本を把握しておくと安心です。

Q6. 確認作業にどれくらい時間がかかりますか?

A. 3点セットでも、慣れれば1人あたり5分程度です。オンライン照会もアプリ読取も数十秒で結果が出るため、採用工程に組み込んでも大きな負担にはなりません。内定通知の面談時にまとめて済ませてしまえば、別日に呼び出す手間もかかりません。

Q7. 自社で確認しきる自信がありません。代行してもらえますか?

A. 登録支援機関や派遣・紹介の事業者が、在留資格の確認を含めて対応できます。弊社では紹介・派遣する外国人材の在留確認を事前に行い、企業側の負担を減らしています。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 見た目だけで判断しない。 ホログラムなどの券面確認に加え、オンライン照会とICチップ読取を必ず組み合わせるのが基本です。
  • 確認は企業を守る自衛策。 不法就労助長罪は過失でも問われ得ます。3点確認を採用フローに固定し、記録を残しましょう。
  • 迷ったら抱え込まない。 不一致が出たら結論を急がず、再確認のうえで登録支援機関や入管に相談するのが安全です。

在留カードの確認は、疑うためではなく、お互いが安心して働くための手順です。まずは自社の採用フローに3点確認が入っているか、見直すところから始めてみてください。外国人採用の進め方や在留資格の確認に不安があれば、話を整理するだけでも構いません。まずは話だけでも、気軽にご相談ください。

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