気に入った外国人スタッフを直接雇用に切り替えたいとき、クーリング期間はどうなりますか?
派遣スタッフの直接雇用への切り替えに、クーリング期間の問題は発生しません。これは大事な結論です。クーリングとは、派遣を一度止めて3か月と1日を空ける仕組みのこと。ところが、直接雇用は派遣を続けるための制度ではありません。だから空白を空ける必要はないのです。
「この子、そのままウチの社員にできないかな」。現場の責任者から、そんな相談を受けることがあります。「でも派遣って途中で引き抜いたら違約金でしょ?」「3年経つまで待たなきゃダメなの?」。実は、この誤解がとても多い。派遣の期間制限とクーリング、そして直接雇用への切り替え。この3つがごちゃ混ぜになって、動けなくなっている企業は少なくありません。この記事では、切り替えの正しい手順と、在留資格の落とし穴、そして「いつやるのが一番いいか」を整理します。読み終わる頃には、自社のケースで何を確認すべきか判断できるはずです。
この記事のポイント
- 直接雇用への切り替えにクーリングは不要です。クーリングは派遣を継続するためのルールであって、正社員化とは目的が別だからです。
- 紹介予定派遣なら切り替えが前提の契約です。あらかじめ直接雇用を見据えて期間を設けるため、手続きも紛争も起きにくいのが特徴。
- 見落としやすいのが在留資格です。派遣で任せていた業務と、直接雇用後の職務内容がズレると就労資格の範囲外になる恐れがあります。
この記事の結論
- 一言で言うと、直接雇用への切り替えにクーリング期間の待機は要りません。
- 最も重要なのは、切り替え前に在留資格の就労範囲と業務内容が一致しているかの確認です。
- 失敗しないためには、派遣元へ早めに意向を伝え、紹介手数料や引き抜きの取り決めを契約書で確認しておくことです。
🔑 派遣から直接雇用へ切り替える正しい手順
まず前提を押さえます。派遣スタッフを自社の社員にする行為そのものは、法律で禁じられていません。むしろ職業安定法や労働者派遣法は、派遣労働者が派遣先で直接雇用されることを後押しする立場です。ここを勘違いしていると、動けるはずの一歩が止まってしまいます。
紹介予定派遣という王道ルート
最もスムーズなのが、紹介予定派遣です。これは、最長6か月の派遣期間を「お試し期間」として設け、そのあとに直接雇用へ移すことを前提にした契約。派遣先と労働者の双方が「一緒に働けそうか」を見極めてから正式雇用に進めます。ミスマッチの不安が大きい外国人採用では、相性のいい使い方ですね。
弊社の経験上、紹介予定派遣を選ぶ企業には共通点があります。「いきなり正社員は怖いけど、応募も来ないから機会は逃したくない」という本音。3か月ほど一緒に働けば、日本語の伸び方も仕事の覚え方も見えてきます。「思っていたより真面目でびっくりした」と、当初の警戒が拍子抜けに変わる担当者は珍しくありません。
通常派遣からでも直接雇用は申し込める
紹介予定派遣でなくても、切り替えは可能です。ここが誤解されがちなところ。通常の派遣契約でも、派遣先が「この人を直接雇いたい」と申し出ること自体に法的な障害はありません。労働者派遣法には、派遣先が同じ人を直接雇用しようとする場合、派遣元がそれを不当に妨げてはならない、という趣旨の規定があります。つまり法律は労働者のキャリアアップを守る側に立っています。
ただし、正直なところ、実務では派遣元との関係が大事になります。派遣会社にとってスタッフは大切な戦力。何の相談もなく引き抜けば、当然いい顔はされません。契約書に「直接雇用時の紹介手数料」や「引き抜きに関する取り決め」が書かれているケースが多いので、まずそこを読み込むのが先決です。
派遣元への意向は「早め・正直に」が鉄則
よくあるのが、直前まで黙っていてトラブルになるパターン。「来月から社員にするので派遣は終わりで」と急に告げれば、派遣元も現場も混乱します。おすすめは、切り替えを考え始めた段階での事前相談です。
実際、あるホテルの支配人からこう言われたことがあります。「派遣会社に悪いかなと思って、ずっと言い出せなくて」。気持ちは分かります。でも、多くの派遣会社は直接雇用への移行を想定した手数料体系を持っています。正直に相談したほうが、手数料も引き継ぎもきれいに片づく。隠すより開示、が結果的に一番スムーズなんですね。
📌 クーリング期間・在留資格・タイミングの見極め
ここからが本題の「気をつけるところ」です。切り替えの可否より、むしろこちらでつまずく企業が多い。クーリング期間の正しい理解、在留資格のチェック、そして動くべきタイミング。順に見ていきます。
クーリング期間は「派遣を続けたいとき」の話
まず、クーリング期間を正確に整理します。労働者派遣には「事業所単位」と「個人単位」で原則3年という期間制限があります。同じ人を同じ部署に派遣できるのは3年まで、というルールですね。この3年をリセットして、また派遣を続けたい場合に、3か月と1日以上の空白期間、すなわちクーリング期間を空ける仕組みがあります。
ここで肝心なのは、クーリングはあくまで「派遣という形を続けるため」の制度だという点。直接雇用はゴールが違います。派遣を延長するのではなく、雇用形態を変えて自社の社員にするわけです。だから3年を待つ必要も、3か月と1日を空ける必要もありません。「3年経たないと社員にできない」というのは、この二つを混同した典型的な勘違いです。むしろ3年の期間制限が近づいたスタッフこそ、直接雇用への切り替えを検討する好機になります。
在留資格の確認を絶対に飛ばさない
切り替えで最も注意すべきは、雇用形態ではなく在留資格です。ここを軽く見て、後で慌てる企業を何度も見てきました。
外国人が働ける範囲は、在留資格ごとに決まっています。たとえば「技術・人文知識・国際業務」なら専門的・技術的な業務が中心で、単純作業は原則対象外。派遣のときに任せていた仕事と、直接雇用後の職務内容が変わると、資格の範囲を外れてしまう恐れがあります。逆に、派遣時と同じ業務を続けるなら問題にならないケースが多い。ケースによりますが、職種が変わる切り替えでは特に慎重さが要ります。
在留カードの就労制限の有無、資格の種類、在留期限。この3点は最低限、切り替え前に必ず確認します。心配なときは、就労資格証明書を取得しておくと安心材料になります。出入国在留管理庁も、雇用主に対して在留資格に応じた適正な雇用を求めており、確認を怠ると不法就労助長のリスクにつながります。厚生労働省の外国人雇用状況の届出でも、雇用形態が変われば届け出直しが必要です。地味ですが、ここは省けません。
切り替えのベストタイミングはいつか
では、いつ動くのがいいのか。実務での目安を挙げます。第一に、本人が「この会社で長く働きたい」と意思を固めたとき。第二に、在留期限の更新が近づき、腰を据えた雇用形態を示したほうが更新に有利なとき。第三に、派遣の3年期限が視野に入ったとき。
現場では、こんな声もありました。ある食品工場の担当者いわく「更新のタイミングで正社員にしたら、本人がすごく安心した顔をして、定着率が変わった」。雇用の安定は、外国人スタッフにとって在留の安定に直結します。だからこそ、更新期や期限の節目は切り替えの自然な区切りになるんですね。焦って早すぎても、待ちすぎて期限に追われても、うまくいきません。本人の意思・在留期限・派遣期限、この3つが重なる地点を狙うのがコツです。
よくある質問
Q1. 派遣から直接雇用への切り替えにクーリング期間は必要ですか?
A. 必要ありません。クーリングは派遣を継続する際に3か月と1日を空けるルールで、直接雇用は目的が別だからです。空白なく切り替えられます。
Q2. 派遣期間の3年が経つまで直接雇用にできないのですか?
A. いいえ、3年を待つ必要はありません。3年はあくまで派遣の期間制限で、直接雇用への切り替えはいつでも申し込めます。むしろ3年前が好機です。
Q3. 直接雇用に切り替えると紹介手数料はかかりますか?
A. 契約内容によります。多くの派遣会社は直接雇用時の手数料体系を持っています。契約書の取り決めを確認し、派遣元へ早めに相談するのが確実です。
Q4. 紹介予定派遣と通常派遣で切り替えやすさは違いますか?
A. 違います。紹介予定派遣は最長6か月で直接雇用を前提にした契約のため手続きが明快です。通常派遣でも切り替えは可能ですが、派遣元との調整が要ります。
Q5. 切り替えで在留資格は変更が必要になりますか?
A. 職務内容が変わらなければ変更不要なことが多いです。ただし業務が資格の範囲を外れる場合は変更申請が必要です。在留カードの就労制限を必ず確認してください。
Q6. 派遣元に切り替えの相談をするのは、いつがよいですか?
A. 検討を始めた段階での事前相談が最善です。直前に告げるとトラブルになりがちです。早めに正直に伝えるほうが、手数料も引き継ぎも整理しやすくなります。
Q7. 直接雇用に切り替えたら定着率は上がりますか?
A. 上がる傾向があります。雇用の安定は在留の安定に直結するためです。特に在留期限の更新期に切り替えると、本人の安心感が高まり定着につながりやすくなります。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 直接雇用への切り替えにクーリング期間は不要です。クーリングは派遣を続けるための制度で、雇用形態を変える正社員化とは目的が異なります。3年を待つ必要もありません。
- 紹介予定派遣を使えば切り替えが前提で進められ、通常派遣からでも直接雇用は申し込めます。鍵は派遣元への早め・正直な相談と、契約書の手数料条項の確認です。
- 最大の落とし穴は在留資格です。派遣時と直接雇用後の職務内容がズレると就労範囲を外れる恐れがあるため、在留カードと資格の種類を切り替え前に必ず確認します。
切り替えは、待つより整えるほうが早く進みます。まずは自社のスタッフの在留資格と契約書を見返すところから始めてみてください。判断に迷ったら、派遣・紹介・登録支援を一社で扱う私たちにご相談いただければ、状況に合った進め方を一緒に整理できます。「まだ切り替えるか決めていない」という段階でも大丈夫。話だけでも、気軽にどうぞ。
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