雇入れ時・定期健康診断は外国人も義務?外国人雇用で漏らさない実施手順

外国人にも健康診断を受けさせる義務があるのか、実施漏れで罰則を受けないか気がかりではありませんか?

結論から言います。健康診断の実施義務に国籍は関係ありません。常時使用する労働者なら、日本人でも外国人でも会社に実施義務があります。雇入れ時と年1回の定期。この2つが柱です。費用は会社負担が原則。怠れば労働安全衛生法で罰則の対象にもなります。

「うちのベトナム人スタッフ、健診って必要なの?」「日本人と同じでいいのかな」「言葉が通じないのに問診票どうしよう」。外国人採用の現場で、こういう小さな疑問が後回しになりがちです。制度が複雑に見えて、つい先送り。でも放置すると罰則や労災トラブルの火種になります。この記事を読めば、外国人にも健診が必要な理由、必要な項目、そして実施漏れを防ぐ具体的な手順まで整理できます。自社で何をすべきか、判断しやすくなるはずです。

この記事のポイント

  • 健康診断の義務に国籍は無関係。常時使用する労働者であれば、在留資格の種類を問わず、雇入れ時と年1回の定期健診を会社が実施する義務があります。
  • 費用は会社負担が原則。業務命令として受けさせる以上、受診費用は事業者が負担するのが基本で、受診時間の賃金の扱いも整理が必要です。
  • 多言語での説明と記録の保存がカギ。言葉の壁で受診させ損ねないよう問診票や案内を工夫し、健診結果は5年間の保存が求められます。

この記事の結論

  • 一言で言うと、外国人だからといって健康診断が免除されることはありません。
  • 最も重要なのは「常時使用する労働者かどうか」の判断で、ここが対象範囲を決めます。
  • 失敗しないためには、採用フローに健診を組み込み、多言語対応と記録保存をセットで仕組み化することです。
目次

🩺 外国人も健康診断は義務?まず押さえる法律の考え方

外国人雇用で意外と抜けやすいのが健康診断です。ビザや在留資格に気を取られ、労務の基本がすっぽり抜ける。よくあるパターンです。ここでは、なぜ外国人にも義務があるのか、その根拠を整理します。

対象は「常時使用する労働者」で国籍は問わない

健康診断の実施義務は、労働安全衛生法とその規則が定めています。対象は「常時使用する労働者」。ここに国籍の条件は一切ありません。厚生労働省も、労働関係の法令は国籍に関わらず適用されると示しています。つまり技能実習生でも特定技能でも、身分系の在留資格でも同じ扱いです。

判断基準はシンプルです。雇用契約に期間の定めがない、あるいは契約更新で1年以上使用が見込まれること。そして週の所定労働時間が、同じ職場の正社員の4分の3以上であること。この2つを満たせば「常時使用する労働者」に当たり、健診義務が発生します。パートやアルバイトでも条件を満たせば対象です。

正直なところ、ここを「外国人は別枠」と勘違いしている企業は少なくありません。実は日本人スタッフとまったく同じ物差しで考えればいいだけなんです。

雇入れ時健診と定期健診、2つの柱

会社が押さえるべき健診は大きく2つ。1つは雇入れ時の健康診断。常時使用する労働者を雇い入れるときに実施します。もう1つは定期健康診断で、1年以内ごとに1回、定期的に行います。この2本柱は外国人にもそのまま当てはまります。

項目も日本人と共通です。既往歴や業務歴の調査、身長・体重・腹囲・視力・聴力、胸部エックス線、血圧、貧血・肝機能・血中脂質・血糖の検査、尿検査、心電図など。有害業務に就く人には特殊健康診断が別途必要になる場合もあります。ここは業種で変わるので、自社の作業内容と照らし合わせてください。

以前、ある食品工場の採用担当の方からこう相談されました。「入社時に健診の証明を出してもらえば、雇入れ時健診は省略できますか?」。答えは条件付きでイエス。入社前3か月以内に受けた健診の結果を本人が提出できれば、重複する項目は省略できます。ケースによりますが、渡日直後の方だと該当しないことも多いですね。

実は費用は会社負担が原則

「健診代は本人に払わせていいの?」。これもよく聞かれます。結論、雇入れ時健診も定期健診も、法律が事業者に実施を義務づけているものです。ですから費用は会社が負担するのが原則。厚生労働省の通達でも、事業者負担が当然という考え方が示されています。

受診にかかった時間の賃金はどうか。ここは少し柔らかい話になります。一般健診の受診時間の賃金は、労使の協議で定めるものとされていますが、円滑な受診のためには会社が支払うことが望ましいとされています。弊社の経験上、賃金を支払う運用にしたほうが、外国人スタッフの受診率は目に見えて上がります。「受けると給料が減る」と誤解されると、そもそも来てくれませんから。

📋 漏らさないための健康診断の実施手順

ここからは実務です。外国人雇用で実施漏れを防ぐには、採用の流れに健診を組み込んでしまうのが一番。手順を3ステップで整理します。

手順1:対象者の洗い出しと雇入れ時健診の手配

まず入社が決まった段階で、その人が「常時使用する労働者」に当たるかを確認します。契約期間と所定労働時間をチェックするだけです。該当すれば、入社日の前後で雇入れ時健診を手配します。

本人が入社前3か月以内の健診結果を持っていないか確認するのも忘れずに。あれば重複項目を省略でき、費用も抑えられます。医療機関には「雇入れ時健診で」と伝えて予約すれば、必要項目をまとめて実施してくれます。予約から結果が出るまで1〜2週間みておくと安心です。繁忙期は枠が埋まりやすいので、内定を出した時点で日程だけ押さえておくと慌てずに済みます。費用は1人あたり1万円前後が目安ですが、項目や地域で幅があります。

手順2:年1回の定期健診をスケジュール化する

雇入れ時で終わりではありません。定期健診は1年以内ごとに1回。ここが抜けやすい落とし穴です。入社時期がバラバラだと管理が煩雑になり、気づけば1人だけ2年近く受けていなかった、なんてことも起こります。

おすすめは、全社員の健診月を年1回にまとめること。毎年◯月に一斉受診と決めておけば、外国人スタッフだけ漏れる事故を防げます。外国人スタッフの多い介護施設の担当者からは「一斉方式にしてから管理がぐっと楽になった」という声をもらいました。名簿に受診日を記録し、翌年の期限を並べて見える化する。地味ですが、これが一番効きます。

手順3:多言語での説明と記録の5年保存

最後が外国人雇用ならではのポイントです。問診票や案内が日本語だけだと、本人が意味を理解できず、既往歴を正しく書けないことがあります。持病の申告漏れは、後の労災や体調不良時のトラブルにつながりかねません。やさしい日本語やルビ付きの案内、母国語の問診票を用意すると受診の質が上がります。

そして健診結果は健康診断個人票として5年間の保存が求められます。外国人スタッフが帰国や転職で退職しても、在職期間に対応する分は保存が必要です。紙でもデータでも構いませんが、誰の何年分がどこにあるか、すぐ取り出せる状態にしておきましょう。労働基準監督署の調査で真っ先に確認される書類のひとつです。

厚生労働省は、外国人労働者の雇用管理の改善に関する指針の中で、健康診断を含む安全衛生の確保を事業主の責務として挙げています。外国人だから後回し、という発想そのものが法令の考え方から外れているわけです。実は健診の実施は、体調不良や労災の早期発見にもつながり、結果として現場の欠員リスクを下げます。義務だから仕方なく、ではなく、定着のための投資と捉えると運用が続きやすくなります。

よくある質問

Q1. 技能実習生や特定技能の外国人も健康診断の義務はありますか?

A. あります。在留資格の種類は関係ありません。常時使用する労働者であれば、雇入れ時と年1回の定期健診が必要です。

Q2. 週20時間程度のアルバイト外国人でも対象になりますか?

A. 所定労働時間が同じ職場の正社員の4分の3以上なら対象です。4分の3未満でも一定の場合は実施が望ましいとされます。

Q3. 健康診断の費用は本人負担でも問題ないですか?

A. 問題があります。法律が会社に義務づけた健診なので、費用は事業者負担が原則です。本人負担にすると受診率も下がります。

Q4. 入社前に本人が受けた健診結果を使えますか?

A. 使えます。入社前3か月以内の健診結果を提出できれば、重複する項目は雇入れ時健診を省略できます。渡日直後だと該当しないこともあります。

Q5. 健康診断を実施しないと罰則はありますか?

A. あります。労働安全衛生法に基づき、健診未実施は50万円以下の罰金の対象です。労災時の会社責任も重くなります。

Q6. 問診票が日本語だけで本人が書けません。どうすれば?

A. やさしい日本語やルビ付き、母国語版の問診票を用意しましょう。既往歴の記入漏れは後のトラブルにつながるため、理解できる形が重要です。

Q7. 健診結果はいつまで保存すればいいですか?

A. 健康診断個人票として原則5年間の保存が必要です。退職後も在職期間に対応する分は保存対象になります。

まとめ

外国人雇用の健康診断は、身構えるほど特別なものではありません。基本は日本人と同じ。そこに多言語対応と記録管理を足すだけです。最後に要点を3つ整理します。

この記事のまとめ:要点3つ

  • 健診義務に国籍は無関係。常時使用する労働者なら、外国人でも雇入れ時と年1回の定期健診を会社が実施する義務があります。
  • 費用は会社負担で受診率を守る。法定の健診である以上、費用は事業者負担が原則。賃金の扱いも整え、受けやすい環境をつくることが定着につながります。
  • 多言語説明と5年保存を仕組み化。問診票の多言語化と結果の保存をルール化し、採用フローに健診を組み込めば実施漏れは防げます。

ここまで読んで「うちの運用、大丈夫かな」と少し不安になった方もいるかもしれません。それで十分です。気づいた今が見直しのタイミング。制度が複雑で判断に迷うときは、外国人雇用の実務に慣れた相手に一度話してみるのが近道です。派遣・紹介・登録支援をワンストップで扱う私たちなら、健診を含めた受け入れ体制まで一緒に整理できます。まずは話だけでも、気軽にご相談ください。

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