外国人スタッフから母国へ一カ月帰りたいと言われ、長期休暇をどこまで認めるべきか迷っていませんか。
外国人スタッフの長期帰省は、認めるか断るかの二択ではありません。ルールと事前調整で必ずさばけます。カギは三つ。有給の残日数、再入国許可、そして繁忙期との重なり。ここを外すと現場が回らなくなります。逆に言えば、この三つを先に押さえれば長期帰省は怖くありません。
「一カ月も抜けて現場は大丈夫か」「有給が足りなかったらどう扱う」「そのまま戻ってこなかったら…」。相談の場でよく聞く声です。迷う理由は、日本人の連休感覚と、母国に家族を残すスタッフの事情がかみ合わないから。正直なところ、感覚だけで判断すると必ずどこかで揉めます。この記事では、長期帰省の申請ルールの作り方、受け入れ側が確認すべき手続き、繁忙期を避ける調整のコツを整理します。読み終えるころには、次に「帰りたい」と言われても慌てず判断できるはずです。
この記事のポイント
- 長期帰省は「早めの申請ルール」で大半がさばけます。 1〜2カ月前の申請を就業規則に明記すれば、繁忙期との衝突を事前に避けられます。
- 1年以内の帰省なら「みなし再入国許可」で再手続きは原則不要です。 出国時に在留カードを提示し再入国の意思を示せば、ビザは切れません。
- 有給と欠勤の線引きを最初に決めておきます。 足りない分を無給欠勤にするか計画年休で埋めるか、対応を統一するとトラブルが起きにくくなります。
この記事の結論
- 一言で言うと、長期帰省は「禁止する話」ではなく「前倒しで調整する話」です。
- 最も重要なのは、再入国許可(みなし再入国)の確認と、有給残日数の事前把握です。
- 失敗しないためには、旧正月やラマダン明けなど帰省が集中する時期を先に押さえ、ルール化しておくことです。
長期帰省の申請ルールと有給・欠勤の扱いを決める 🗓️
なぜ外国人スタッフの帰省は「長く・まとめて」になるのか
外国人スタッフの帰省が一週間で済まないのには理由があります。航空券が高く往復に時間もかかるため、せっかく帰るなら家族とまとまった時間を過ごしたい。これが本音です。よくあるのが、旧正月(春節)やラマダン明けのイド、旧正月休みに合わせて「二週間から一カ月」を希望するケース。ベトナムやインドネシア、ネパール出身のスタッフでは、年に一度の大きな帰省が生活の軸になっていることも珍しくありません。
先日も、こんな相談がありました。人事のご担当者が「急に一カ月と言われて驚いた」とおっしゃる。よく聞くと、本人にとっては何カ月も前から決めていた予定でした。つまり驚いたのは伝わっていなかっただけ。ここにすれ違いの正体があります。長さそのものより、共有の遅れが問題を大きくするのです。
厚生労働省の外国人雇用状況の届出でも、在留外国人の就労は年々増えています。母数が増えれば、長期帰省の相談が来る頻度も上がる。もう「例外対応」で済ませられる話ではありません。
有給・計画年休・無給欠勤、どれで埋めるか
一カ月の帰省を有給だけで埋めるのは、まず不可能です。年次有給休暇は勤続半年で10日、その後段階的に増えますが、一カ月の連続休暇には足りません。そこで線引きが必要になります。
現実的な組み合わせは三つ。まず有給を使い切ってもらう。次に足りない分を無給欠勤として扱う。あるいは計画年休の制度があれば、あらかじめ付与日の一部を充てる。ここで大事なのは、「有給が何日残っているか」を申請の時点で本人と一緒に確認すること。実は残日数を勘違いしたまま予定を組み、あとで「無給になるとは聞いていない」と揉めるパターンが少なくありません。
弊社の経験上、書面で「有給◯日+無給欠勤◯日」と内訳を先に示しておくと、後の不満がほぼ消えます。口頭だけで済ませないこと。ここは手を抜かないでください。たとえば有給が残10日のスタッフが30日の帰省を希望すれば、土日を除いた出勤日ベースで有給10日、無給欠勤が10日前後、と紙に落として見せる。日給1万円なら無給分は約10万円の減収、と金額まで添えると本人も家計の見通しを立てられます。実際、あるスタッフから「無給になると知らずに航空券を買ってしまった」と相談されたことがあります。金額の話は、後になるほどこじれます。先に数字を見せる。これだけで信頼が保てます。
就業規則に「何日前申請」を書き込む
その場の相談で毎回悩まないために、ルールを文字にしておきます。おすすめは「連続◯日以上の休暇は◯カ月前までに申請」という一文を就業規則や休暇規程に加えること。目安として、二週間を超える休暇は1〜2カ月前申請、と決めている現場が多い印象です。
ルール化のメリットは、断る・認めるの判断が属人的にならないこと。「あの人は認めたのに」という不公平感も防げます。ケースによりますが、申請期限を明確にするだけで、繁忙期に希望が重なる事故はかなり減ります。日本人スタッフにも同じ規程を適用すれば、外国人だけ特別扱い、という誤解も避けられます。
再入国許可と繁忙期調整、受け入れ側の確認ポイント 🌏
みなし再入国許可と再入国許可の違い
長期帰省で最も見落とされがちなのが、再入国の手続きです。ここを外すとビザが切れ、戻れなくなる恐れがあります。
出入国在留管理庁の運用では、有効な旅券と在留カードを持つ外国人が出国する場合、出国後1年以内に戻るなら「みなし再入国許可」で足ります。出国時に再入国出国記録(EDカード)でその意思を示すだけ。改めて許可を取る必要はありません。ただし注意点が二つ。1年を超えて滞在する予定なら、通常の再入国許可を事前に取得しておくこと。そして在留期限が帰省中に来る場合は、1年以内でも期限までに戻る必要があること。ここは本人任せにせず、会社側でも出国予定日と在留期限を照らし合わせておくと安心です。
「みなしがあるから大丈夫」と思い込み、在留期限を見落とす。これが典型的な失敗です。
帰省が集中する時期を先読みして繁忙期を避ける
帰省希望は、実はある程度読めます。春節は例年1〜2月、イスラム圏のイド(ラマダン明け)は年によって時期が動く。国籍構成が分かっていれば、「この時期に希望が集中しそうだ」と先回りできます。
あるホテルのご担当者は、こう話していました。「以前は年末年始とかち合って青ざめた。今は国別に帰省時期を一覧にして、繁忙期と重なる人には早めに時期をずらす相談をしている」。この「一覧化」が効きます。誰がいつ帰りそうかを見える化しておけば、増員や派遣スタッフの手配も前倒しで動ける。繁忙期に一気に穴が開く事態を防げます。
「戻ってこないかも」への備えと判断基準
正直に言うと、「帰省したまま戻らない」不安はゼロにできません。だからこそ判断基準を持っておきます。確認したいのは次の点です。①在留資格と在留期限に余裕があるか。②みなし再入国の意思表示と復帰予定日が書面で共有されているか。③これまでの勤怠や定着状況はどうか。④家族の在留状況など、日本に戻る動機があるか。
これらを一つずつ確認すれば、「認めてよいか」の材料がそろいます。復帰予定日を書面で握り、戻る日の便名まで共有してもらう現場もあります。過度に疑うのは失礼ですが、事実確認は別の話。信頼と手続きは分けて考えるのが、長く付き合うコツです。
よくある質問
Q1. 一カ月の長期帰省は必ず認めなければいけませんか。
A. 法律上の義務ではありません。ただし有給の取得は権利です。有給日数の範囲は原則認め、超過分は業務調整のうえ無給欠勤などで対応するのが現実的です。
Q2. 帰省中にビザが切れる心配はありませんか。
A. 1年以内かつ在留期限内の帰省なら、みなし再入国許可で原則ビザは切れません。ただし在留期限が帰省中に来る場合は、期限までに戻る必要があります。
Q3. 有給が足りない分はどう扱えばよいですか。
A. 無給欠勤か、制度があれば計画年休を充てます。内訳を「有給◯日+無給◯日」と書面で先に示しておくと、後の金銭トラブルを防げます。
Q4. 繁忙期の帰省希望はどう断ればよいですか。
A. 頭ごなしに断らず時期の変更を相談します。就業規則に「◯カ月前申請」を明記しておけば、繁忙期との重なりは事前に調整でき、断る場面自体が減ります。
Q5. 再入国許可はどこで手続きしますか。
A. 1年以内の帰省なら空港などの出国時に在留カードを提示し意思表示するだけです。1年超なら事前に出入国在留管理庁で再入国許可を取得します。
Q6. 帰省中の欠員はどう埋めればよいですか。
A. 事前に帰省予定を一覧化し、派遣や短期増員で穴を埋めます。エムティックでは国内在住の在留外国人を最短3日で手配でき、急な欠員の補充にも対応できます。
Q7. 長期帰省のルールは日本人と分けるべきですか。
A. 分ける必要はありません。むしろ同じ休暇規程を全員に適用したほうが、不公平感や「外国人だけ特別」という誤解を避けられ、運用も安定します。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 長期帰省は「禁止」ではなく「前倒しの調整」で解決します。 1〜2カ月前の申請ルールを就業規則に明記すれば、繁忙期との衝突を防げます。
- 再入国許可(みなし再入国)と在留期限の確認が最優先です。 1年以内かつ期限内なら原則ビザは切れませんが、期限が帰省中に来る場合は要注意です。
- 有給と欠勤の内訳を書面で先に示すとトラブルが減ります。 春節やイドなど帰省が集中する時期を先読みし、一覧化して備えておきましょう。
長期帰省は、準備さえあれば現場を止めずに乗り切れます。まずは自社の国籍構成と繁忙期を照らし合わせるところから始めてみてください。もし欠員の埋め方や制度対応で迷ったら、まずは話だけでも構いません。派遣・紹介・登録支援を一社で扱うエムティックが、御社の現場に合ったやり方を一緒に考えます。
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