二重派遣は違法|知らずにやりがちな外国人材の受け入れNGパターンと罰則

よかれと思った人員の融通が、実は違法な二重派遣にあたっていないか心配ではありませんか?

二重派遣は、はっきり違法です。派遣で来たスタッフを、さらに別の会社へ送り込んで働かせる。これが二重派遣です。理由はシンプルで、労働者供給事業を禁じる法律に触れるから。対象は外国人材でも日本人でも変わりません。

「取引先が人手不足だから、うちの派遣スタッフを応援に出しただけなんだけど…」。悪気はない。むしろ善意なのです。だからこそ厄介で、気づかないうちに違反していることが少なくありません。この記事では、二重派遣とは何か、なぜ違法なのか、やりがちなNGパターンと罰則、そして適法な体制の見分け方まで整理します。読み終える頃には、自社の運用が黒か白か、自分で判断できるはずです。

この記事のポイント

  • 二重派遣は職業安定法・労働者派遣法に触れる違法行為で、送り出した側も受け入れた側も罰せられます。
  • 「応援」「請負偽装」の形をとっても実態が指揮命令の又貸しなら二重派遣にあたり、契約書の名目では逃れられません。
  • 判断の軸は「誰が指揮命令しているか」の一点で、ここを押さえれば適法か違法かを現場で見極められます。

この記事の結論

  • 一言で言うと、二重派遣とは「派遣スタッフをさらに別の会社に派遣・供給して働かせる」こと。
  • 最も重要なのは、契約の名前ではなく「実際に誰が指示を出しているか」で判断される点です。
目次

🚫 二重派遣とは何か、なぜ違法なのか

まずは仕組みから押さえます。ここが曖昧なままだと、NGパターンの話も頭に入りません。二重派遣は、言葉こそ難しそうですが、図にすれば一本の線です。

二重派遣の定義:派遣スタッフの「又貸し」

二重派遣とは、派遣元から派遣されたスタッフを、派遣先がさらに別の会社へ送り込み、そこの指揮命令で働かせることを指します。

正直なところ、外国人材の現場では起きやすい構図です。日本語のフォローや教育をまとめて任せたい、繁忙期のグループ会社を助けたい。そんな流れで、いつのまにか又貸しの形になってしまう。

なぜ違法なのか:労働者供給事業の禁止

根拠は、職業安定法が定める労働者供給事業の禁止です。職業安定法第44条は、許可を受けた場合を除き、労働者を他人の指揮命令下で働かせるために供給する事業を禁じています。

労働者派遣法も同じ方向を向いています。派遣という仕組みは、派遣元が雇用責任を持ち、派遣先が指揮命令を持つという役割分担で成り立っています。誰が賃金を払い、誰が労災に対応するのか分からなくなる。だから法律は、雇用と指揮命令の関係が二重三重になることを認めていません。中間搾取(いわゆるピンハネ)を防ぐ狙いもあります。

二重派遣の罰則:送り手も受け手も対象

罰則は決して軽くありません。労働者供給事業の禁止に違反した場合、職業安定法では1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。

加えて、行政指導や事業許可への影響も見逃せません。派遣の許可を持つ会社が二重派遣に関与すれば、許可の更新や新規取引に響きます。改善指導や指導票の対象になれば、対応に時間も人手も取られます。取引先を失うリスクも現実的です。罰金の金額そのものより、積み上げてきた信用を一度で失うほうが、会社にはずっとこたえるのです。

✅ 知らずにやりがちなNGパターンと適法な体制

ここからが本題です。どんな形が危ないのか、そして何をどう直せば適法になるのか。判断の軸を持って読み進めてください。

NGパターン1:善意の「応援」「人員の融通」

よくあるのが、グループ会社や取引先への「応援」です。「同じグループだから」「困っているから今日だけ」。この一言で派遣スタッフを別の現場へ回す。気持ちは分かります。でも、応援先が指示を出せば、それは二重派遣です。

日数の長短は関係ありません。1日でも、別会社の指揮命令下に置いた時点でアウトです。

NGパターン2:名ばかりの「請負契約」偽装

もう一つが請負偽装です。契約書を「請負」に書き換えれば大丈夫、という誤解。これは危険な思い込みです。請負として適法であるためには、仕事の完成に責任を持ち、自社で労務管理と指揮命令を行い、自前の設備や資材で業務を進める必要があります。

看板が請負でも、実態が「人を出して先方の指示で働かせているだけ」なら、偽装請負であり二重派遣と同じ問題を抱えます。厚生労働省も、契約形式ではなく就労の実態で判断するという考え方を示しています。名前ではなく中身が見られる、と覚えておいてください。

適法かどうかの判断基準:指揮命令の所在を見る

では、どこで線を引くのか。判断基準はいくつかありますが、最優先はこの一点です。

  • 誰が指揮命令しているか:自社の外の会社が指示を出したら黒。指示は派遣先(自社)まで、が鉄則です。
  • 雇用責任の所在:賃金・社会保険・労災の責任を負うのが誰か。派遣元が一貫して持っているかを確認します。
  • 契約と実態の一致:請負や業務委託の看板と、現場の実際の指示系統がずれていないか。
  • 中間で利益を抜く構造がないか:間に入った会社が指示もせず手数料だけ取るのは供給とみなされます。

この4つを取引先と一緒に確認すれば、多くのグレーは白黒つきます。もし又貸しが必要な状況なら、その会社が正規の派遣元として許可を取るか、直接雇用や職業紹介に切り替えるのが筋です。派遣・紹介・登録支援の許認可を一社で持つ会社に相談すれば、状況に応じて適法な形へ整理し直せます。迷ったら、動かす前に確認する。それが一番の予防策です。

よくある質問

Q1. 二重派遣とは具体的に何ですか?

A. 派遣先が、受け入れた派遣スタッフをさらに別会社へ送り、その会社の指示で働かせることです。指揮命令が自社の外に出るのが特徴で、正規の派遣とはここが決定的に違います。

Q2. 二重派遣はなぜ違法なのですか?

A. 職業安定法第44条が無許可の労働者供給事業を禁じているからです。雇用と指揮命令の責任が曖昧になり、中間搾取や労災対応の空白を生むため、法律で認められていません。

Q3. 罰則はどのくらい重いですか?

A. 職業安定法違反として、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。送り出した側だけでなく、働かせた受け入れ側も対象になり得る点に注意が必要です。

Q4. グループ会社への応援でも二重派遣になりますか?

A. なります。同じグループでも法人が別なら、応援先が指示を出した時点で二重派遣です。日数の長さは関係なく、1日でも別会社の指揮命令下に置けば違反です。

Q5. 請負契約にすれば二重派遣を避けられますか?

A. 名前を変えるだけでは避けられません。実態として自社で労務管理と指揮命令を行っていなければ偽装請負とみなされます。判断は契約書ではなく現場の指示系統で行われます。

Q6. 外国人材だと二重派遣のリスクは高まりますか?

A. 構造上は同じですが、教育やフォローをまとめて任せたい事情から又貸しが起きやすい傾向はあります。在留資格の就労範囲も絡むため、体制を明確にしておくことが特に重要です。

Q7. 二重派遣を疑ったとき、まず何をすべきですか?

A. 動かす前に「誰が指揮命令しているか」を確認してください。外部が指示するなら止め、正規の派遣・職業紹介・請負のどれで整理するかを決めます。許認可を持つ会社への相談が近道です。

契約図と実際の指示経路を並べる

二重派遣などの問題を確認する際は、契約書に書かれた関係だけでなく、誰が雇用し、誰が現場で指示しているかを整理します。別会社への応援や作業場所の変更がある場合は、その都度確認が必要です。名称を請負や委託に変えれば問題が解消すると考えず、実態を確認してください。

契約書と実際の運用を対応させて確認する

契約内容を確認するときは、書類の名称やひな形がそろっていることだけで判断しません。実際に予定している仕事、場所、時間、指示する人、費用の負担を具体的に書き出し、契約書の該当箇所と照合します。同じ言葉でも関係者の理解が違うことがあるため、「対応に含まれる」「別途協議」といった箇所は、何が決まっていて何が未確定なのかを確認してください。現場の運用と契約上の約束が違う状態を放置しないことが大切です。

変更が生じる場合の連絡方法も確認します。人数、担当業務、勤務場所、勤務時間などを現場の口頭連絡だけで変更せず、契約や在留資格、労務管理への影響を担当者が確認できる経路を作ります。変更日、変更する理由、関係者への説明、必要な書面の更新を記録しましょう。相手方が同意したと担当者が考えていても、本人や現場へ伝わっているとは限りません。伝達先と確認方法まで決めておくと、認識の違いを点検できます。

契約を終える場面についても、開始前に把握しておきます。終了の通知、未処理の費用、貸与品、情報や資料の返却、業務の引き継ぎを誰が担当するか確認してください。契約の終了と雇用関係の終了は同じものとは限らないため、関係者ごとに必要な対応を整理します。不明な条件は一般的な慣行から推測せず、契約内容と適用される制度を確認します。争いが生じている場合は、事実関係と資料を整理して専門家や担当窓口に相談しましょう。

在留資格名と実際の担当業務を照合する

就労可否を確認する際は、在留資格の名称を一覧表に当てはめるだけで終わらせず、実際に任せる業務を具体化します。部署名や職種名が同じでも、日常の作業内容は会社によって異なります。主な仕事、付随する仕事、勤務場所、業務の割合などを整理し、本人の在留状況と照合できるようにしてください。資格名だけで判断がつかない場合は、どの作業が問題となるのかを明確にして、出入国在留管理庁などへ確認します。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 二重派遣は職業安定法・労働者派遣法に触れる違法行為であり、送り出した側も受け入れた側も1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金の対象になり得ます。
  • 「応援」や「請負偽装」という善意や名目の形をとっても、実態が指揮命令の又貸しなら二重派遣であり、契約書の書き換えでは逃れられません。

人手が足りない現場では、つい人を融通し合いたくなります。ただ、動かす前のひと確認で、会社を守れます。自社の運用がグレーかもしれない、と少しでも感じたら、正規の派遣・紹介・登録支援を一社で扱える相談先に、まずは話だけでも聞いてみてください。適法な形に整えながら、必要な人手を確保する道は必ずあります。

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