派遣で働く外国人スタッフの社会保険や有給は、派遣先と派遣元のどちらが負担するのでしょうか?
結論から言います。社会保険も有給休暇も、負担するのは派遣元です。雇用契約を結ぶのは派遣会社だからです。派遣先は指揮命令をするだけ。外国人でも日本人でも扱いは同じです。国籍で有給が減ることはありません。
「派遣スタッフの健康保険、うちが手続きするの?」「有給を申請されたけど、誰が払うの?」「外国人だから社保は入らなくていい、で合ってる?」——受け入れ前の担当者から、こういう声をよく聞きます。正直なところ、派遣先と派遣元で責任がどう分かれるかは、初めてだと本当に分かりにくい。この記事では、社会保険と有給の負担がどちらに乗るのか、派遣先が現場で気をつける点はどこか、そこを整理します。読み終えたとき、契約前に何を確認すべきかが自分で判断できるはずです。
この記事のポイント
- 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)の加入義務は派遣元にあります。 雇用主が派遣会社だからで、外国人であっても加入条件は日本人と全く同じです。
- 有給休暇を付与・負担するのも派遣元です。 6か月継続勤務し所定労働日の8割以上出勤すれば、初回10日が発生します。派遣先が現場で消化させないのは違法です。
- 派遣先にも責任はあります。 労働時間の実態管理、現場の安全衛生、有給を取りやすい環境づくりは、指揮命令をする派遣先の役目です。
この記事の結論
- 一言で言うと、費用と手続きは派遣元、現場の配慮は派遣先、という分担です。
- 最も重要なのは、外国人だから社保も有給も不要、という思い込みを捨てること。条件を満たせば全員対象です。
- 失敗しないためには、契約前に社保加入状況とマージン率を派遣会社に確認しておくことです。
🔑 社会保険は誰が負担する?派遣元が加入させる義務を負う
雇用主は派遣元。だから社保の手続きも派遣元
派遣スタッフの雇用契約は、派遣会社(派遣元)と本人が結びます。派遣先はその人を借りて、現場で指揮命令をする立場です。ですから健康保険・厚生年金・雇用保険への加入手続きも、保険料の会社負担分も、すべて派遣元が担います。派遣先が社会保険料を直接払うことは、原則ありません。
保険料は派遣会社が本人と折半し、会社負担分を持ちます。その費用は派遣料金の中に含まれています。つまり派遣先は、時間単価という形で間接的に負担しているわけです。ここを「別料金」と勘違いする担当者が、実はけっこう多い。「社保の会社負担って、あとで請求されるんですか?」と聞かれたことも一度や二度ではありません。弊社の経験上、見積りの内訳を最初に説明しておくと、後の行き違いがなくなります。ちなみに当社は派遣のマージン率23.8%を公開しています。この数字には社保の会社負担分や有給費用も含まれます。内訳が見えると、社保コストがどこに乗っているかも分かりやすいですね。逆に、料金だけ安くて内訳が見えない会社は、社保をきちんと入れているのか一度立ち止まって確認したいところです。
外国人でも加入条件は日本人と同じ
「外国人スタッフは社保に入らなくていいのでは」——この質問、本当によく受けます。答えははっきりノーです。健康保険と厚生年金は、週の所定労働時間や勤務日数が正社員の4分の3以上といった条件を満たせば、国籍を問わず加入対象になります。厚生労働省も、外国人労働者を雇う事業主に対し、社会保険や労働保険を日本人と同様に適用するよう求めています。
厚生年金について「母国に帰るのに払い損では」と気にする人もいます。ただ、一定期間加入して出国した場合、脱退一時金という形で一部が戻る仕組みが日本年金機構にあります。「掛け捨てではないんですよ」と伝えると、外国人スタッフの表情がふっと和らぐ。こういう説明を派遣元がきちんとしているかは、派遣会社を選ぶうえで見ておきたい点です。
労災は現場、だから派遣先も無関係ではない
社会保険料そのものは派遣元の負担ですが、労災(労災保険)だけは少し性格が違います。保険関係は派遣元にありますが、事故が起きるのは派遣先の現場です。だから安全配慮義務は派遣先にも及びます。ケースによりますが、現場の設備や作業手順に起因する労災では、派遣先の管理責任が問われることもあります。「保険は派遣会社だから、うちは関係ない」とは言い切れない、ということです。とくに外国人スタッフの場合、危険を知らせる掲示や作業手順が日本語だけだと、伝わっていないまま事故につながる恐れがあります。多言語の注意喚起や、やさしい日本語での説明は、派遣元と派遣先の双方で意識しておきたいところです。
💡 有給休暇の負担と、派遣先が現場でやるべきこと
有給を付与するのは派遣元。国籍は関係ない
有給休暇も、付与するのは雇用主である派遣元です。労働基準法では、雇い入れから6か月継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に、10日の年次有給休暇を与えると定めています。これは外国人スタッフにもそのまま適用されます。「派遣だから有給はない」「外国人だから対象外」——どちらも誤りです。有給取得中の賃金も派遣元が支払います。
年5日の取得義務も雇用主である派遣元にかかります。年10日以上付与される人に、年5日は必ず取らせなさい、という決まりです。ただ、実際にシフトから抜けるのは派遣先の現場です。だから派遣元と派遣先が連携しないと、有給が絵に描いた餅になりがち。ここが派遣の有給でいちばんつまずくところですね。付与日数は勤続年数に応じて増え、6か月で10日、その後1年ごとに段階的に上乗せされていきます。長く働いてくれる外国人スタッフほど、この積み上がりは無視できません。
派遣先の役目は「取りやすい現場」をつくること
有給を払うのは派遣元でも、取らせる環境をつくるのは派遣先です。以前、こんなやり取りがありました。
派遣先の店長「有給って派遣会社の話でしょ。うちは関係ないと思ってた」
当社の担当「お金は弊社が出します。でも、休みを申請しにくい空気だと、結局取れないんです」
外国人スタッフからも本音を聞きました。
スタッフ「有給あるの、知らなかった。日本語で聞くの、勇気いる」
担当「言いにくいよね。次からは私が間に入るよ」
言葉の壁があると、本人から有給を切り出すのは想像以上にハードルが高い。だからこそ、多言語でフォローできる派遣元と、休みを認める派遣先、この両輪が要るわけです。
判断基準:派遣会社を選ぶ前に確認したい5つ
社保も有給もトラブルなく回すには、契約前のチェックが効きます。他社と比較する際も、次の5点を同じ基準で聞いてみてください。①スタッフを社会保険に確実に加入させているか、②有給の付与ルールと年5日取得の管理をどう回しているか、③マージン率など料金の内訳を公開しているか、④外国人スタッフへ母国語や多言語でフォローできる体制があるか、⑤労災など有事の連絡・対応フローが決まっているか。1社で即決せず、この判断軸で数社を並べて比べると、価格だけでは見えない差が浮かびます。当社は派遣・紹介・登録支援の3許可を1社で保有し、最短3日で現場に人を出せますが、それでもまずは他社と比べていただきたいと考えています。
❓ よくある質問
Q1. 派遣スタッフの社会保険料は派遣先が払うのですか?
A. いいえ、負担するのは雇用主である派遣元です。派遣先は派遣料金という形で間接的に負担します。直接の保険手続きは不要です。
Q2. 外国人だと社会保険に入らなくてよいのでは?
A. 加入条件は日本人と全く同じです。週の所定労働時間などが基準を満たせば、国籍に関係なく加入対象になります。外国人だから不要ということはありません。
Q3. 有給休暇は誰が付与し、賃金は誰が払いますか?
A. 付与も賃金負担も派遣元です。6か月継続勤務し8割以上出勤すれば10日発生します。取得中の賃金も派遣元から支払われます。
Q4. 派遣先は有給について何もしなくてよいですか?
A. 費用負担はありませんが、休みを取りやすい環境づくりは派遣先の役目です。年5日取得の実効性は現場の協力に左右されます。
Q5. 短期で母国に帰る場合、厚生年金は掛け捨てですか?
A. 掛け捨てではありません。一定期間加入して出国すると、日本年金機構の脱退一時金として一部が払い戻される制度があります。
Q6. 労災は派遣元と派遣先のどちらの責任ですか?
A. 保険関係は派遣元にありますが、現場の安全配慮義務は派遣先にもあります。設備や手順に起因する事故では、派遣先の管理責任が問われる場合もあります。
Q7. 社保未加入の派遣会社を見分ける方法はありますか?
A. 加入状況とマージン率を契約前に確認するのが確実です。内訳を公開せず社保加入もあいまいな会社は、比較検討で慎重に見るべきです。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 社会保険も有給休暇も、負担と手続きは雇用主である派遣元が担います。 派遣先が直接保険料を払ったり有給賃金を出したりすることは原則ありません。
- 外国人でも社保・有給の条件は日本人と同じです。 国籍を理由に加入や付与を省くことはできず、条件を満たせば全員が対象になります。
- 費用は派遣元、現場の配慮は派遣先という分担です。 労災の安全配慮や有給を取りやすい環境づくりは、指揮命令をする派遣先の責任です。
外国人材の受け入れは、制度が絡むほど「うちの場合はどうなるのか」と迷いが出るものです。まずは話だけでも構いません。社保や有給の分担、料金の内訳まで、御社の状況に合わせて整理するお手伝いができます。判断材料をそろえてから、比べて決めていただければと思います。
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