ある日突然、退職代行業者から連絡が来て本人と話せない
「もしもし、◯◯さんの退職代行を担当している者です」。ある朝、知らない番号から電話が入る。本人はもう出社しないと言う。話したいのに、本人とは話せない。頭が真っ白になります。外国人スタッフだと、ここに「帰国するのか」「ビザはどうなる」という重さが乗ってきます。
正直なところ、最初に湧くのは怒りです。「あれだけ面倒を見たのに」「引き継ぎもなしか」。その気持ちは自然です。ただ、ここで感情に飲まれると手続きが止まり、損をするのは会社のほうです。退職代行が来ても、やることの中身は変わりません。届出、社保、私物、お金の清算。順番に潰すだけ。この記事では、連絡を受けた直後から完了までを時系列で並べ、慌てず処理する判断基準をお見せします。
この記事のポイント
- 退職代行が来ても会社の対応の柱は変わらない。 在留資格の届出・社会保険の喪失・私物と給与の清算・離職票という4つを淡々と片づければ手続きは完結します。
- 「帰国するのか日本に残るのか」を最初に確認する。 ここで会社のやるべき範囲が大きく分かれます。残る場合は転職活動の期間、帰る場合は脱退一時金や私物の扱いが論点です。
- 届出には期限がある。 退職から14日以内の入管への届出、退職翌日からのハローワーク手続きなど、感情と関係なく時計は動きます。期限管理が最優先です。
この記事の結論
- 一言で言うと、退職代行が来たら「相手を本人の代理」とみなし、感情は脇に置いて事務処理に徹するのが正解です。
- 最も重要なのは、退職後14日以内に入管へ「契約機関に関する届出」を出すこと。これを忘れると会社側の管理責任が問われます。
- 失敗しないためには、帰国か日本残留かを早期に確定し、それに応じて社保・住居・私物・脱退一時金を一つずつ清算することです。
😊 退職代行の連絡が来た直後にやること
まず「相手は誰で、何を求めているか」を確認する
電話を切らず、まず相手の名前・所属・連絡先をメモします。退職代行は弁護士が運営するものと、民間業者が運営するものがあります。違いは交渉できる範囲です。弁護士なら未払い残業代の交渉まで踏み込めますが、民間業者は「本人が辞めると言っている」という意思の伝達までしかできません。ここを把握しておくと、後で「それは本人と直接」「それは弁護士へ」と切り分けられます。
正直なところ、最初は「本人に直接確認させてくれ」と言いたくなります。気持ちは分かります。ただ退職代行が入った時点で、本人は会社と話したくないという意思を示しています。無理に本人へ連絡すると、かえってトラブルが大きくなる。ここは割り切って、窓口は代行業者に一本化するのが現実的です。
弊社が相談を受けたケースで、ある食品工場の担当者がこう漏らしました。「正直、裏切られた気分でした。でも代行さん経由で淡々と書類をやり取りしたら、二週間で全部片づいて拍子抜けでした」。感情の処理と事務の処理を分ける。これが最初のコツです。
退職届と退職日を書面で確定する
口頭の「辞めます」だけでは手続きが進みません。退職届、または退職の意思を示す書面を代行業者経由でもらいます。ここで決めるべきは退職日です。退職日が決まらないと、社会保険の喪失日も離職票の作成も止まります。
民法上、無期雇用なら退職の申し出から2週間で雇用契約は終了します。ただ有給休暇の残日数を消化したいという申し出が来ることも多い。よくあるのが、最終出社日と退職日がずれるパターンです。「最終出社は今日、残りは有休消化、退職日は◯月◯日」という形で、紙の上で日付を確定させておきます。曖昧なまま放置すると、後で「在籍中だった」「もう辞めていた」の水掛け論になります。
「日本に残るのか帰国するのか」を最優先で聞く
ここが外国人の退職で一番大事な分岐点です。日本人なら退職後の住まいまで会社が気にする必要はありません。外国人の場合、退職後の在留資格がどうなるかで、会社のやるべきことが変わります。
代行業者経由で構わないので、「本人は日本での転職を希望しているのか、母国へ帰国するのか」を確認します。残るなら、本人は次の就職先を探すことになり、在留期限内に転職できなければ資格を失います。帰国するなら、社会保険の脱退一時金や私物の郵送、住居の引き払いといった「帰る前提の清算」が一気に発生します。実は、この確認を後回しにすると、帰国便の直前に「私物がまだ会社にある」と慌てる羽目になります。最初に聞いておく。それだけで段取りが半分決まります。
🔑 帰国・在留資格・社会保険の手続きを時系列で
退職から14日以内に入管へ届出を出す
外国人を雇っていた会社には、雇用契約が終わったことを国に知らせる義務があります。出入国在留管理庁への「中長期在留者の受入れに関する届出(契約機関に関する届出)」がそれです。退職や解雇など雇用契約の終了から14日以内に提出します。インターネットの電子届出か、郵送・窓口で対応できます。
この届出は罰則こそ前面に出ませんが、出さないと会社の在留管理がずさんとみなされ、今後の受け入れに影響します。退職代行が来て感情的になっているときほど、ここを落とします。カレンダーに「退職日+14日」と書き込む。機械的にやるのが安全です。
加えて、厚生労働省への「外国人雇用状況の届出」も忘れずに。雇い入れと離職の両方で必要で、雇用保険の被保険者ならハローワークへの資格喪失届がこの届出を兼ねます。被保険者でない人は、離職した月の翌月末日までに別途届け出ます。
社会保険・雇用保険の資格喪失と離職票
健康保険と厚生年金は、退職日の翌日が資格喪失日です。退職日から5日以内に「被保険者資格喪失届」を年金事務所へ提出します。国籍は関係ありません。日本人とまったく同じ手順です。
雇用保険については、退職翌日から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」をハローワークへ提出します。ここで作られるのが離職票です。本人が日本に残って転職活動をするなら、離職票は失業給付の申請に必要になります。退職代行経由でも「離職票は要りますか」と一度確認しておくと親切です。帰国する人でも、後述の脱退一時金の手続きで年金記録が関わるので、書類はきちんと残しておきます。
帰国する場合の脱退一時金・私物・住居の清算
帰国を選んだ場合、本人が請求できるのが厚生年金の「脱退一時金」です。これは日本で年金保険料を一定期間納めた外国人が、出国後に一部を受け取れる制度です。会社が代わりに申請するものではありませんが、「出国後に日本年金機構へ請求できる」ことを伝えてあげると、本人の不信感がだいぶ和らぎます。請求できる金額は納付月数に応じて上限があり、5年分が上限の目安です。手続きの主体は本人ですが、年金手帳や基礎年金番号の控えを渡しておくと本人が困りません。
私物の扱いも忘れがちです。ロッカーの中身、制服、社員証、会社から貸与したスマホやタブレット。退職代行経由で「私物は郵送か、誰かに取りに来てもらうか」を決めます。帰国便が迫っていると郵送が間に合わないこともあるので、早めに動きます。会社が借り上げた社宅・寮に住んでいる場合は、退去日と原状回復、敷金の精算、私物の引き取りをまとめて段取りします。家賃の日割りや鍵の返却まで、リストにして一つずつ消していくのが確実です。
ある介護施設の管理者は、こう振り返りました。「ケースによりますが、うちは退去と私物の郵送リストを最初に作って、代行さん経由で本人にチェックしてもらいました。揉めずに済んだのは、感情を挟まず紙でやり取りしたからだと思います」。淡々と、が一番穏やかに終わります。
❓ よくある質問
Q1. 退職代行から連絡が来たら、本人に直接連絡してはいけませんか?
A1. 直接連絡は避けるのが無難です。本人は会社と話したくない意思を示しています。窓口を代行業者に一本化し、必要なやり取りはすべて書面で残すのが、トラブルを防ぐ最短ルートです。
Q2. 退職を拒否したり、引き継ぎを強制したりできますか?
A2. できません。退職の自由は本人にあり、無期雇用なら申し出から2週間で契約は終了します。引き継ぎは「お願い」はできますが強制は不可。後任への業務引き継ぎ書を会社側で整える前提で動くのが現実的です。
Q3. 入管への届出は退職代行が来た場合でも必要ですか?
A3. 必要です。雇用契約の終了から14日以内に「契約機関に関する届出」を出します。退職の経緯は関係ありません。届出を怠ると会社の在留管理が問われるため、退職日+14日を必ず記録してください。
Q4. 帰国する外国人の社会保険はどうなりますか?
A4. 退職日の翌日が資格喪失日で、5日以内に喪失届を提出します。日本人と同じです。加えて本人は出国後に厚生年金の脱退一時金を請求でき、上限は5年分が目安。会社は年金記録の控えを渡しておくと親切です。
Q5. 給与や残業代の未払いを退職代行から請求されたら?
A5. 弁護士運営の退職代行なら金額交渉まで踏み込めますが、民間業者は意思の伝達のみです。正当な未払いがあれば支払うのが原則。就業規則と給与明細を確認し、争点があれば社労士や弁護士に相談してください。
Q6. 社宅や寮に住んでいる場合、退去はどう進めますか?
A6. 退去日・原状回復・敷金精算・私物引き取りを代行業者経由で確定します。帰国便が迫ると時間がないため、退去リストを早めに作るのが鍵。家賃の日割りや鍵の返却まで一覧化し、一つずつ消していくと漏れません。
Q7. 突然の退職を防ぐ方法はありますか?
A7. 完全には防げませんが、不満の早期把握が効果的です。定期面談や母国語での相談窓口があると、退職代行に至る前に声を拾えます。弊社の経験上、孤立や賃金の不満が水面下で進むケースが多く、日頃のフォロー体制が分かれ目になります。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 退職代行が来ても会社の事務処理は変わらない。 入管届出・社保喪失・私物清算・離職票の4つを、感情を脇に置いて淡々と片づければ手続きは完結します。
- 最初に「帰国か日本残留か」を確定する。 ここで会社のやるべき範囲が分かれ、帰国なら脱退一時金・私物郵送・住居引き払いが一気に動きます。
- 届出には期限がある。 退職から14日以内の入管届出、退職翌日から10日以内の雇用保険手続きなど、時計は感情と無関係に進みます。期限管理が最優先です。
突然の退職代行は、誰にとっても気持ちのいいものではありません。それでも、やることを一つずつ紙に書き出して順番に消していけば、二週間ほどで必ず終わります。そして本当に大事なのは、こうした事態に至る前のフォロー体制づくりのほう。外国人材の受け入れや退職対応に不安があるなら、まずは話だけでも聞かせてください。派遣・紹介・登録支援を一社で扱う立場から、状況に合った進め方を一緒に整理します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
🚀 外国人採用を成功させたい方へ
導入の流れや費用、失敗しないポイントをまとめています👇
🚀 外国人採用をさらに理解する
各テーマごとに詳しく知りたい方はこちら👇
👉 採用の流れと必要書類
👉 特定技能と技能実習の違い
👉 人手不足の解決方法比較
👉 注意点とトラブル事例
🏗️ 現場のリアルを知るエムティックだから言えること
ネット上のマニュアル通りにはいかないのが外国人採用の難しいところです。私たちは日々現場に入り、泥臭く格闘してきました。🏃💨
現場の最前線で培った【生きた知見と、失敗しないパートナー選びの基準】を、以下の記事にまとめています。
📌 長期的に機能する組織づくりへ|エムティックが大切にしていること
🔍 あわせてチェックしたい関連知識
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
💡 人材活用・採用のお悩みはエムティックへ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
貴社の課題に合わせた最適なマッチングをご提案します!🤝
✅ 労働者派遣(派13-306428)
✅ 有料職業紹介(13-ユ-307724)
✅ 登録支援機関(25-登-011625)
💬 「まずは話だけ聞いてみたい」でも大歓迎です!
📞 お電話:03-5843-8926
📧 WEB:お問い合わせフォームはこちら
💻 公式サイト:https://mtic.co.jp/
🌏 Facebook Group
https://www.facebook.com/groups/1496163304209631 👥
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

