「特定技能は実習生と違って転職ができるから、すぐ他社に抜かれそうで怖い」とお悩みの方へ。転籍トラブルを未然に防ぐ最強の引き留め・予防策
一言で言うと、「転職をゼロにしよう」と力づくで抑えるのではなく、「辞めたくなる理由を減らしつつ、辞めるときは法令通りにきれいに手続きする」会社が、結果的に転籍トラブルも少なく、特定技能人材から選ばれ続けます。
本記事では、その経験も踏まえた実務的な視点をお伝えします。
この記事のポイント
- 特定技能は制度上、同一分野内での転職が認められており、その際は在留資格変更許可申請や、旧・新所属機関双方の届出が必須です。
- 正直なところ、「転職を禁止する」のは不可能なので、「なぜ転職したくなるのか」を分解し、賃金・業務内容・人間関係・将来像の4軸で“予防策”を早めに打つことが重要だと、弊社では考えています。
- ケースによりますが、「もう辞めると決めた人」を無理に引き留めるより、「それでも残りたくなる環境をつくる」ことに投資した企業様ほど、長期定着率と紹介採用が伸びている傾向があります。
この記事の結論
- 一言で言うと「特定技能の転職は“止めること”ではなく“準備と設計で減らすこと”が現実的な戦い方」だと、弊社では考えています。
- 最も重要なのは、「転職したくなる理由」を、①賃金・待遇、②配属・業務内容、③コミュニケーション・相談窓口、④在留・キャリア不安の4つに分け、それぞれに対して“先回りの打ち手”を持っておくことです。
- 失敗しないためには、「急な退職希望に感情で反応しない」「手続きの期限と書類を事前に整理しておく」「登録支援機関と役割分担を決めておく」ことが欠かせません。
「転職したい」と言われた瞬間の、あのイヤな沈黙
夜、ロッカー前で切り出される一言
残業が終わって、工場のシャッターが閉まりかけた19時過ぎ。
ロッカー前で帰り支度をしていると、特定技能のメンバーが少し間をおいてから、「あの…ちょっと相談があります」と目を伏せながら話しかけてくる。
制度上、特定技能は「転職できる」前提で設計されている
法務省・出入国在留管理庁は、特定技能について「同じ特定産業分野・業務区分内であれば転職が可能」と明示しています。
転職する場合、本人は在留資格変更許可申請を行い、転職先企業は新たな雇用契約書や支援計画などの書類を整え、入管の許可を得る必要があります。
つまり、「制度として転職が認められている以上、“禁止”ではなく“どう付き合うか”を考えるのが現実的なアプローチ」だと、弊社では捉えています。
検討時に確認したいポイント
必要な業務・人数・勤務条件・就業開始の希望時期を整理し、対応可能な範囲を確認してください。効果や適合性は個別の条件で異なります。
「転職したい」と言われたときの、具体的なステップ
① いきなり「ダメ」と言わず、理由を4つの箱に分けて聞く
特定技能の転職に関する解説では、「転職理由は複数の要因が絡むので、丁寧なヒアリングが大切」と指摘されています。
面談では、いきなり「ダメだ」と感情で止めるのではなく、次の4つに分けて聞き出すことを弊社ではおすすめしています。
- 賃金・待遇(時給、手当、休みの取り方)
- 業務内容・配属(やりたい仕事とのギャップ、危険・きつさ)
- 人間関係・コミュニケーション(上司・同僚との衝突、相談できる人の有無)
- 将来・在留への不安(在留期限、家族、キャリアプラン)
「実は、3つは我慢できるけど、1つだけどうしてもつらい」というケースも多く、その1つを動かせるかどうかが分かれ目になります。
② 引き止めると決めたときにできる“現実的なオファー”
- 小さな賃金調整(時給+50〜100円、夜勤手当の見直し)
- シフトの再配置(夜勤固定→交替制、残業時間の上限設定)
- 配属変更(ライン変更、工程変更)
専門記事でも、「他社オファーと全く同じ条件を出すのは難しくても、“この会社で働き続ける理由”を一つ増やすオファーが有効」とされています。
正直なところ、全てを飲む必要はなく、「会社として動かせる範囲」と「本人が本当に譲れない点」の接点を探す作業だと、弊社では考えています。
③ それでも転職する場合の“きれいな別れ方”
雇用契約が実際に終了した場合の「雇用契約に係る届出」とは別で、契約終了を待ってよいわけではありません。
本人は新しい受入れ企業と雇用契約を結び、在留資格変更許可申請を行い、許可が下りてから新しい職場で働く流れになります。
転職を“減らす”ための事前対策——予防が9割
① 賃金と待遇は「最低ライン」ではなく「納得ライン」で設計する
特定技能の解説では、「日本人と同等以上の報酬」が求められることが強調されています。
よくあるのが、「地域最低賃金+α」で形だけクリアし、結果的に他社と比べて見劣りしてしまうケースです。
正直なところ、時給で+50〜100円の差なら、1か月あたり1〜2万円。
その差で「3〜5年いてくれる中核メンバー」を確保できるなら、投資としては悪くないと弊社では考えています。
②「転職したくなる前」に話せる場を作る
転職手続きの解説では、「相談窓口がないと、不満が溜まってから急に退職に動きやすい」と指摘されています。
- 月1回の1on1面談(日本人・特定技能ともに同じフォーマット)
- 登録支援機関による定期面談での“第三者視点”
- 匿名アンケートやLINEなどの相談チャネル
③ キャリアと在留の“地図”を一緒に描く
専門記事では、「在留期限や特定技能2号への移行、母国への帰国時期などを共有しておくと、不安から来る転職希望が減る」とされています。
例えば、
- 「あと何年日本で働きたいのか」
- 「特定技能2号や別分野へのチャレンジをどう考えているか」
- 「母国での目標(家・店・家族)」
こうした話を年1回でも言語化しておくと、「この会社であと何年がんばるか」の腹落ち度が変わってきます。
よくある質問(7問)
1. Q:特定技能の外国人は本当に自由に転職できますか?
A:同じ特定技能分野・業務区分内であれば転職可能ですが、在留資格変更許可申請が必要で、許可が下りるまで新しい職場では働けません。
雇用契約が実際に終了した場合の「雇用契約に係る届出」とは別で、契約終了を待ってよいわけではありません。
3. Q:転職を引き止めるために、賃上げは必須ですか?
A:賃金だけが理由でない場合も多く、シフト調整や配属変更、相談環境の整備などで思いとどまるケースもあります。
4. Q:転職希望を無視したり、在留カードを取り上げたりしたらどうなりますか?
A:強制的な引き留めやパワハラ的対応はトラブル・訴訟リスクを高め、企業側の信頼や採用力を大きく損ないます。
5. Q:転職を前提に採用するのはリスクが高いですか?
A:高いですが、一定の離職は前提としつつ、“残りたくなる会社づくり”に投資する企業様ほど、紹介採用や評判でプラスに転じています。
6. Q:登録支援機関は転職防止にどこまで関わってくれますか?
A:定期面談や相談対応を通じて早期に不満をキャッチし、企業様と一緒に改善策を検討する役割が期待されています。
7. Q:転職された後の補充採用はどのくらい時間がかかりますか?
A:募集〜採用〜在留資格許可まで通常数か月かかるとされ、ラインへの影響も踏まえた人員計画が必要です。
転職の相談を受けたときの整理順
本人の希望を聞く場面と、会社が行う手続きを確認する場面を分けます。転職したいという発言だけで退職日を確定せず、本人の意向と必要な日程を確認してください。今の職場で解決できる課題がある場合も、引き留めのために不確かな在留情報を伝えないようにします。
相談を受けてから対応を終えるまでの記録
相談窓口を設ける際は、連絡先を掲示するだけでなく、何を相談できるか、どの言語や方法が使えるか、返答があるまでどうすればよいかを説明します。上司に関する相談を上司本人だけに伝える仕組みでは、声を上げにくくなる場合があります。通常の業務連絡とは別の相談先も検討し、本人が選べる経路を案内しましょう。対応できる時間帯と緊急時の連絡先を区別しておくことも大切です。
相談を受けた人は、本人が述べた事実と担当者の推測を混ぜずに記録します。いつ、どこで、何があり、現在どのような対応を求めているのかを確認します。国籍や文化だけを理由に原因を決めつけず、勤務条件、指示の伝わり方、職場の人間関係などを分けて整理してください。通訳が入る場合は、関係者との利害関係や情報の取扱いにも注意し、本人が安心して説明できる方法を相談します。
聞き取りの後は、調べること、すぐ対応すること、本人へ返答する時期を示します。解決できない点を曖昧にしたまま「対応済み」とせず、何が残っているかを共有しましょう。相談内容を広く社内に回すのではなく、対応に必要な人へ必要な範囲を伝えます。最後に、実施した対応が本人の困りごとに合っていたかを確認します。相談件数が少ないことだけで良い職場と判断せず、相談方法が理解されているかも点検してください。
期限を通知するだけで終わらせない管理方法
期限の管理表は、日付を登録するだけでは十分ではありません。対象者、手続きの種類、確認した資料、社内の担当者、本人への連絡日、次の確認日を一組で管理します。法令上の期限、会社が設定する準備期限、就業や契約の予定日は別の欄に置きましょう。社内の前倒し日程を法律上の期限のように説明すると、本人にも担当者にも誤解が生じます。期限の根拠が分からない項目は、推測で埋めずに確認中と表示します。
通知を受けた人が何をすればよいかも決めておきます。本人へ連絡する、必要資料を依頼する、届いた資料を確認する、結果を管理表に戻すという流れを、実際の担当者名でつなぎます。休暇や異動に備え、代理担当者にも進行状況が分かるようにしてください。未回答のまま通知を消せる仕組みではなく、確認日と次の対応が残るようにすると、途中で止まっている項目を見つけやすくなります。
まとめ
- 特定技能の転職は制度上認められており、「ゼロにする」のではなく、「理由を減らし、手続きをきちんと行う」ことでトラブルを最小化する発想が現実的です。
- 賃金・シフト・業務内容・コミュニケーション・在留不安を4つの箱に分解し、事前に打てる予防策を設計しておくことで、「転職したい」と言われる回数自体を減らせます。
迷っていらっしゃるなら、まず直近1年間で特定技能メンバーから出た不満や要望を3つだけ書き出し、「どの箱(賃金・業務・人間関係・在留不安)に当たるか」を弊社と一緒に整理してみませんか。
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派遣・人材紹介・特定技能の支援について、必要な人材と受け入れ体制を整理しましょう。採用方法が決まっていない段階でも、現在のお困りごとをお知らせください。
- 必要な人数・開始時期を相談したい
- 費用や対応範囲を確認したい
- 受け入れ準備を整理したい
お問い合わせの際は「業務内容・勤務地・人数・希望時期」をお知らせいただくと、確認がスムーズです。

