外国人社員から家族を呼びたいと相談されたが、家族滞在ビザの要件や必要書類が分からず対応に困っていませんか?
技術・人文知識・国際業務(技人国)で働く外国人社員は、条件を満たせば配偶者や子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せられます。呼び寄せの起点は、雇用する企業ではなく、社員本人が扶養者として在留資格認定証明書を申請することです。会社の役割は、在職や収入を証明する書類の準備に協力すること。ここを押さえれば、対応の全体像は見えてきます。
「家族滞在って会社が手続きするの?」「収入がいくらあれば呼べる?」「呼んだ家族はうちで働かせていい?」——こうした疑問は、外国人雇用の現場で迷いやすいところです。家族滞在には就労制限があり、扱いを誤ると本人も会社も不法就労のリスクを負いかねません。この記事では、家族滞在の対象・要件・必要書類、そして呼び寄せ後に企業が注意すべき点を、出入国在留管理庁の情報をもとに整理します。読み終える頃には、社員にどう案内し、会社が何を準備すべきかを判断できるはずです。
【この記事のポイント】
- 家族滞在で呼べるのは「配偶者」と「子」だけ。親や兄弟は対象外で、扶養を受けて生活する家族に限られます。
- 呼び寄せは在留資格認定証明書の申請から。申請者は扶養者である社員本人で、会社は在職証明書や収入資料の提供で支える立場です。
- 家族滞在は原則就労不可。働かせるなら資格外活動許可が必要で、許可を得ても原則「週28時間以内」に制限されます。
この記事の結論
- 一言で言うと、家族滞在は「技人国などで働く社員の配偶者・子を、扶養を前提に呼び寄せるための在留資格」です。
- 最も重要なのは、申請の主体が会社ではなく社員本人であり、会社は書類面のサポート役だという点です。
- 見落としやすいのは就労制限で、家族滞在の家族を自社で働かせるには資格外活動許可(原則週28時間以内)の確認が欠かせません。
🌏 家族滞在ビザの対象と呼び寄せの流れ
まず、誰を・どうやって呼べるのかを整理します。ここが曖昧なままだと、社員への案内も的外れになりがちです。
呼べるのは「配偶者」と「子」に限られる
家族滞在は、就労や留学などの在留資格を持つ人が扶養する「配偶者」と「子」に与えられる在留資格です。出入国在留管理庁の説明でも、対象は扶養を受ける配偶者または子とされています。親や兄弟姉妹は原則として家族滞在の対象になりません。
もう一つ大事なのが、扶養者の在留資格です。技術・人文知識・国際業務のような就労系の資格を持つ社員は、家族滞在で家族を呼べます。社員がどの在留資格で働いているかによって、呼べるかどうかが変わる。相談されたら、まず本人の在留カードで在留資格を確かめるところから始めると迷いません。
呼び寄せは在留資格認定証明書の申請から始まる
海外にいる家族を新たに呼び寄せる場合、一般的な流れはこうです。まず日本にいる社員(扶養者)が、地方出入国在留管理官署に「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請します。交付されたCOEを海外の家族に送り、家族が現地の日本大使館・領事館でビザを申請。ビザを得て来日し、上陸時に在留カードが交付される——この順番です。
ポイントは、申請者があくまで扶養者である社員本人だということ。会社が代理で申請するわけではありません。ただし審査では扶養者の収入や職業が見られるため、会社が在職証明書などを用意する場面が出てきます。派遣・紹介・登録支援を1社で扱う株式会社エムティックのような、在留資格の実務に日常的に触れている事業者に相談しておくと、社員任せにせず必要書類の抜けを防ぎやすくなります。
扶養できる経済力があるかが問われる
家族滞在は「扶養を受ける」ことが前提です。そのため、扶養者に家族を養えるだけの安定した収入や資産があるかが審査で見られます。
だからこそ、在職証明書や課税・納税証明書で、継続的に収入を得ている実態を示すことが大切です。呼び寄せる家族の人数が多いほど、扶養できる経済力の説明は丁寧に求められる傾向があります。焦って申請するより、必要書類と収入の裏付けをそろえてから動くほうが、結果的に近道になることも多いのです。
📌 必要書類と呼び寄せ後の注意点
次に、実際にそろえる書類と、家族が来日した後に企業が気をつけるべき点を見ていきます。
家族滞在で一般的に求められる書類
在留資格認定証明書交付申請で一般的に必要とされる書類は、おおむね次のとおりです。出入国在留管理庁の案内をもとに整理します。
- 在留資格認定証明書交付申請書、顔写真
- 扶養者との身分関係を証する文書(婚姻証明書、出生証明書など。配偶者なら結婚、子なら親子関係を示すもの)
- 扶養者の職業・収入を証する文書(在職証明書、住民税の課税証明書・納税証明書など)
- 扶養者の在留カードまたはパスポートの写し
- 返信用封筒 など
海外発行の証明書は、翻訳の添付を求められることがあります。案件や個別事情によって追加書類を求められる場合もあるため、最新の必要書類は必ず出入国在留管理庁の案内で確認するのが確実です。会社としては、在職証明書と収入関係の書類を正確かつ速やかに出せるよう、社内で準備の窓口を決めておくとスムーズです。
家族滞在の就労制限を必ず確認する
ここが最大の注意点です。家族滞在は、原則として就労が認められていません。呼び寄せた配偶者を「人手が足りないから」と自社でそのまま働かせると、不法就労に問われるおそれがあります。
働いてもらうには、本人が「資格外活動許可」を取得する必要があります。包括的な資格外活動許可を得た場合、就労できる時間は原則として「週28時間以内」に制限されます。風俗営業等に関わる業務は認められません。採用前に、在留カードの裏面や資格外活動許可の内容を確認し、許可の範囲と時間の上限を必ずチェックしてください。週28時間の管理を怠ると、本人も雇用主も責任を問われかねません。
在留期間の更新と扶養関係の維持
家族滞在の在留期間には期限があり、更新が必要です。そして家族滞在は扶養者の在留資格に紐づくため、扶養者である社員が転職・離職したり、在留資格を失ったりすると、家族側の在留にも影響が及ぶことがあります。
食品工場やホテル、介護など人手不足の現場で外国人材を扱ってきたエムティックのような事業者は、こうした家族帯同や在留期間の管理を含めて相談を受けることがあります。社員の在留期限と家族の在留期限を別々に把握し、更新時期を前もって管理する仕組みを作っておくと、うっかりの期限切れを防げます。家族が増えれば、管理すべき在留カードの数もその分だけ増えます。表計算やカレンダーで更新月をまとめておくだけでも、抜け漏れは大きく減らせるはずです。社員本人にも、期限が近づいたら早めに知らせてもらうよう伝えておくと安心でしょう。
🤝 よくある質問
Q1. 家族滞在で親を日本に呼べますか?
A. 原則できません。家族滞在の対象は扶養を受ける「配偶者」と「子」に限られます。親や兄弟姉妹は対象外です。詳しくは出入国在留管理庁の案内をご確認ください。
Q2. 技能実習や特定技能でも家族を呼べますか?
A. 制度上、家族の帯同が想定されていない在留資格もあります。技術・人文知識・国際業務など就労系の資格が家族滞在の扶養者になれるかが分かれ目です。まず本人の在留資格を確認しましょう。
Q3. 呼び寄せの手続きは会社が行うのですか?
A. 申請の主体は扶養者である社員本人です。会社は在職証明書や収入資料の提供で支える立場になります。役割分担を最初に整理しておくと混乱しません。
Q4. 家族滞在の家族を自社で働かせても大丈夫ですか?
A. 原則就労不可です。働かせるには本人が資格外活動許可を取得する必要があり、許可を得ても原則週28時間以内に制限されます。無許可の就労は不法就労のリスクがあります。
Q5. 扶養できる収入の具体的な金額基準はありますか?
A. 一律の公表基準はありません。ただし家族を養える安定した収入かどうかは審査で見られます。在職証明書や課税・納税証明書で継続的な収入を示すことが大切です。
Q6. 書類はどこで最新の内容を確認できますか?
A. 出入国在留管理庁の公式案内が確実です。必要書類は在留資格や個別事情で変わり、追加書類を求められることもあります。申請前に最新情報を確認してください。
Q7. 家族滞在の在留期限は誰が管理すべきですか?
A. 家族滞在は扶養者の在留に紐づくため、社員と家族の期限を会社側でも把握しておくと安心です。更新時期を前もって管理する仕組みづくりが有効です。
家族を迎える前に生活費と住居条件を確認する
家族帯同の可否と、家族が暮らせる生活環境が整っているかは別に確認します。会社の住居に同居できるか、本人の負担がどう変わるか、契約上の確認が必要かを整理してください。会社が在留審査の結果を約束することは避け、本人が必要な手続きを確認できる情報を案内します。
生活支援の約束と本人の選択を分ける
住居や生活に関する支援では、会社が手配すること、費用を負担すること、情報だけを案内することを区別します。契約する人、支払う人、困ったときの連絡先を確認し、本人にも分かる形で説明してください。「会社が用意する」とだけ伝えると、すべて無料で利用できると受け取られる可能性があります。初期費用、毎月の負担、退去時の精算など、時期ごとに必要な確認を整理しておきます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 家族滞在で呼べるのは配偶者と子だけで、扶養者がどの在留資格を持つかによって呼べるかどうかが変わります。まず社員本人の在留資格を確認しましょう。
- 呼び寄せは社員本人による在留資格認定証明書の申請から始まり、会社は在職証明書や収入資料の準備で支える立場です。役割分担を最初に整理するのが肝心です。
- 家族滞在は原則就労不可で、働かせるなら資格外活動許可(原則週28時間以内)が必須です。就労制限の見落としは不法就労につながるため要注意です。
まずは相談してきた社員の在留カードで在留資格を確かめ、呼べる家族の範囲と必要書類を一つずつ整理することから始めてみてください。判断に迷う点があれば、在留資格の実務に詳しい支援機関に状況を伝え、手続きの入り口だけでも確認しておくと、その後の対応が落ち着いて進められます。
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