外国人スタッフが辞めたあと、入管への届出が必要だと知らないまま放置していませんか?
外国人スタッフが退職したら、入管への届出が必要です。これは中長期在留者本人に課された義務です。名称は「契約機関に関する届出」。期限は退職日から14日以内。放置すると、本人が次の在留期間更新で不利になります。会社の信用にも響きます。
「あれ、辞めた子の手続き、ハローワークだけで良かったんだっけ」。「入管にも何か出す、って前に聞いた気が…」。「でも出すのは会社?それとも本人?」。正直なところ、ここは制度が二本立てで分かりにくい。会社が出すものと、本人が出すものが別々にあるからです。この記事では、退職時に発生する入管届出の中身と14日以内の手順、そしてハローワークへの届出との違いを整理します。読み終えれば、辞めた人の手続きで何を、誰が、いつまでにやるかを自分で判断できます。
この記事のポイント
- 退職時の入管届出は「契約機関に関する届出」で、出すのは本人。会社は代わりに出せませんが、案内する役割は大きいです。
- 期限は退職日から14日以内。窓口・郵送・オンラインの3つの方法があり、オンラインなら来所不要で済みます。
- 入管への届出とハローワークへの届出は別物。会社が忘れやすいのはハローワーク側なので、両方を切り分けて管理します。
この記事の結論
- 一言で言うと、退職時は「本人が入管へ14日以内」「会社がハローワークへ期限内」の二本立てです。
- 最も重要なのは、どちらが誰の義務かを取り違えないこと。混同すると片方が抜けます。
- 失敗しないためには、退職が決まった時点で本人へ入管届出を案内し、会社側は雇用状況の届出を同時に段取りすること。
📌 退職時に必要な「契約機関に関する届出」とは
そもそも誰に、どんな在留資格に発生する義務か
「契約機関に関する届出」は、入管法が中長期在留者本人に課している義務です。対象は、就労のために会社と契約している在留資格の人。具体的には「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「高度専門職」「介護」「技能」などです。こうした資格は、特定の会社と契約していることが在留の前提になっています。
留学生がアルバイトを辞めた場合も同様です。ここは在留カードの「在留資格」欄を見れば判断できます。よくあるのが、全員一律に届出が要ると思い込むケース。ケースによりますが、まずは本人の資格区分を確認するのが出発点になります。
提出義務者は「本人」、会社が代理で出すものではない
ここが一番の勘違いポイントです。契約機関に関する届出を出すのは、あくまで外国人本人。会社が本人に代わって提出する届出ではありません。「うちが出しておくよ」と善意で引き受けても、法律上の義務者は本人のままなんです。
とはいえ、辞めていく本人が制度を正確に理解しているとは限りません。だからこそ会社側が「入管への届出、忘れないでね」と一声かける。この案内が、後々のトラブルを防ぎます。
何を届け出るのか — 離職・移籍・名称変更の3パターン
届出が必要になる場面は、退職だけではありません。大きく3つあります。つまり退職です。前の会社からの離脱と、新しい会社との契約の両方を届け出ます。会社が社名変更したり移転したりした場合です。
退職の文脈で押さえるべきは、一つ目の「離脱」。届出書には、退職した本人の情報と、辞めた会社の名称・所在地を記載します。転職先が既に決まっているなら、新しい契約の届出も同じ用紙で対応できます。
🔑 14日以内に出す手順と、ハローワーク届出との違い
手順①:期限を確認し、届出書と本人書類をそろえる
まず期限。退職日から14日以内です。この「14日」は意外と短い。有給消化で最終出社と退職日がずれることもあるので、退職日がいつなのかを本人と会社で共有しておきます。
次に書類。入管の様式「契約機関との契約終了に関する届出」を使います。出入国在留管理庁のサイトから様式をダウンロードできます。記入するのは本人の氏名・生年月日・在留カード番号、そして終了した契約機関の情報。添付書類は原則不要で、在留カードの提示があれば足りるケースが多いです。ここは分野によって扱いが変わることもあるので、迷ったら地方出入国在留管理官署に確認するのが確実ですね。
手順②:窓口・郵送・オンラインの3方法から選ぶ
提出方法は3つです。一つ目は窓口。住所地を管轄する地方出入国在留管理官署へ直接持参します。二つ目は郵送。届出書と在留カードのコピーを、管轄官署の届出担当あてに送ります。封筒に「届出書在中」と朱書きするのが通例です。
三つ目がオンライン。出入国在留管理庁の電子届出システムを使えば、来所も郵送も不要で完結します。事前に利用者情報の登録が要りますが、一度登録すれば以降の届出がぐっと楽になります。「入管まで行く時間がない」という本人には、オンラインを案内すると喜ばれます。移動中でも出せるのは大きいです。
手順③:ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」と混同しない
会社が忘れがちなのは、こちらです。外国人が退職したとき、事業主は厚生労働省ルールに基づき、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を出す義務があります。これは入管の届出とは完全に別物。義務者は会社です。
期限も違います。雇用保険の被保険者なら、資格喪失届と一緒に、離職日の翌々日から10日以内。被保険者でないパート等なら、退職した月の翌月末日まで。届け出るのは、氏名・在留資格・在留期間・国籍などです。整理すると、「入管への契約機関届出=本人が14日以内」「ハローワークへの雇用状況届出=会社が期限内」。この二本立てを一枚のチェックリストにしておくと、抜け漏れが起きません。正直、ここを混同して片方だけ出す会社はかなり多いです。
怠った場合のリスク — 本人の在留と会社の信用
届出を怠ると、どうなるか。本人側は、正当な理由なく届出をしなかった場合、入管法上のペナルティの対象になり得ます。実務上は、次の在留期間更新や在留資格変更の審査で「届出をきちんとしているか」が見られます。届出漏れが続くと、更新がスムーズにいかないこともある。本人の日本での生活に直結するわけです。
会社側は、ハローワークへの雇用状況届出を怠ると、30万円以下の罰金という定めがあります。金額もですが、外国人雇用の管理体制がずさんだと見られることのダメージが大きい。次の採用や許認可の場面で信用に関わります。届出は面倒に見えて、実は自社を守る手続きでもあるんです。
よくある質問
Q1. 退職時の入管届出は会社が出すのですか?
所属機関等に関する届出は本人が14日以内に行う義務を負いますが、文書を代理人が提出する方法や郵送等も認められています。会社担当者による提出を一律に不可とせず、本人の意思に基づき、提出方法ごとの必要書類等を入管に確認してください。
Q2. 期限の14日はいつから数えますか?
A. 退職日、つまり契約機関から離脱した日から14日以内です。最終出社日ではなく退職日が起算日なので、有給消化がある場合は注意してください。
Q3. すべての外国人スタッフに必要ですか?
A. いいえ。「技人国」「特定技能」など就労系の在留資格が対象です。永住者や日本人の配偶者等、留学生アルバイトには発生しません。在留カードの資格欄で確認できます。
Q4. オンラインで出すには何が必要ですか?
A. 出入国在留管理庁の電子届出システムへの利用者情報登録が必要です。登録後は来所不要で提出でき、退職後に帰省した本人でも対応しやすくなります。
Q5. ハローワークの届出とは何が違いますか?
A. 義務者が違います。入管の契約機関届出は本人が14日以内、ハローワークの雇用状況届出は会社が期限内。目的も窓口も別で、両方が必要です。
Q6. 届出を忘れたまま本人が退職済みだと、どうなりますか?
A. 本人は次の在留更新等で不利になる可能性があります。気づいた時点で速やかに届け出れば足りるケースが多いので、まず本人に連絡し、管轄官署へ相談してください。
Q7. 転職先が決まっている場合はどうしますか?
A. 前社からの離脱と新しい契約を、同じ届出でまとめて出せます。移籍のパターンとして扱われ、こちらも起算は変動日から14日以内です。
退職時の届出と社内処理を別に管理する
退職後の本人の手続きと、企業が行う届出や保険等の処理を一覧にします。書類を渡したことだけで本人の届出が完了したと扱わないようにしてください。連絡先、貸与品、未精算の費用なども確認し、必要な案内を理解できる形で渡します。
期限を通知するだけで終わらせない管理方法
期限の管理表は、日付を登録するだけでは十分ではありません。対象者、手続きの種類、確認した資料、社内の担当者、本人への連絡日、次の確認日を一組で管理します。法令上の期限、会社が設定する準備期限、就業や契約の予定日は別の欄に置きましょう。社内の前倒し日程を法律上の期限のように説明すると、本人にも担当者にも誤解が生じます。期限の根拠が分からない項目は、推測で埋めずに確認中と表示します。
通知を受けた人が何をすればよいかも決めておきます。本人へ連絡する、必要資料を依頼する、届いた資料を確認する、結果を管理表に戻すという流れを、実際の担当者名でつなぎます。休暇や異動に備え、代理担当者にも進行状況が分かるようにしてください。未回答のまま通知を消せる仕組みではなく、確認日と次の対応が残るようにすると、途中で止まっている項目を見つけやすくなります。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 所属機関等に関する届出は本人が14日以内に行う義務を負いますが、文書を代理人が提出する方法や郵送等も認められています。会社担当者による提出を一律に不可とせず、本人の意思に基づき、提出方法ごとの必要書類等を入管に確認してください。
- 提出は窓口・郵送・オンラインの3方法があり、なかでもオンラインは来所不要で、退職後に離れた本人でも出しやすい方法です。
- 入管への届出とハローワークへの届出は別物で、「本人・14日以内」と「会社・期限内」を一枚のチェックリストに分けて管理すれば、片方だけ抜ける失敗を防げます。
退職の手続きは、在職中の対応より見落とされがちです。でも、ここを丁寧にやっておくと、本人にとっても会社にとっても後々の安心につながります。「うちのケースはどっちの届出が要るんだろう」と迷ったら、抱え込まずに一度ご相談ください。まずは話だけでも、状況を整理するお手伝いをします。
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