特定技能で人材を受け入れるには、本人がどんな試験に合格している必要があるのか。
特定技能の試験は、大きく2種類です。分野ごとの「技能評価試験」と、共通の「日本語試験」。この2つに合格して初めて、特定技能1号で働けます。日本語試験はJFT-BasicかJLPT N4以上のどちらか。技能試験は介護・外食・建設など、分野ごとに別物です。まずはこの2本柱を押さえてください。
「うちの応募者、何の試験に受かってればいいの?」「JLPTって聞くけど、特定技能でも使えるの?」「技能実習を終えた子は、また試験を受け直すの?」——採用の現場で、こういう声をよく聞きます。制度の名前だけ見ても、どれが必須でどれが免除なのか、正直わかりにくい。この記事では、技能試験と日本語試験の中身、分野ごとの違い、そして応募者の合格実績の確認方法までを、順番にやさしく整理します。
この記事のポイント
- 特定技能1号の試験は「技能評価試験」+「日本語試験」の2本柱。日本語はJFT-BasicまたはJLPT N4以上のどちらか一方でOKです。
- 技能試験は分野ごとに完全に別の試験。介護分野だけは「介護日本語評価試験」という追加の日本語試験もあります。
- 技能実習2号を良好に修了した人は、両方の試験が免除。即戦力をそのまま特定技能へ切り替えられます。
この記事の結論
- 一言で言うと、特定技能の入口は「分野の技能試験」と「日本語試験(N4相当)」の2つ。
- 最も重要なのは、応募者の合格証明書を分野・レベルまで確認すること。
- 失敗しないためには、技能実習修了者の「試験免除ルート」を見落とさないことです。
🔑 特定技能の試験は「技能」と「日本語」の2本柱
分野別の技能評価試験とは
特定技能1号で働くには、まず「分野別の技能評価試験」に合格する必要があります。これは、その仕事を一定レベルでこなせるかを測る試験です。出入国在留管理庁の運用要領でも、特定技能1号は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を持つ人材、と位置づけられています。つまり、未経験スタートではなく、ある程度すぐ動ける人。ここが技能実習との大きな違いです。
試験は分野ごとに完全に別物です。介護なら「介護技能評価試験」、外食なら「外食業特定技能1号技能測定試験」、建設なら「建設分野特定技能1号評価試験」。学科と実技を組み合わせたものが多く、コンピューターを使うCBT方式が主流です。合格基準はおおむね6割前後の正答率に設定されている試験が多い、というのが現場の感覚です。
弊社の経験上、ここで企業がよく混同するのが「分野」と「業務区分」。たとえば外食業の試験に受かった人を、介護施設の現場には配置できません。試験が対応する分野と、実際に任せたい仕事が一致しているか。採用前に必ず突き合わせてください。
日本語試験は2種類のどちらかでOK
もう一本の柱が、日本語試験です。特定技能1号では、生活と仕事に支障のない日本語力を測ります。具体的には、次のどちらか一方に合格していればOKです。
ひとつは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」。もうひとつは「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」。実はこの2つ、どちらでも条件を満たします。両方受ける必要はありません。N4は「基本的な日本語をある程度理解できる」レベルの目安。やさしい日常会話なら聞き取れる、という段階です。
正直なところ、N4は「現場ですぐペラペラ」というレベルではありません。ここを誤解すると、入社後に「思ったより通じない」とギャップが生まれます。ある食品工場の採用担当の方から、こんな相談がありました。「N4合格って聞いて安心してたのに、専門用語が全然伝わらなくて」。よくあるのが、これです。試験の合格レベルと、現場で必要なレベルは別。最初は短い指示とふりがな付きマニュアルで補う前提が現実的です。
介護分野だけは日本語試験がもう一つ
ここで注意点。介護分野だけは、試験がもう一段あります。技能評価試験と通常の日本語試験に加えて、「介護日本語評価試験」が必要です。これは、介護の現場特有の言葉やコミュニケーションを測る試験。利用者さんとのやり取りや、専門用語の理解が問われます。
つまり介護の応募者は、原則として「介護技能評価試験」「日本語試験(JFT-BasicまたはN4)」「介護日本語評価試験」の3つに合格していることになります。介護施設の採用では、この3点セットの合格証を確認するのが基本。1枚足りないと在留資格の申請が止まることもあるので、ここは丁寧に。
実は、分野によって必要な試験の数や種類はこのように差があります。「特定技能の試験はどこも同じ」と思い込まず、自社の分野の要件を個別に確認する。これが遠回りに見えて、いちばん確実です。
💡 試験免除と合格実績の確認方法
技能実習2号を修了すると試験が免除になる
ここが、知っておくと得をするポイントです。技能実習2号を「良好に修了」した人は、特定技能1号への移行にあたって、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。改めて試験を受け直す必要がない、ということ。
ただし条件があります。免除されるのは、技能実習で行っていた職種・作業と、特定技能で従事する分野・業務に関連性がある場合です。たとえば、食品製造の技能実習を良好に修了した人が、飲食料品製造業の特定技能へ進むケース。職種がつながっていれば、試験なしで切り替えられます。逆に、まったく別分野へ移る場合は、その分野の技能試験が必要になることもあります。
ある食品メーカーの人事の方が、こう話していました。「実習が終わったら帰国、とあきらめていたんですが、試験免除で特定技能に切り替えられると知って、3人そのまま残ってもらえました」。育てた人材を手放さずに済む。これは受け入れ企業にとって、かなり大きいです。
試験はどこで・いつ実施されているか
技能試験と日本語試験は、日本国内だけでなく、海外でも実施されています。フィリピン、インドネシア、ベトナム、ミャンマーなど、送り出しの多い国で現地受験が可能な分野もあります。日本国内で生活している在留外国人なら、国内会場での受験が中心です。
弊社のように国内在住者に特化している場合、すでに国内で試験に合格している、あるいは技能実習を修了して免除に該当する人材が多いのが実情です。海外から呼び寄せると、試験の手配・渡航・在留資格認定と工程が増えます。国内在住者中心だと、ここの負担とリスクがぐっと下がる。ケースによりますが、急ぎの採用ほど国内人材のほうがスムーズです。
試験は分野ごとに実施スケジュールが決まっており、年に複数回行われるものが一般的です。次の試験日まで間が空くと、採用計画が後ろにずれます。応募者がすでに合格済みかどうかを、最初に確認しておくと安心です。
応募者の合格実績をどう確認するか
最後に、実務でいちばん大事な「確認の仕方」です。応募者が試験に合格しているかは、合格証明書(合格証)で確認します。技能評価試験の合格証、日本語試験(JFT-BasicまたはJLPTの結果通知)の写しを、面接や書類選考の段階で提示してもらいましょう。
確認すべきは3点。①分野が自社の仕事と一致しているか、②日本語試験がN4相当以上か、③介護なら介護日本語評価試験も揃っているか。この3つを突き合わせれば、入口要件はほぼ判断できます。技能実習修了者なら、技能実習を「良好に修了」したことを示す評価調書なども確認対象です。
正直、ここを自社だけで毎回チェックするのは骨が折れます。分野ごとに見るべき書類が違いますから。弊社のような登録支援機関や人材会社は、この確認と在留資格申請まで一括で代行できます。「合格証は揃っているけど、これで申請が通るか不安」というときは、専門家に一度見てもらうと、手戻りを防げます。
❓ よくある質問
Q1. 特定技能の試験は全部でいくつ受ける必要がありますか?
A1. 原則2つです。分野別の技能評価試験と、日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上のどちらか一方)。介護分野のみ、さらに介護日本語評価試験を加えた計3つになります。
Q2. 日本語はJLPTとJFT-Basic、どちらが有利ですか?
A2. どちらでも要件は満たせます。有利・不利はありません。JLPTはN4以上が条件で年2回ほど、JFT-Basicは年複数回・CBT方式で受けやすいのが特徴。受験しやすい方を選べば大丈夫です。
Q3. JLPTのN5では特定技能で働けませんか?
A3. 働けません。特定技能1号の日本語要件はN4相当以上です。N5はN4より下のレベルのため、要件を満たしません。N4以上の合格証を確認してください。
Q4. 技能実習を終えた人も、また試験を受けるのですか?
A4. 多くの場合、不要です。技能実習2号を良好に修了し、職種が関連していれば、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。ただし別分野へ移る場合は、その分野の技能試験が必要になることがあります。
Q5. 試験に合格していれば、すぐに働き始められますか?
A5. すぐにではありません。合格はあくまで入口の条件です。その後に在留資格(特定技能1号)の申請・許可が必要で、ここに数週間から数か月かかります。逆算してスケジュールを組んでください。
Q6. 試験はどの国で受けられますか?
A6. 日本国内のほか、フィリピン・インドネシア・ベトナムなど海外でも分野により実施されています。国内在住の在留外国人なら、国内会場での受験が中心です。分野ごとに実施国と日程が異なります。
Q7. 合格証が本物かどうか、どう確認すればいいですか?
A7. 各試験の運営機関が発行する合格証や結果通知の原本・写しで確認します。分野・レベルが自社の要件と合っているかが要点です。判断に迷う場合は、登録支援機関や人材会社に書類確認を依頼すると確実です。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 特定技能1号の試験は「分野別の技能評価試験」と「日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)」の2本柱。介護分野のみ介護日本語評価試験が加わります。
- 技能実習2号を良好に修了し職種が関連していれば、両試験とも免除。育てた人材をそのまま特定技能へ切り替えられます。
- 採用時は合格証で「分野・日本語レベル・介護の追加試験」の3点を確認。ここが入口要件の判断軸になります。
試験の種類と免除ルートを押さえれば、「うちの応募者は条件を満たしているのか」が自分で見極められるようになります。とはいえ、分野ごとに見るべき書類が違い、在留資格の申請まで考えると不安も残るもの。まずは話だけでも、と気軽に相談していただいて大丈夫です。自社に合った受け入れの進め方を、一緒に整理していきましょう。
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