「外国人採用の手続きくらい自社でできるはず」と始めてみたものの、書類の多さや専門用語に疲れていませんか?
外国人採用は、自社だけでも進められます。ただし、負担とリスクは想像以上に重い。これが結論です。理由は単純で、ビザ・入管・言語という3つの専門領域を、同時に背負うことになるからです。
「申請書類くらい、人事で何とかなるだろう」。「ネットで調べれば書き方は分かるはず」。「外注すると費用がかさむから、まずは自分たちで」。最初はそう思うんですよね。正直なところ、その判断自体は間違っていません。自社対応にはメリットもあります。
ただ、途中で手が止まる企業がとても多い。書類の山、専門用語、入管の窓口対応。本業の合間にやるには、重すぎるんです。
この記事では、自社対応の良い面も認めたうえで、どこにリスクが潜むのかを言語化します。そして「自社でやるか、外注するか」を、あなた自身が判断できる基準をお渡しします。
この記事のポイント
- 自社対応にもメリットはある:費用を抑えられ、ノウハウが社内に残ります。ただしそれは「人と時間に余裕がある場合」に限られます。
- 負担は書類・入管・言語の3領域に集中する:とくに在留資格の選択ミスは、不許可という致命傷につながります。
- 全部か外注かの二択ではない:内製と委託を切り分ける「判断基準」を持てば、無理なく続けられます。
この記事の結論
- 一言で言うと、外国人採用は「やれるけど重い」。判断の軸は人手・時間・リスク許容度の3つです。
- 最も重要なのは、在留資格の判断を素人だけで決めないこと。ここを誤ると採用そのものが白紙になります。
- 失敗しないためには、定型業務は内製、専門判断は外部、という線引きを最初に決めることです。
📌 自社だけで外国人採用を進めるデメリットを正直に整理する
まず公平にお伝えします。自社対応には、確かなメリットがあります。仲介手数料がかからず、採用ノウハウが社内に蓄積される。次回以降は社内で回せるようになる。これは大きな資産です。
それでも、自社対応をおすすめできないケースがある。理由は、デメリットが特定の3領域に集中して現れるからです。順に見ていきます。
書類の量と複雑さが、本業を圧迫する
外国人採用の書類は、日本人採用とは比べものになりません。雇用契約書や労働条件通知書は母国語での明示が求められることもあり、在留資格認定証明書(COE)の申請では、会社の登記事項証明書、決算書、事業計画、雇用理由書まで揃える必要があります。
「これ、何のために出すんですか?」。ある食品工場の人事担当の方が、申請書類のリストを前にこぼした言葉です。一枚一枚に意味はあるのですが、初めて見ると面食らう量なんですよね。書類のフォーマットは入管の運用変更で更新されることもあり、古い様式で作ってしまうと、それだけで差し戻されます。
しかも、本業の片手間です。実は、ここで多くの企業が止まります。書類作成に時間を取られ、肝心の現場が回らなくなる。本末転倒です。厚生労働省の外国人雇用状況の届出を見ても、外国人を雇う事業所は年々増え続けています。つまり、書類対応に追われる企業もそれだけ増えているということです。
入管対応の難しさと、不許可リスク
出入国在留管理庁(入管)への申請は、提出して終わりではありません。審査の過程で追加資料を求められることもあり、記載の不備があれば差し戻されます。やり取りには専門知識が要ります。
そして最大のリスクが、不許可です。出入国在留管理庁が公表する在留資格の運用要領に沿わない申請は、許可が下りません。在留資格の選択を誤れば、採用そのものが白紙になります。内定者を待たせ続けた末に不許可、という事態は、避けたいところです。
ケースによりますが、申請から交付まで数か月かかることもあります。やり直しになれば、入社時期は大きくずれ込みます。「もう半年も待たせてしまって、本人が他社に流れないか心配で…」。実際に、自社申請でつまずいた採用担当の方から、こうしたご相談をいただくことは珍しくありません。一度差し戻されると、再申請の準備にまた時間がかかる。この往復が、地味に効いてくるんです。
言語と文化のギャップが、見えない負担になる
書類と入管だけではありません。採用後のフォローも、言語の壁が立ちはだかります。
「分かりました」と返事をしたのに、まったく違う作業をしていた。よくあるんです、これが。本人に悪気はなく、ただ「分からないと言えなかった」だけ。多言語での説明やマニュアル整備を、誰がやるのか。社内に対応できる人がいなければ、ここも負担としてのしかかります。
正直なところ、書類は頑張れば何とかなります。でも、日々のコミュニケーションは終わりがありません。ここを軽く見ると、早期離職という別のコストに跳ね返ってきます。せっかく数か月かけて採用したのに、半年で辞められる。採用コストが丸ごと無駄になります。多言語・多国籍の現場では、宗教や食習慣への配慮、生活面のサポートまで視野に入ります。これらを全部社内だけで回すのは、想像以上に骨が折れる作業なんです。
🔑 自社対応か外注か、判断するための基準
では、どう判断すればいいのか。「全部自社」でも「全部外注」でもなく、切り分けが大切です。弊社の経験上、次の基準で考えると整理しやすくなります。判断基準を5つ挙げます。
基準1〜2:人手と時間に余裕があるか
第一の基準は、専任担当を置けるかどうか。外国人採用の実務は、片手間では回りません。最低でも一人、ある程度の時間を割ける担当者が必要です。それが難しいなら、外注を検討すべきサインです。
第二の基準は、入社までの猶予です。繁忙期に間に合わせたいのに余裕がない。そんな状況で初めての自社申請に挑むのは、リスクが高い。時間がないほど、専門家に任せた方が結果的に早く着地します。ちなみに弊社は、国内に既に在住する在留外国人に特化することで、最短3日で現場に入れる体制を取っています。海外から呼び寄せるよりビザや渡航のリスクが低く、時間がない企業ほど効いてくる選択肢です。
基準3〜4:在留資格の難しさとリスク許容度
第三の基準は、在留資格の複雑さです。技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習。業務内容によって認められる資格は細かく分かれます。判断に少しでも迷うなら、ここは専門家を入れるべき領域です。
第四の基準は、リスクをどこまで許容できるか。不許可になっても再挑戦できる余裕があるのか、それとも一度きりの勝負なのか。後者なら、自社だけで進めるのは危険です。
基準5:採用が単発か、継続するか
第五の基準は、頻度です。一度きりの採用なら、外注して確実に通す方が合理的。一方、今後も継続的に外国人を雇うなら、ノウハウを社内に残す価値があります。その場合でも、最初の数件は専門家と並走し、徐々に内製化する。これが現実的です。
ちなみに、依頼先にも種類があります。在留資格の申請なら行政書士、特定技能の義務的支援なら登録支援機関、採用そのものなら人材会社。役割が違うので、ここも比較して選ぶといいですよ。弊社のように派遣・紹介・登録支援を1社で持つ会社なら、状況に応じて使い分けられます。
よくある質問
Q1. 外国人採用は本当に自社だけでできますか?
A. できます。ただし専任担当と時間の確保が前提です。書類・入管・言語の3領域を社内で背負える体制があるかが分かれ目になります。
Q2. 自社対応の一番のメリットは何ですか?
A. 費用を抑えられ、ノウハウが社内に残ることです。仲介手数料が不要になり、2回目以降は社内で回しやすくなります。
Q3. 在留資格の選択を間違えるとどうなりますか?
A. 不許可になり、採用自体が白紙になります。出入国在留管理庁の運用要領に沿わない申請は通りません。判断に迷う場合は専門家への相談が安全です。
Q4. ビザ申請から入社までどのくらいかかりますか?
A. ケースによりますが、COE申請では数か月かかることもあります。書類不備で差し戻されればさらに延びるため、早めの逆算が重要です。
Q5. 外注すると費用はどのくらいですか?
A. 依頼先や業務範囲で変わります。たとえば派遣のマージン率は弊社で23.8%です。費用は内訳を確認し、自社で抑えられる部分と切り分けて検討してください。
Q6. どこを内製し、どこを外注すべきですか?
A. 定型的な事務は内製、在留資格の判断や入管対応は外注が基本です。専門判断のミスは致命傷になりやすいため、ここを優先して任せると安全です。
Q7. まず何から相談すればいいか分かりません。
A. 「自社でやれそうか分からない」段階で大丈夫です。現状の人員・時期・採用したい資格を伝えれば、内製と外注の切り分けから一緒に整理できます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 自社対応にもメリットはある:費用とノウハウの面で価値があります。ただし人と時間に余裕があることが条件です。
- 負担は書類・入管・言語に集中する:とくに在留資格の選択ミスは不許可という致命傷につながるため、ここは慎重に。
- 判断は二択ではなく切り分け:人手・時間・資格の難しさ・リスク許容度・継続性の5基準で、内製と外注の線を引きましょう。
外国人採用は、抱え込みすぎても、丸投げしすぎても、うまくいきません。大切なのは、自社の状況に合った「ちょうどいい距離感」を見つけることです。まずは話だけでも、現状を整理するところから始めてみませんか。一緒に判断材料を揃えていきましょう。
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