外国人材を「派遣」で受け入れるべきか、それとも将来の直接雇用を見据えた「紹介予定派遣」を選ぶべきか。
外国人材の受け入れ、答えは「目的次第」です。今すぐ現場を回したいなら派遣。将来うちの社員にしたいなら紹介予定派遣。まずはこの一本の線で分かれます。両者は似ているようで、契約の主体もコストの出方もまるで違う。ここを混同したまま動くと、必ず後悔します。
「とにかく人手が足りない、明日にでも来てほしい」「でも、せっかく育てるなら長く働いてほしいよな…」。採用の現場でよく聞く、この二つの本音。実はどちらを優先するかで、選ぶべき形態は一本道で決まります。正直なところ、ここを曖昧にしたまま相談に来られる企業さんは多いんです。この記事では、一般派遣と紹介予定派遣の仕組み・費用・正社員化までの流れを公平に比べ、自社がどちらを使うべきか、自分で判断できるところまで整理します。
この記事のポイント
- 判断軸は「直接雇用したいか否か」の一点。 将来の正社員化を前提にするなら紹介予定派遣、当面の戦力確保なら一般派遣、とまず切り分けます。
- コストの出方が逆。 一般派遣はマージンを含む時給を払い続ける月額型、紹介予定派遣は直接雇用に切り替わる時点で紹介手数料が発生する一回型です。
- 「見極め期間」が紹介予定派遣の最大の価値。 最長6か月、実際に働く姿を見てから直接雇用を判断できるため、ミスマッチによる採用失敗を大きく減らせます。
この記事の結論
- 一言で言うと、派遣は「使う」雇用、紹介予定派遣は「迎える」採用です。
- 最も重要なのは、人を「いつまで・どんな形で」抱えたいかという自社の方針を先に決めること。
- 失敗しないためには、コストの総額だけでなく、定着・教育・在留資格の手間まで含めて両者を比べることが欠かせません。
🔑 一般派遣と紹介予定派遣、何がどう違うのか
雇用主が誰か——ここが全ての分かれ目
まず押さえたいのは、雇用契約を結ぶ相手です。一般派遣では、外国人スタッフの雇用主は派遣会社。給与の支払いも社会保険も、在留資格の管理も派遣元が担います。受け入れ企業は「指揮命令」だけを行う立場。労務管理の大半を外に出せるのが特徴です。
一方、紹介予定派遣は少し複雑。最初の一定期間は派遣として働き、その後に派遣先企業が直接雇用へ切り替えることを「予定」した形態です。つまり前半は派遣、後半は自社の社員。雇用主がバトンタッチする前提で動く、いわばお試し付きの採用ですね。
正直なところ、この「雇用主が誰か」を理解しないまま進めると、社会保険の手続きや残業の指示系統で混乱が起きます。実は、ここが一番の落とし穴なんです。給与計算は誰が、有給は誰が付与するのか。雇用主が違えば、責任の所在もまるごと変わる。最初にここを腹落ちさせておくと、後のやり取りが驚くほどスムーズになります。
期間と「見極め」の有無
一般派遣に「お試し」の概念はありません。契約期間中は働いてもらい、更新するかしないかを都度判断する。シンプルです。繁忙期だけ、欠員の穴埋めだけ、といった使い方に向きます。
紹介予定派遣には、職業安定法に基づく明確なルールがあります。派遣として働ける期間は最長6か月。この間に企業と本人がお互いを見極め、双方が合意すれば直接雇用へ移ります。書類選考や数回の面接だけでは分からない「現場での実際の働きぶり」を、半年かけて確認できる。これが最大の価値です。
弊社のお客様で食品工場を営む企業さんは、こう話していました。「面接では物静かに見えたベトナムの彼が、いざラインに入ったらムードメーカーで。あれは派遣期間がなかったら気づけなかったよ」。数字に出ない部分こそ、見極め期間が効いてくるわけです。
業務の自由度と定着への影響
一般派遣のスタッフには、契約で定めた業務しか任せられません。これは派遣法上のルールで、勝手に範囲を広げると違法になります。「人手が足りないから他の仕事も」というのが通用しない。ここは窮屈に感じる場面もあります。
紹介予定派遣で直接雇用に切り替わった後は、自社の社員として幅広い仕事を任せられます。昇給・昇格の道も開けますし、本人にとっても「この会社で長く働ける」という安心感につながる。定着率の観点では、直接雇用を見据えた紹介予定派遣に分があります。ケースによりますが、腰を据えて働いてほしい職種ほど、この差は大きく出ます。
💡 コストと向く場面で選ぶ——後悔しない使い分け
費用の構造がまるで違う
ここは多くの経営者が一番気にするところ。一般派遣のコストは、時給に派遣会社のマージンを乗せた金額を、働いてもらう限り払い続ける月額型です。マージン率は会社によって幅がありますが、弊社の場合は23.8%を公開しています。初期費用がかからない代わりに、長く使うほど総額は積み上がります。
紹介予定派遣は二段構え。派遣期間中は時給ベースで支払い、直接雇用に切り替わるタイミングで「紹介手数料」が発生します。相場は想定年収の20〜30%程度。一回きりの大きな出費ですが、その後は自社の給与体系で雇うだけなので、長期で見ると割安になりやすい。
つまり、短く使うなら派遣、長く雇うなら紹介予定派遣のほうがコスト効率は良くなる傾向があります。実はここの損益分岐を見誤って「派遣で1年以上回し続けてもったいなかった」というケース、よくあるんです。目安として、一年を超えて同じ人に働き続けてほしいなら、紹介予定派遣で直接雇用へ切り替えるほうが総額を抑えやすい。逆に半年以内の短期なら、紹介手数料が乗らない一般派遣のほうが軽く済みます。自社が何か月使うつもりかを先に見積もる。これだけで判断が一気にラクになります。
在留資格と手続きの負担
外国人材ならではの論点が、在留資格です。派遣でも直接雇用でも、就労できる在留資格(特定技能・技術人文知識国際業務・身分系など)を持っていることが大前提。一般派遣なら、この確認や更新管理を派遣元が引き受けます。受け入れ側の事務負担はぐっと軽い。
直接雇用に切り替わると、在留資格に関わる届出や管理は自社の責任になります。出入国在留管理庁への所属機関の届出、厚生労働省への外国人雇用状況の届出など、抜けると指導の対象になる手続きが出てくる。ここを甘く見ると、せっかくの直接雇用が手間に化けます。だからこそ、派遣・紹介・登録支援を一社でつないでくれる会社を選ぶと、切り替え後もフォローが途切れません。
判断基準——自社はどちらを選ぶべきか
最後に、選ぶための物差しを整理します。次の基準で自社を当てはめてみてください。
第一に、雇用の期間。半年未満の一時的な人手なら一般派遣。一年以上、できれば長く働いてほしいなら紹介予定派遣です。第二に、教育コストをかける覚悟。育てて戦力にしたいなら、直接雇用前提のほうが本人のやる気も続きます。第三に、労務管理を社内で持てるか。手が回らないなら派遣のまま、という選択も十分アリ。
ホテル業の採用担当者さんは、フロントは紹介予定派遣で長く、清掃は繁忙期だけ一般派遣で、と使い分けていました。「全部を直接雇用にする必要はないんだよね」と。この割り切りが、コストと定着の両立につながります。一社の中で両方を使い分ける——これが一番賢い形かもしれません。
❓ よくある質問
Q1. 紹介予定派遣なら必ず直接雇用しないといけませんか?
A1. いいえ、義務ではありません。派遣期間中に「合わない」と判断すれば、直接雇用を見送れます。本人側にも断る自由があり、双方合意が前提です。
Q2. 一般派遣はどのくらいの期間使えますか?
A2. 同一の派遣スタッフを同じ部署で受け入れられるのは原則3年が上限です。それ以上はクーリング期間や直接雇用への切り替えなどの対応が必要になります。
Q3. 紹介予定派遣の手数料の相場はどのくらいですか?
A3. 直接雇用に切り替わる時点で、想定年収の20〜30%程度が一般的です。年収300万円なら60〜90万円ほど。一回きりの費用です。
Q4. 外国人でも紹介予定派遣は使えますか?
A4. はい、使えます。ただし派遣・直接雇用のいずれでも、就労可能な在留資格が必要です。資格外の業務に就かせると不法就労になるため確認は必須です。
Q5. 最短でどのくらいで現場に入ってもらえますか?
A5. ケースによりますが、国内在住者中心に母集団を持つ会社なら最短3日程度での稼働も可能です。海外採用と違い渡航やビザ取得の待ち時間が要りません。
Q6. 派遣中の社会保険や残業代は誰が負担しますか?
A6. 一般派遣・紹介予定派遣の派遣期間中は、雇用主である派遣元が負担・管理します。直接雇用に切り替わった後は自社の負担に移ります。
Q7. どちらを選べばいいか自社では判断できません。相談だけでも可能ですか?
A7. もちろん可能です。むしろ「まず話だけ」という相談が一番多いくらいです。業種・期間・予算を伝えれば、向く形態を一緒に整理できます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 選択の軸は「直接雇用したいかどうか」の一点。 当面の戦力なら一般派遣、将来の社員化なら紹介予定派遣、とまず切り分けるのが出発点です。
- コストは出方が逆。 派遣は払い続ける月額型、紹介予定派遣は切り替え時の一回型。使う期間の長短で、どちらが得かが分かれます。
- 紹介予定派遣の本質は「最長6か月の見極め」。 実際の働きぶりを見てから雇える安心は、外国人採用のミスマッチを確実に減らします。
どちらが正解、という話ではありません。自社の人手不足が「今だけ」なのか「これからずっと」なのか——そこさえ言葉にできれば、進む道は自然と見えてきます。迷ったときは、抱え込む前にまず話だけでも聞かせてください。一緒に最適な形を整理しましょう。
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