外国人採用にかかる費用の全容とコストを抑えるポイント
外国人採用のコストは「日本人より極端に高い投資」ではなく、設計しだいで3年トータルの人件費を20〜30%圧縮できる手段です。
初期費用は1人あたり40〜100万円前後、月額の追加コストは2〜3万円が現実的なラインになります。
ただし職種・在留資格・採用ルートによって費用構造がまったく変わるため、「相場だけ」で判断すると失敗します。
【この記事のポイント】
- 外国人採用の初期費用は「40〜100万円前後」がボリュームゾーンですが、日本人新卒平均93.6万円と大差ありません。
- 月々の追加コストは1人あたり2〜3万円が目安で、支援内容と離職リスクをセットで見ると費用対効果が見えやすくなります。
- コストを抑える最大のポイントは「採用ルートの設計」と「定着率アップ」であり、ここを外すと結果的に日本人採用より割高になります。
この記事の結論
一言で言うと、外国人採用のコストは「高くも安くもない」、設計次第です。
最も重要なのは「初期費用より定着率と生産性」で費用対効果を見ることです。
失敗しないためには「採用ルートの比較」と「支援体制への投資」をセットで考えることがポイントになります。
外国人採用コストの基本構造と相場感
初期費用の内訳と「40〜100万円前後」の現実
まず、外国人採用の費用は「初期費用」と「月々の継続費用」に分けて考えると一気に整理できます。
初期費用の代表的な項目は次の通りです。
| 項目 | 相場の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 人材紹介会社の手数料 | 年収の30〜50%(例:90〜150万円) | 高度人材・専門職で発生しやすい |
| 固定フィー型紹介手数料 | 20〜60万円/1人 | 特定技能・技能実習などで多い |
| 送り出し機関手数料 | 約20〜60万円 | 海外から呼ぶ場合に発生 |
| 登録支援機関への初期費用 | 10〜20万円/1人 | 生活オリエンテーション等 |
| 在留資格申請・変更・認定費用 | 10〜20万円前後/1人 | 行政書士報酬+申請関連コスト |
| 渡航費用 | 4〜10万円程度 | 航空券など |
| 健康診断・備品・住宅初期費用 | 5〜10万円+敷金礼金など | 住まいまで準備する場合 |
これらを合計すると、1名あたりの初期コストは40〜80万円に収まるケースが多い、というデータがいくつかの専門サイトで共通しています。
人材紹介の割合が大きい高度人材の場合は100万円を超えることもありますが、日本人新卒採用でも平均93.6万円、中途採用で103.3万円という調査もあるため、「外国人だけ特別に高い」と決めつけるのは早計です。
【現場体験談①:製造業・中小企業のケース】
弊社が以前サポートした従業員80名規模の製造業では、「外国人を採ると手数料だけで100万円飛ぶ」と社長が検索画面を見つめながら何度もため息をついていました。
実際に見積もりを取ってみると、送り出し機関+登録支援機関+在留資格申請で、1人あたり初期費用は約65万円に収まりました(年収は300万円台前半)。
正直なところ、見積書を見た瞬間は社長も「やっぱり高いな」と眉をひそめていたのですが、日本人新卒採用でかかっていた媒体費・会社説明会・内定辞退のロスを整理すると、大きな差がないことに気づき、ようやく「これは投資だ」と腹落ちした流れです。
月額コストの相場と「2〜3万円」の意味
次に、毎月の継続費用です。
特定技能などで登録支援機関に支援を委託する場合、1人あたり月2〜3万円程度の委託費が相場とされています。
この中には、生活オリエンテーション、定期面談、苦情・相談窓口、日本語支援などが含まれているケースが一般的です。
一方、国内在住の高度人材を採用し、自社でサポートを完結させる場合は、追加の月額費用がほとんど発生しないこともあります。
その代わり、社内の担当者が日本語サポートや生活支援を兼ねるため、見えない人件費として乗ってくる点は無視できません。
【現場体験談②:飲食チェーンのケース】
ある地方の飲食チェーン(店舗数5店)では、特定技能の外国人を3名採用し、登録支援機関に月2.5万円/人を支払っていました。
数字だけ見ると「月7.5万円も追加で払うのは痛い」というのが経営者の本音で、最初に打合せしたときも「また固定費が増えるのか…」と半分冗談交じりにぼやいていました。
しかし、店舗の店長と話を聞くと、「前よりも夜シフトが埋まりやすくなった」「シフト調整のLINEが減った」「お客様への挨拶や笑顔が安定した」と、現場の空気が目に見えて変わっていたんです。
月7.5万円は決して小さな金額ではありませんが、採用難による営業時間短縮リスク、店長の疲弊、人件費の高騰を考えると、「支援費=保険料」として納得感のあるラインに落ち着きました。
日本人採用との費用比較 ― 本当に「高い」のか?
ここで、日本人採用とのざっくり比較を一度整理しておきます。
| 項目 | 日本人新卒・中途 | 外国人(特定技能・高度人材) |
|---|---|---|
| 初期採用コスト目安 | 90〜100万円前後/1人 | 40〜100万円前後/1人 |
| 採用までの期間 | 2〜6か月 | 2〜4か月(在留資格次第) |
| 月額の追加コスト | 基本なし | 支援費2〜3万円/人(特定技能など) |
| 在留資格・ビザ対応 | ほぼ不要 | 必要(申請費用+更新) |
| 離職リスク(定着率) | 業界による | サポート次第で大きく変動 |
| 多言語対応・海外展開への寄与 | 限定的 | 高い(職種・スキルによる) |
Forbes JAPANの調査では、外国人1人の採用総費用は50万円未満と50万円以上がほぼ半々というデータがあり、日本人の新卒・中途採用コストと比べても極端な差は出ていません。
ケースによりますが、採用難が続いている業界(介護・外食・製造など)では、「そもそも日本人が採れない状態」からのスタートになるため、単純比較ではなく、「採れないことによる機会損失」とセットで考える必要があります。
費用対効果を左右する3つのポイント
採用ルートの選び方でコストが激変する
実は、外国人採用の総コストを決める一番の要素は「どのルートから採用するか」です。
よくあるのが、「紹介会社に丸投げ」と「知人紹介・リファラル」のどちらかに振り切ってしまうパターンですが、ここを設計せずに動くと、費用対効果が見えないまま「高いだけ」で終わります。
代表的なルートと特徴はざっくり次の通りです。
| 採用ルート | 初期コスト | 特徴 |
|---|---|---|
| 人材紹介会社 | 高(年収30〜50%) | 即戦力採用に向く、ミスマッチは減りやすい |
| 送り出し機関 | 中(20〜60万円) | 特定技能・技能実習向け、人数確保しやすい |
| 求人メディア・自社HP | 低〜中 | 時間はかかるが採用コストを抑えやすい |
| 登録支援機関経由 | 中(初期10〜20万円+月額) | サポート込みで安心感が高い |
| リファラル採用 | 低(紹介ボーナス程度) | 定着率が高くなりやすい |
外国人雇用専門の社労士が解説している記事でも、「リファラル採用は採用コストが低く、定着率が高い傾向がある」と明記されています。
弊社でも、既存の外国人社員から知人を紹介してもらうルートを設計し、紹介ボーナスを3万円に設定したケースでは、人材紹介手数料の半分以下のコストで2年定着率90%超を実現できました。
【現場の声:紹介会社だけに頼っていた人事担当者】
「最初は半信半疑だったんですよ。知り合い紹介で本当に人が来るのかって」
「また応募ゼロで終わるんじゃないかと、正直ちょっと構えてました」
こう話していた人事担当者も、実際に既存の外国人社員から2名の紹介が決まったときには、「こんなにあっさり決まるなら、もっと早くやればよかった」とぽつり。
紹介ボーナス分のコストは発生しましたが、媒体費・説明会・スクリーニングの手間を考えると、時間とお金の両方でメリットが出ていました。
定着率と生産性 ― 「3年トータル」で見るべき理由
費用対効果を考えるときの落とし穴が、「採用時の初期費用だけを見て判断してしまう」ことです。
実際には、1年以内に辞めてしまえば、どれだけ初期費用を抑えてもコストは回収できません。
ある専門サイトでは、外国人1人あたりの年間トータルコストは100万円前後が目安とされており、これを2〜3年スパンで見て投資回収を計算すべきだと解説しています。
逆に言えば、3年定着してくれれば、日本人採用と同程度のコストで、慢性的な人手不足解消と多言語対応などの付加価値まで得られる可能性が高まります。
【ビフォーアフター事例:介護施設のケース】
ビフォー:
・日本人スタッフの離職が続き、夜勤シフトはいつもギリギリ。
・求人広告を出しても応募ゼロが続き、施設長は毎晩、求人サイトをスクロールしては画面を閉じるのを繰り返していました。
導入:
・特定技能で2名を採用、1人あたり初期費用は約60万円。
・登録支援機関に月2万円/人を支払い、日本語・生活サポートを委託。
アフター:
・1年後も2名とも定着し、夜勤シフトの穴がほぼゼロに。
・既存スタッフから「最近、夜勤明けに変な疲れが残らなくなった」と小さな変化の声が出るようになった。
・施設長自身も「土曜の夜に求人画面を眺める時間がなくなった」とぽつり。
正直なところ、導入時には「60万円×2人+支援費」で経営陣も警戒モードでしたが、3年スパンで試算すると、日本人採用を繰り返しては1年以内に辞めていくパターンより、総コストが20%近く下がる見込みが立ちました。
助成金・制度活用でコストを抑える
外国人雇用に限りませんが、政府・自治体の助成金や支援制度を活用すると、実質的なコストを下げられる場合があります。
詳しい制度名は地域や年度によって変動しますが、厚生労働省や自治体が職業訓練・人材開発・多様な人材の雇用促進のための支援策を用意しているケースが多く、公式情報は必ずチェックすべきです。
例えば、
- OJT・OFF-JTの研修費用の一部が助成対象になるもの
- 多言語対応や職場環境整備に対する支援
- 中小企業の人材確保を目的とした地域限定の補助
などが代表的です。
実は、こうした助成金は「情報を取りに行った企業だけが得をする」構造になりがちで、現場では存在すら知られていないことも少なくありません。
よくある失敗パターンとコスト削減のポイント
「とりあえず安いルート」でのミスマッチ
よくあるのが、「初期費用が安いから」という理由だけで送り出し機関や求人媒体を選び、その結果ミスマッチが多発するケースです。
短期離職が続けば、最終的な採用コストはむしろ高くなります。
具体的な失敗例として、
- 日本語レベルの基準を曖昧にしたまま採用し、現場と意思疎通が取れず、指示が通らない
- 生活サポートをほぼ行わず、孤立してしまい、数か月で帰国してしまう
- 採用時に職務内容を十分に説明せず、「思っていた仕事と違う」とモチベーションが下がる
といったものが挙げられます。
ケースによりますが、「安さ」だけで選んだ結果、採用から半年で再募集→再採用→再教育と、同じサイクルを繰り返してしまい、1人あたりの実質コストが2倍近くになった企業もありました。
現場とのすり合わせ不足 ― 「困っている」と言わない現場
もう一つ多いのが、人事部・経営側だけで外国人採用を決め、現場とのすり合わせが不十分なケースです。
現場の管理者は、「人が欲しいのは本音だけど、異文化のマネジメントに自信がない」という微妙な感情を抱えながら、なかなか口には出さないものです。
弊社が同席した打合せでも、店長は最初、無表情で資料を見つめていましたが、ふと雑談になったタイミングで、
「正直、英語も話せないし、どう教えていいか分からなくて…」
と漏らした瞬間、場の空気が一気に変わりました。
ここで、
- マニュアルを多言語化する
- 指示を「口頭+写真+チェックリスト」で出せるようにする
- 最初の1か月はベテラン社員がメンターとしてつく
といった現場支援策を一緒に設計したことで、「外国人だから大変」という先入観がやわらぎ、結果的に定着率も上がりました。
費用対効果を高めるための3つの打ち手
費用対効果を最大化するための具体的な打ち手を、あえて3つに絞ると次のようになります。
- 採用ルートの「ポートフォリオ化」
- 人材紹介・送り出し機関・リファラル・自社HPなどを組み合わせ、1つのルートに依存しない。
- 定着率アップのための「オンボーディング設計」
- 最初の3か月に重点的なサポートを行い、そこでの離職を防ぐ。
- 生産性が数字で見える「KPI設定」
- 売上・生産量・シフト穴の削減など、具体的な指標で成果を可視化する。
外国人雇用専門家の記事でも、「採用費・ビザ申請費・支援費などを単なるコストではなく、投資として捉え、助成金や定着施策を組み合わせることでROIは大きく改善する」と強調されています。
こういう方は今すぐ相談すべき
ここまで読んで、「うちもいつかは外国人採用を…」と頭の片隅で考えつつ、ブラウザのタブだけ増えていっている方もいるはずです。
正直なところ、その状態で半年〜1年経ってしまうと、人手不足は悪化する一方で、採用単価もじわじわ上がっていきます。
今すぐ専門家や支援機関に相談したほうがいいのは、例えばこんな状況の企業です。
- 求人広告を3か月以上出しても、日本人の応募がほぼゼロ
- 夜勤や土日シフトの穴埋めに、管理職が現場に入り続けている
- 将来的にインバウンドや海外顧客が増えるのは分かっているのに、言語対応が追いついていない
逆に、
- まだ日本人の応募が安定している
- 現場に外国人社員がおらず、まずは1名だけ試してみたい
という状態であれば、今のうちに情報収集と社内の準備だけ進めておき、「いつでも動ける状態」にしておくだけでも十分です。
迷っているなら、「とりあえず1人採用」より先に、「自社に合う採用ルートと支援体制」を整理するところから専門家に相談するのがおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 外国人1人を採用するのに、トータルでいくら見ておくべきですか?
A. 初期費用40〜100万円+年間トータルコスト100万円前後を目安に、3年スパンで回収できるかを判断するのが現実的です。
Q2. 日本人採用と比べて、本当にコストメリットはありますか?
A. 日本人新卒平均93.6万円・中途平均103.3万円というデータと比べると、外国人の初期コストは同程度かやや低めで、採用難業界ほどメリットが出やすいです。
Q3. 登録支援機関に月2〜3万円払う価値はありますか?
A. 在留資格上の「義務的支援」を外部委託できるうえ、生活・言語サポートによって離職リスクを抑えられるため、3年定着を前提にすれば十分回収可能なコストといえます。
Q4. 海外から呼ぶ場合と、国内在住の外国人を採る場合、どちらが安いですか?
A. 渡航費・送り出し機関手数料が不要な分、国内在住者の方が初期コストは低くなる傾向がありますが、候補者母数やスキル要件とのバランスで判断すべきです。
Q5. 人材紹介会社を使うと、どのくらい費用がかかりますか?
A. 年収の30〜50%が一般的で、年収300〜350万円なら90〜175万円程度を見込む必要がありますが、その分ミスマッチ防止や選考工数削減の効果も期待できます。
Q6. コストを抑えつつ、失敗を減らす採用方法はありますか?
A. リファラル採用(既存外国人社員からの紹介)は、採用コストが低く定着率も高いとされており、紹介ボーナスを支払ってもエージェント利用より安価に収まるケースが多いです。
Q7. 在留資格の申請や更新は自社で対応できますか?
A. 法的には可能ですが、手続きの複雑さやリスクを考えると、10〜20万円前後の費用で専門家(行政書士など)に依頼する企業も多く、結果的に時間とリスクの削減につながります。
Q8. 特定技能と高度人材では、コスト構造はどう違いますか?
A. 特定技能は支援費などの月額コストが発生しやすく、初期費用も送り出し機関利用で中程度。一方、高度人材は年収が高い分、紹介手数料も高額ですが、即戦力性が高くROIが見込みやすい傾向があります。
Q9. 何人から外国人採用を始めるのが良いですか?
A. 1名だけだと孤立リスクが高まるため、費用が許すなら2名以上、難しい場合はメンター役の日本人を明確に決めたうえで1名から始めるのが現実的です。
まとめ
- 外国人採用の初期費用は、1人あたり40〜100万円前後が一般的で、日本人採用と極端な差はありません。
- 月額の追加コスト(支援費)は2〜3万円程度ですが、定着率アップやトラブル防止の「保険」として考えると費用対効果が見えやすくなります。
- 採用ルートの設計・オンボーディング・助成金活用を組み合わせることで、3年トータルの人件費と採用リスクを大きく下げられます。
外国人採用のコストは、「高いか安いか」ではなく、「自社の人手不足と成長戦略に対して、どれだけリターンを生み出せるか」で判断するのが本質です。
もし「うちの業界だとどう設計するのがいいのか」「どのくらい予算を見ればいいのか」がぼんやりしているなら、一度、自社の採用単価と離職率の数字を棚卸ししたうえで、専門家や支援機関に相談してみてください。
最後に1点だけ、貴社の背中をそっと押すとしたら——
「人が足りない」と嘆きながら求人サイトを眺める夜を、いつまで続けるか。
そこから逆算して、今できる一歩(情報収集・相談・社内の準備)を決めてみてはいかがでしょうか。
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