特定技能の支援費用を比較表で公開|委託と自社支援どっちが得か一目で判断

義務的支援を登録支援機関に委託するか、自社で実施するか——どちらがコストと手間の面で得なのか迷っていませんか。

結論から言います。受け入れ1〜2名なら、委託のほうが得です。自社支援は人数が増えるほど有利になります。分かれ目は、だいたい5名前後。ここが目安です。

「毎月の委託費がもったいない」「自社でやれば浮くのでは」。そう考える経営者の方は多いです。正直なところ、この判断は金額だけでは決まりません。社内の体制と、人を割けるかどうか。ここが本当の分かれ目です。このページでは、委託と自社支援を費用・手間・体制要件・リスクの4つで比較表にして並べます。読み終えるころには、自社がどちらを選ぶべきか、自分の言葉で説明できるようになっているはずです。

この記事のポイント

  • 委託と自社支援の損益分岐は受け入れ「5名前後」が目安。1〜2名なら委託、10名以上なら自社支援にコスト妙味が出やすいです。
  • 比較すべきは月額費用だけではない。人件費・体制要件・年1回の定期届出のリスクまで含めて4軸で見ないと、安く見えて高い選択をします。
  • 「自社支援=節約」とは限らない。支援担当者を1人専任で置けるかどうかが、自社支援が成り立つかの前提条件です。

この記事の結論

  • 一言で言うと、少人数は委託、多人数は自社支援が原則。ただし体制次第で逆転します。
  • 最も重要なのは、月額費用ではなく「支援に人を割けるか」という社内リソースの有無です。
  • 失敗しないためには、まず受け入れ人数と3年スパンの計画を固めてから、費用比較に進むことです。
目次

💰 委託と自社支援、費用と負担を比較表で公開

特定技能では、受け入れ企業に「義務的支援」が課されます。事前ガイダンス、出入国の送迎、住居確保、生活オリエンテーション、定期面談などの10項目です。年1回の定期届出は、支援の実施とは別の届出義務です。これを自社でやるか、登録支援機関に委託するか。まずは全体像を表で見てください。

月額・初期・体制を1枚にまとめた比較表

比較項目 登録支援機関へ委託 自社支援
月額費用(1人あたり) 2万〜3.5万円が相場 0円(ただし人件費は別途発生)
初期・体制構築の費用 ほぼ不要 支援責任者・担当者の選任、規程整備
手間(日常の実務) 報告・面談を代行、社内負担は小 面談・記録・送迎まで自社で実施
体制要件 機関側が要件を満たす 過去2年の中長期在留者雇用などの実績が必要
年1回の定期届出のリスク 機関が作成・代行 不備・遅延が自社責任になる
向いている規模 1〜数名、初めての受け入れ 5名以上、継続的な受け入れ

表の要点を、箇条書きで補足します。

  • 委託の月額は1人2万〜3.5万円が相場。これが人数分、毎月かかり続けます。
  • 自社支援は月額ゼロに見えて、担当者の人件費が乗る。実際は「タダ」ではありません。
  • 体制要件のハードルは自社支援のほうが高い。過去2年以内に中長期在留者を適正に雇用した実績などが問われます。
  • 報告の責任の所在が真逆。委託の有無にかかわらず、受入れ企業が定期届出の義務を負います。

損益分岐は「5名前後」、なぜそこで逆転するのか

仮に委託費を1人月3万円としましょう。3名なら月9万円、年間108万円です。一方、自社支援で専任担当を1人置くと、給与・社会保険で年400万〜500万円かかることもあります。3名なら、明らかに委託が安い。ここまでは直感どおりです。

ところが10名になると話が変わります。委託は月30万円、年間360万円。自社支援は担当者1人で10名を見られれば、人件費は変わらず400万円台のまま。1人あたりに割ると一気に下がります。具体的には、人件費を年450万円とすると、10名なら1人あたり年45万円、月3.75万円。委託の月3万円とほぼ並びます。これが15名になると1人あたり月2.5万円まで下がり、委託より明確に安くなる。実は、この「1人の担当者が何名まで見られるか」が損益分岐を決めています。だいたい5名を超えたあたりから、自社支援の単価が委託を下回り始める。そういう構図です。逆に言えば、人数が頭打ちの会社では、何年経っても委託のほうが安いまま、ということも珍しくありません。

「正直なところ」費用だけでは決まらない理由

たとえば深夜に体調を崩した、近隣トラブルで警察を呼ばれた、そんな連絡が母国語で入ってくる。これを社内で受けられる人がいるか、という現実的な話です。費用は表で割り切れても、24時間体制の相談対応や多言語フォローは、人数や言語の問題で簡単には内製できません。ケースによりますが、ここを甘く見ると、安いはずの自社支援が高くつきます。

委託費の安さだけで機関を選ぶのも危険です。月1万円台といった相場より明らかに安い委託先には、支援の中身が薄い、定期面談が形だけ、といった理由が隠れていることがあります。安さの裏に何があるかは、必ず確認したいところ。委託する場合でも、料金の比較と同時に「どこまでやってくれるのか」を見極める目が要ります。表の数字は出発点にすぎない、ということです。

🔑 自社の規模と体制で、どちらを選ぶか判断する

次は、自社をどう当てはめるか。判断基準を3つのH3に分けて整理します。

判断基準1:受け入れ人数と継続性で見る

まず人数。これが一番大きい軸です。単発で1〜2名なら、迷わず委託でいい。体制を一から作るコストに見合いません。逆に、毎年コンスタントに5名10名と受け入れる計画があるなら、自社支援の体制構築費は数年で回収できます。ポイントは「今年の人数」ではなく「3年スパンの累計」で考えること。来年も再来年も受け入れるなら、自社支援の固定費は薄まっていきます。

判断基準2:支援に専任者を割けるかで見る

専任者を必ず1名置くという一律の条件ではありません。定期面談は原則3か月に1回以上、定期届出は年1回です。支援対象者の人数や業務量から、適切に実施できる体制かを判断してください。

判断基準3:リスクの所在をどう持つかで見る

支援を登録支援機関に全部委託しても、特定技能所属機関の届出義務はなくなりません。受入れ企業は委託先の支援実施状況を取りまとめ、年1回の定期届出を行います。書類作成等を依頼する場合も、依頼できる業務の範囲、提出担当、期限、確認責任を契約で明確にしてください。

いきなり全部を自社で抱えず、委託で型を覚えてから移行する。これも現実的な進め方です。

❓ よくある質問

Q1. 委託と自社支援、結局どちらが安いですか?

A1. 受け入れ1〜2名なら委託、5名以上なら自社支援が安くなりやすいです。委託は1人月2万〜3.5万円、自社支援は担当者の人件費が固定でかかります。

Q2. 自社支援にすると月額費用はゼロになりますか?

A2. 委託費はゼロですが、支援担当者の人件費が発生します。年400万〜500万円規模になることもあり、実質ゼロではありません。

Q3. 義務的支援はすべて委託できますか?

A3. 10項目の義務的支援は、登録支援機関にすべて委託できます。委託すれば、受け入れ機関側の支援体制要件は満たしたものとみなされます。

Q4. 自社支援を選ぶための体制要件は何ですか?

A4. 過去2年以内に中長期在留者を適正に雇用した実績などが必要です。支援責任者と支援担当者の選任も求められます。3点が主な確認項目です。

Q5. 途中で委託から自社支援に切り替えられますか?

A5. 切り替えは可能です。最初の1年は委託で流れを覚え、その後に内製化する企業も多いです。逆方向への変更もできます。

Q6. 年1回の定期届出を自社でやる負担はどのくらいですか?

A6. 定期届出は年1回です。対象期間は4月1日から翌年3月31日までで、翌年4月1日から5月31日までに提出します(5月31日が閉庁日の場合は翌開庁日)。受入れ・活動・支援実施状況を取りまとめ、特定技能所属機関が提出します。支援を全部委託している場合も、登録支援機関の支援実施状況を含めて受入れ企業が届け出ます。定期面談は原則3か月に1回以上で、年1回の届出とは別です。

Q7. 派遣や紹介で受け入れる場合も支援は必要ですか?

A7. 雇用形態にかかわらず、特定技能の義務的支援は必要です。受け入れ方法と支援の委託判断は別問題として整理するのがおすすめです。

自社支援の費用を担当者の時間から考える

委託をやめれば費用が全てなくなるわけではありません。説明、相談、記録、移動、担当者の教育など、社内で増える作業を整理します。制度上の体制要件を満たせるかも確認し、料金の差だけで切り替えを決めず、継続して実施できるかを検討してください。

見積額と社内負担を分けて試算する

費用を比べるときは、最初に比較する期間と人数をそろえます。初月だけの費用と継続費用を混ぜず、一度だけ発生する費用、月ごとの費用、人数や時間で変わる費用に分けてください。見積書に含まれていない項目は、無料とみなさず未確認として残します。交通費、翻訳、住居関連費用、追加の面談などについても、必要なものだけを個別に確認します。金額の前提が違えば合計額も変わるため、単価だけの比較で結論を出さないことが大切です。

社内の負担を確認するには、採用担当者と現場担当者が行う作業を別々に書き出します。応募への返信、面接、資料の確認、初日の案内、業務教育、相談対応などに使う時間を自社の記録から見積もります。根拠となる記録がない段階では、実績として数値を示さず試算であると明記し、前提条件を添えましょう。人件費への換算が難しい場合も、必要な担当人数と作業時間を整理しておくと、運用可能な計画かを考えやすくなります。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 損益分岐は受け入れ5名前後が目安。1〜2名は委託、10名以上は自社支援にコスト妙味が出ます。
  • 比較は4軸で。月額費用・人件費・体制要件・年1回の定期届出のリスクまで見ないと判断を誤ります。
  • 前提は「支援に専任者を割けるか」。人を出せないなら、いくら計算上安くても自社支援は破綻します。

受け入れ人数も、専任を置けるかも、会社ごとに事情が違います。エムティックは派遣・紹介・登録支援を1社で完結できるので、御社の規模に合わせて損のない受け入れ方を一緒に整理できます。

定期届出の現行ルール

定期届出は年1回です。対象期間は4月1日から翌年3月31日までで、翌年4月1日から5月31日までに提出します(5月31日が閉庁日の場合は翌開庁日)。受入れ・活動・支援実施状況を取りまとめ、特定技能所属機関が提出します。支援を全部委託している場合も、登録支援機関の支援実施状況を含めて受入れ企業が届け出ます。定期面談は原則3か月に1回以上で、年1回の届出とは別です。

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