「この外国人を採用したいけれど、どの就労ビザに当てはまるのかわからない」とお悩みではありませんか?
就労ビザは「どの仕事をさせるか」で決まります。人で選ぶものではありません。同じ人でも、任せる業務が変われば必要な在留資格は変わる。ここが日本人採用と決定的に違うところです。
「この子、優秀だから営業もやらせたい」「いや、まず現場のラインに入ってもらおうか」――採用担当の頭の中では、こういう声が行き来しますよね。でも、就労ビザの世界ではこの順番が逆です。先に「やらせる仕事」を固めないと、そもそも雇えるかどうかが決まらない。正直なところ、ここでつまずく企業がいちばん多いんです。この記事を読み終える頃には、自社の求人にどの在留資格が合うのか、自分で当たりをつけられるようになります。
この記事のポイント
- 就労ビザは「人」ではなく「仕事の中身」で決まる。学歴・職歴と業務内容が結びつかないと許可は下りません
- 大きく3つの系統に分けて考えると整理しやすい。専門職系(技人国)、現場系(特定技能・技能実習)、身分系(永住・定住・日本人の配偶者等)です
- 身分系の在留資格なら職種の制限がない。フルタイムの現場でも事務でも、業務を選ばず雇えます
この記事の結論
- 一言で言うと、就労ビザ選びは「任せる仕事を先に決め、それに合う資格を当てる」作業です
- 最も重要なのは、オフィス業務なら技人国、現場の単純作業を含むなら特定技能、という大枠の振り分け
- 失敗しないためには、採用前に在留カードの「在留資格」欄を必ず確認し、就労可否を見極めることです
🔍 就労ビザは大きく3系統で考える
在留資格は30種類近くあります。全部を覚える必要はありません。採用現場で使うのは、ほぼ決まった顔ぶれだけ。まずは大きく3つの系統に分けて、自社がどこに当たるかを掴んでください。
① 専門職系:技術・人文知識・国際業務(通称「技人国」)
オフィスワークや技術職、通訳・翻訳・海外取引などの専門業務で使う、いちばんメジャーな就労ビザです。エンジニア、設計、経理、営業、マーケティング、ホテルのフロント、海外向け業務などが該当します。
ポイントは「学歴・職歴と仕事内容が一致しているか」。大学で経済学を学んだ人を経理や企画に就けるならOK、でも工場のライン作業だけをさせるとなると、これは別の話になります。技人国は原則として単純労働を認めていません。よくあるのが「専門職で採ったのに、人手不足で現場に回したら届出が必要だった」というケース。ここは要注意です。
② 現場系:特定技能・技能実習
人手不足の現場で即戦力が欲しいなら、ここが本命です。特定技能は、食品製造・外食・宿泊・介護・建設・清掃など、深刻な人手不足が認められた分野で、現場の作業をそのまま任せられる在留資格。技人国では難しかった「ライン作業」「調理補助」「客室清掃」が、堂々と認められます。
弊社の経験上、食品工場やホテル、介護施設からのご相談はこの特定技能が圧倒的に多いです。出入国在留管理庁が公表する在留外国人数を見ても、特定技能は制度開始からほぼ右肩上がりで増え続けています。それだけ現場に浸透してきた、ということ。あるホテルの支配人からは「日本人の応募が半年ゼロだったのに、特定技能で2名入ってから客室清掃が回り出した」という声もいただきました。人が来ない現場ほど、効きます。
ただし、特定技能には分野ごとの試験合格や、受け入れ機関としての義務的支援といった条件が伴います。ここを自社だけで抱えると負担が重い。だからこそ登録支援機関に支援を委託する企業が多いわけです。弊社も登録支援機関として、この義務的支援を丸ごと代行しています。
技能実習は「日本で技能を学んで母国に持ち帰る」という建前の制度で、即戦力の確保とは目的が少し違います。なお、技能実習は将来的に「育成就労」へ移行する見直しが進んでいます。これから入れるなら、まず特定技能を軸に考えるのが現実的です。
③ 身分系:永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等
実はここが、採用担当者が見落としがちな宝の山です。身分系の在留資格を持つ人は、就労内容に制限がありません。現場でも事務でも、フルタイムでもパートでも、職種を選ばず雇える。ビザの申請も会社側では不要です。
「最短3日で現場に」というご依頼に応えられるのは、多くがこの身分系か、すでに就労資格を持って国内に住んでいる方だからです。弊社が国内在住者に特化しているのも、まさにこの理由。渡航やビザのリスクが低く、生活基盤がすでにある。採用のスピードがまるで違ってきます。
📌 自社の仕事にどの在留資格が合うか見極める
系統がわかったら、次は「自社の求人にどれを当てるか」です。ここを言語化できると、面接でも、専門家への相談でも、話が一気に早くなります。
業務内容から逆算する
まず求人票を1枚用意してください。そこに書かれた「実際にやらせる作業」を箇条書きにします。ラインでの盛り付け、フロント接客、伝票入力、通訳――こうやって分解すると、どの系統に寄っているかが見えてきます。
オフィスや専門業務が中心なら技人国。現場の作業が中心なら特定技能。職種を限定したくない、何でも頼みたいなら身分系の人を探す。この振り分けだけで、ミスマッチの大半は防げます。
ある食品工場の採用担当の方から、こんな声をいただいたことがあります。「技人国の人を紹介してもらったけど、現場に入れられなくて困った」。これはまさに業務内容と資格のズレ。先に作業を洗い出していれば避けられたケースです。
在留カードで「就労可否」を必ず確認する
応募者と会ったら、在留カードの確認を習慣にしてください。表面の「在留資格」欄と「就労制限の有無」欄、ここを見ます。「就労不可」と書かれていても、裏面に資格外活動許可のスタンプがあれば、週28時間まで働けるケースもある。逆に、確認を怠ったまま雇うと、知らずに不法就労を助長してしまうリスクがあります。
正直なところ、ここを面倒がって飛ばす会社は少なくありません。でも、不法就労助長罪は雇った側の責任を問われます。「知らなかった」では通りません。確認は5分。リスクは数百万円。やらない理由がありません。
迷ったら専門家に「仕事の中身」を伝える
それでも判断に迷う場面は出てきます。業務が複数系統にまたがる、学歴と職種の関係が微妙、といったケースですね。ケースによりますが、こういうときは無理に自己判断せず、登録支援機関や行政書士、人材会社に相談するのが安全です。
そのとき大事なのは、「どの在留資格がいいですか」ではなく「こういう仕事を任せたい」と伝えること。仕事の中身さえ正確に共有できれば、合う資格はプロが当ててくれます。弊社にも「まず話だけ」というご相談がよく来ますが、最初に業務内容を聞かせていただくのは、まさにこの逆算をするためなんです。
❓ よくある質問
Q1. 就労ビザは何種類あるのですか?
A1. 在留資格は全体で30近くありますが、採用で実際に使うのは主に技人国・特定技能・技能実習・身分系の4系統です。まずこの4つを押さえれば十分です。
Q2. 同じ人を別の仕事に異動させても大丈夫ですか?
A2. 在留資格で認められた範囲内なら問題ありません。ただし範囲を超える業務に変える場合は、変更や届出が必要になることがあります。異動前に必ず確認してください。
Q3. アルバイトの留学生は就労ビザがいりますか?
A3. 留学の在留資格でも、資格外活動許可があれば週28時間まで働けます。フルタイムでの正規雇用には、卒業後に就労ビザへの切り替えが必要です。
Q4. 特定技能と技能実習はどちらを選ぶべきですか?
A4. 即戦力の確保が目的なら特定技能が向いています。技能実習は技能移転が目的で、これから始めるなら特定技能を軸にするのが現実的です。
Q5. 永住者や日本人の配偶者は職種の制限がないと聞きましたが本当ですか?
A5. 本当です。身分系の在留資格は就労内容に制限がなく、現場でも事務でも職種を選ばず雇えます。会社側でのビザ申請も不要です。
Q6. 就労ビザの申請は誰がやるのですか?
A6. 申請は本人または会社、行政書士などが行います。手続きが複雑なため、登録支援機関や専門家に委託する企業が多いのが実情です。
Q7. 在留カードのどこを見れば就労できるか分かりますか?
A7. 表面の「在留資格」欄と「就労制限の有無」欄を見ます。制限ありでも裏面に資格外活動許可があれば一定時間の就労が可能です。両面を必ず確認してください。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 就労ビザは「人」ではなく「任せる仕事の中身」で決まる。求人票の作業を洗い出すことが第一歩です
- 大枠は3系統で整理できる。オフィス業務は技人国、現場作業は特定技能、職種を選ばず雇いたいなら身分系
- 採用前の在留カード確認は必須。表裏の就労可否を見れば、不法就労リスクは確実に避けられます
在留資格は数が多くて身構えてしまいますが、「やらせる仕事を先に決める」――この一点を押さえるだけで、選び方はぐっとシンプルになります。とはいえ、業務が複数にまたがったり、学歴との兼ね合いで迷う場面は必ず出てきます。そんなときは、自己判断で抱え込まず、まずは話だけでも聞かせてください。任せたい仕事の中身さえ教えていただければ、自社に合う在留資格の当て方から一緒に整理できます。
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