偽造カードを見抜けなかったらどうなる?雇用主が負う責任と確認方法
在留カードの偽造を見抜けなければ、会社も経営者個人も「不法就労助長罪」で3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科されるリスクがあります。
在留カードは「名前・在留期限・就労可否」の3点と、偽造防止のホログラムやICチップを、入管庁の公式アプリで確認することが採用現場の必須作業です。
【この記事のポイント】
- 在留カードの「見方」と「偽造チェック」を、採用担当目線で具体的に解説
- 雇用主が負うリスクと、実務でやっておくべき”3段階チェック”を紹介
- 「今すぐ相談すべき状態」と「まだ自社で対応できる状態」の目安を提示
この記事の結論
- 一言で言うと「在留カードは”見た目+アプリ+番号”の3段階で確認すべき」です。
- 最も重要なのは「就労資格と在留期限」を、雇用前・更新時・契約更新時の3タイミングで必ずチェックすることです。
- 失敗しないためには「不法就労助長罪のリスク」と「確認手順」を社内ルールに落とし込み、担当者任せにしないことが欠かせません。
偽造カードを見抜けなかったらどうなる?雇用主の責任
不法就労助長罪の中身と「知らなかった」では済まない現実
入管法では、不法就労させた事業主は「不法就労助長罪」で、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方の処罰対象になります。
正直なところ、「本人が在留カードを持ってきたから大丈夫だと思った」という声は現場で本当によく聞きます。
ですが、警視庁も「在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は、知らなくても処罰対象」とはっきり書いており、”うっかり”は言い訳になりません。
ある製造業の社長と面談したとき、「派遣会社が大丈夫と言ったので深く見ていませんでした」と静かに話す姿が忘れられません。
後から行政書士と一緒にカードを確認すると、在留期限切れが2名、資格外活動が1名見つかり、社長は椅子にもたれたまましばらく言葉を失っていました。
あの沈黙の重さは、文章では伝えきれないほどでした。
企業・経営者に起きる具体的なダメージ
法律上の罰則だけでなく、実務的なダメージも現実的です。
法人自体にも罰金刑が科される可能性があり、採用や取引先の信頼低下、コンプライアンス審査でのマイナス評価など、目に見えないコストもじわじわ効いてきます。
以前、建設系の会社から「大手ゼネコンとの取引更新前の調査で”外国人雇用の管理状況”を聞かれるようになった」と相談されたことがあります。
最初は半信半疑で「そんな細かく見ないでしょう」と言っていた担当者も、チェックシートに「在留カード確認の社内ルール」を書く項目を見た瞬間、「あ、これは本気で変えないとまずい」とつぶやいていました。
あの一言が、社内ルール整備のスタートになりました。
罰せられないための「最低ライン」
では、どこまでやっていれば「確認した」と評価されるのか。
ここは実はグレーも多く、「ケースによりますが」という前置きが必要な領域です。
ただ、行政や専門家が共通して推奨している”最低ライン”は、次の3点と考えておくと分かりやすいです。
- 原本の在留カードを目視で確認し、偽造防止要素(ホログラムやMOJ透かしなど)もチェックする
- 入管庁の「在留カード等読取アプリケーション」でICチップ情報を読み取り、券面と一致しているか確かめる
- 在留カード番号を「在留カード等番号失効情報照会」で検索し、失効していないか確認する
実は、ここまでやっている中小企業は、現場感覚としてはまだ多くありません。
だからこそ、今のうちに仕組み化しておけば、数年後には「ちゃんとやっている会社」と評価されやすくなります。
在留カードの見方と偽造確認の基本
まず見るべき「3つの情報」
在留カードを手にしたら、最初に必ずチェックすべきポイントはシンプルです。
- 氏名と顔写真:目の前の本人と一致しているか
- 在留期間満了日:期限切れではないか
- 在留資格と就労可否:どの業務なら合法的に働けるのか
法務省も「在留カード及び特別永住者証明書の見方」として、在留期間と在留資格の確認を案内しています。
実際に現場で採用面接に同席したとき、外国人応募者に「この仕事の内容、在留資格の範囲に入っているか一緒に見ましょう」と画面を挟んで確認したことがあります。
少し緊張した雰囲気だったのが、その瞬間だけ、二人で同じ紙を覗き込む仲間のような空気になったのをよく覚えています。
偽造防止の「見た目チェック」
在留カードには複数の偽造防止技術が入っており、目視だけでも怪しいカードをある程度見分けられます。
- 「MOJ」の透かし文字:光にかざしたときに見える
- ホログラム:カードを傾けると、左端の色がピンクからグリーンに変化する
- 絵柄・模様の変化:上下・左右に傾けたときの絵柄の動き
- 細かい印刷のにじみや不自然なぼやけ
本物のカードは、上下に傾けると「MOJ」の周辺がピンクからグリーンに変わり、左右に傾けても絵柄がスムーズに動くと解説されています。
よくあるのが、忙しい面接の合間に「ざっと見て大丈夫そうですね」と、カードを光にかざして確認する前に返してしまうパターン。
あの一瞬の”めんどう”を乗り越えられるかどうかが、数百万円単位のリスクの分かれ目になりかねません。
ICチップと番号照会で「裏取り」する
目視で違和感がなくても、そこで終わらせないのが今の時代の確認スタンダードです。
出入国在留管理庁は、在留カードのICチップを読み取れる「在留カード等読取アプリケーション」を無料提供しており、券面の情報とICチップ内の情報を比較することで偽造・改ざんの有無を確認できます。
さらに、「在留カード等番号失効情報照会」というウェブサービスで、カード番号が失効していないかも調べられます。
ただし、偽造カードに実在する有効番号が使われているケースもあるため、この照会だけで真正性を判断するのは不十分とされています。
正直なところ、はじめてアプリを使うときは私も「この作業、本当にここまで必要かな」と少し身構えました。
それでも、一度やってみると、読み取り完了の画面が出たときの小さな安心感は思った以上に大きく、「もう目視だけには戻れないな」と心の中でつぶやいたのを覚えています。
現場で役立つ3ステップチェックと失敗例
現場事例①「とりあえず採用」でヒヤッとした飲食店
実務でよくあるのが、人手不足の飲食店で「日本語がそこそこ話せるから」と、細かい確認を後回しにしてしまうケースです。
弊社が関わったある居酒屋では、店長がアルバイト希望の外国人から在留カードのコピーだけ受け取り、「忙しいので後からちゃんと見ます」とファイルに挟んだまま1か月が過ぎていました。
ある日、売上分析の打ち合わせで事務所に入ったとき、コピーの山の中に少し色味の違うカードが見えました。
なんとなく気になって取り出し、在留期間を確認すると、満了日が数か月前で止まっていたのです。
その瞬間、店長は思わず椅子から前かがみになり、「え…これって、もうアウトですよね」と小さく声を漏らしました。
幸い、すぐに専門家に相談し、対応方針を整えたことで大きな問題にはつながりませんでしたが、「あの日見つけていなかったら」と考えると、今でも背筋が少し冷たくなります。
現場事例② 派遣会社任せにしていた製造業の工場
もう一つ印象的だったのが、外国人派遣スタッフを多く受け入れている製造業の工場です。
ここでは、「派遣会社が全部確認しているから大丈夫だろう」と、受け入れ側では在留カードの原本確認をしていませんでした。
よくあるのが、こうした”丸投げ”パターンです。
社長と総務担当者と一緒に現場ヒアリングをした際、「念のため1人だけアプリで読んでみましょう」と提案し、在留カード等読取アプリを試してみました。
すると、最初の1枚は問題なく読み取れたのですが、2枚目で何度やってもエラーが表示されました。
最初は半信半疑で「機械の調子が悪いのかな」と笑っていた社長の表情が、3回目のエラー表示で一気に固まり、「これ…本当に大丈夫なのか?」と低い声でつぶやいた瞬間、事務所の空気が一段階重くなったのを今も覚えています。
よくある失敗パターンと「3ステップチェック」
現場で見てきた失敗は、だいたい次の3つに集約されます。
- コピーだけもらって原本を見ていない
- 在留期限と就労資格を見ていない
- アプリや番号照会を一度も使ったことがない
これを防ぐために、社内ルールとして弊社がおすすめしているのが「3ステップチェック」です。
- 原本の在留カードを目視確認(顔・名前・在留期限・就労資格・ホログラム)
- 入管庁の在留カード等読取アプリでICチップを読み取り、券面と照合
- 在留カード番号失効情報照会で番号が失効していないかを確認
ケースによりますが、ここまでやって記録も残しておけば、「適切な確認を行った」と説明できる土台ができます。
最初は多少の手間に感じても、慣れてくると一人あたり数分で終わり、翌月からは不思議と心のざわつきが減っている自分に気づくはずです。
他の選択肢との比較と「今すぐ相談すべき人」
自社対応 vs 行政書士・専門家に頼む場合
在留カード確認は、自社だけでもある程度対応できますが、完全に任せきりにするのもリスクがあります。
ここでは、よく相談される2つの選択肢を整理します。
| 項目 | 自社で対応 | 行政書士・専門家に依頼 |
|---|---|---|
| 初期コスト | ほぼゼロ(担当者の教育時間) | 月額数万円〜案件ごとの相談料 |
| 正確性 | 担当者の知識に依存 | 最新の法令・運用に基づく判断が期待できる |
| スピード | 社内で即対応できる | 相談・回答にタイムラグが出ることも |
| リスクヘッジ | 手順が曖昧だと抜け漏れが出やすい | 判断の責任を部分的に専門家と分担できる |
正直なところ、採用人数が少ないうちは自社で十分対応できます。
ただ、外国人比率が増えてきたり、建設・製造・介護・飲食など入管や警察の目が届きやすい業種では、早めに専門家と”セカンドオピニオンの関係”を作っておく方が安心です。
「今すぐ相談すべき」3つのサイン
こんな状態であれば、実はかなり危険ゾーンに入っています。
- 在留カードのコピーはあるが、原本を全員分見たことがない
- 在留期間満了日の一覧を作っておらず、誰がいつ切れるのか分からない
- アプリや番号照会の存在は聞いたことがあるが、使ったことはない
逆に、次の状態であれば「この状態ならまだ間に合う」と考えて大丈夫です。
- 新規採用時に、原本確認と在留期限の記録までは行っている
- 日本人社員と同じように、雇用契約書や勤怠管理を整えている
- 在留カードの扱いについて、社内で一度は話題に上がったことがある
迷っているなら、まずは1拠点・1部署だけでも「3ステップチェック」を試してみるのがおすすめです。
やってみると、作業時間よりも「本当に大丈夫か分からない」というモヤモヤの方が大きかったことに気づき、終わった瞬間に肩の力がふっと抜ける感覚が出てくるはずです。
解決後に訪れる「小さな変化」
在留カード確認の仕組みを整えた会社からは、「翌朝の出勤時、外国人スタッフに笑顔で”おはよう”と言えるようになった」という声をよく聞きます。
以前は、どこか心の奥で「この雇用、本当に大丈夫なのかな」という小さな不安が残っていて、挨拶の瞬間にわずかなぎこちなさが混じっていたそうです。
社内ルールを整え、アプリや番号照会も一通り回してみたあと、同じ担当者が「最近は在留カードの話も普通に雑談に出せるようになって」と笑いながら話してくれました。
大げさな”最高です”という変化ではありませんが、日々のコミュニケーションの空気が少し柔らかくなる。
そんなささやかな変化こそ、現場で一緒に働く人たちにとって大きな意味を持つのだと弊社は考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1:在留カードはコピーだけもらえば十分ですか?
A:いいえ、原本確認は必須です。
コピーだけでは偽造防止要素やホログラム、ICチップ情報との一致を確認できず、リスクが高くなります。
Q2:在留カード等読取アプリは本当に使う必要がありますか?
A:はい、目視に加えてICチップ情報を確認することで、偽造や改ざんのリスクを大きく下げられます。
入管庁が公式に提供している無料ツールです。
Q3:在留カード番号の失効照会だけで十分でしょうか?
A:いいえ、番号照会だけでは不十分です。
有効な番号を悪用した偽造カードもあるため、目視・アプリ・番号照会の3つを組み合わせることが推奨されています。
Q4:不法就労助長罪の罰則はどのくらい重いですか?
A:3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方と規定されています。
法人に対しても罰金刑が科される可能性があります。
Q5:「知らなかった」場合でも処罰されますか?
A:在留カードの確認をしていないなどの過失がある場合、「知らなかった」だけでは免責されません。
警視庁も公式にその点を明記しています。
Q6:どのタイミングで在留カードを確認すべきですか?
A:雇用前(内定時)、在留期間更新時、雇用契約更新時の3タイミングで確認するのが現実的です。
特に在留期間満了日が近い場合は、更新状況も追いかける必要があります。
Q7:パート・アルバイトの短時間雇用でも確認は必要ですか?
A:はい、雇用形態にかかわらず、不法就労をさせれば不法就労助長罪の対象となり得ます。
短時間だからといって確認を省略するのは危険です。
Q8:派遣会社に任せていれば、受け入れ側は責任を問われませんか?
A:受け入れ側にも注意義務があります。
派遣元任せにせず、受け入れ先でも原本確認と記録を行うのが安全です。
Q9:在留カードの確認を社内ルール化する際、何から始めればいいですか?
A:まず「原本確認のチェックリスト」と「在留期間満了日の一覧表」を作るところから始めるのがおすすめです。
その上で、アプリと番号照会のフローを追加していくとスムーズです。
まとめ
- 在留カードは「氏名・顔写真・在留期間・在留資格・就労可否」に加え、偽造防止要素とICチップ情報を確認することが重要です。
- 不法就労助長罪の罰則は重く、「知らなかった」では免責されません。原本確認・アプリ・番号照会の3ステップを社内ルールとして仕組み化することで、リスクを大きく下げられます。
- 自社対応と専門家への依頼にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、「今の自社の確認レベル」が分からない段階では、一度だけでも専門家に棚卸しを手伝ってもらうと、その後の判断が格段にしやすくなります。
「うちも本当に大丈夫だろうか」と検索窓に何度も同じキーワードを打ち込んでしまう夜が続いているなら、いったん画面を閉じて、在留カードの原本と向き合う時間を15分だけつくってみてください。
その15分が、数年先のトラブルを未然に防ぐ一歩になるかもしれません。
一歩踏み出すとしたら、まずは「在留カード確認の現状を棚卸しする」と決めて、今日1人目のカードをチェックしてみませんか。
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