多額の借金を背負う技能実習生
2022年7月、法務省出入国在留管理庁が調査を行いました。
技能実習生の50%以上が来日前に母国で借金をしており、その平均額は約55万円とのことです。
技能実習生全体の約85%が「来日前に送り出し機関に何らかの費用を支払った」と回答し、
平均は52万円。
さらに10%以上の技能実習生が別の仲介者にも費用を支払っていたようです。
本来は送り出し機関が負担すべき費用を上乗せされて請求されていることもあります。
なんと100万円以上を支払っている実習生も少なくありません。現地換算では1000万円近い金額にもなります。
もし、技能実習の途中で帰国した場合、途方もない額の借金だけが実習生には残ってしまいます。
日本の給与水準ならすぐに借金を返せると思って来日したが、待遇面も悪く思うように返済できず、失踪などにつながる例も多く見られます。
以前、広島で実習生の妊婦の方が女児を生んだあと、自宅の庭に遺棄した事件がありました。
彼女も約150万円の借金があり、「妊娠が発覚したら帰国させられる」「帰国したら借金を
返せない」と思い、誰にも相談できずこのような痛ましい事件につながっています。
物価が何倍も違う日本で働くために準備や手数料等費用が掛かることはやむを得ない部分も
あるでしょう。
しかしこういった現状は【技能実習制度】本来の在り方として正しいと言えるでしょうか?
これらは基本的に技能実習生本人たちの問題ではなく、制度の構造上の問題です。
技能実習生は【コスパのいい労働力】でも【搾取の対象】でもありません。
適正な業務を行っている送り出し機関・監理団体・雇用主が大半です。
しかし、上記のような問題を発生させている機関・団体・企業も多く存在しています。
適正な業務を行っている事業者と取引していくことが大切です。