行政書士監修!きちんと理解していますか?留学生採用の落とし穴と採用のコツ/MTIC Webinar 2
以前一度は外国人の採用にトライしたけれど上手く行かなかった、 現在留学生を採用し始めているが手続き方法や採用後の対応があっているのが不安などお困りの方は多いでしょう。
そこで今回は、外国人専門行政書士である比屋根講師による、企業向けのWEBセミナー(Webinar)にて、留学生の採用によくある間違いをお伝えするとともに、採用後の定着のためにやるべきことをお伝えします。
講師プロフィール 比屋根 拓
1977年沖縄県生まれ 2006年明治大学法科大学院修了 2012年行政書士登録
2013年JCI世界大会ブラジルにて、沖縄県人会を訪問し移民史に触れるなかで「日本にも外国人開国時代が来る」と確信し、外国人専門行政書士となる。
札幌から那覇まで全国各地の外国人のビザ取得に携わる。
台湾、中国、モンゴル、ベトナム、ミャンマー等のアジアの大学や現地人材会社とのつながりも深く現地の送出事情にも精通している。企業の立場に立った外国人採用セミナーを全国で行い好評を得る。
動画はこちらからご覧ください【無料配信/MTIC WEBINAR】PART 2
click here▼ 『留学生のアルバイト採用について』
以下の記事は、5月に収録した行政書士の比屋根氏講演の内容をもとに再構成しています。
あわせてご覧ください。
日本で学ぶ外国人留学生は約30万人
ここ数年、外国人留学生の人数は急速に増えているのはご存知でしょうか?
2013年の168,145人から、2018年の298,980人へと直近5年で1.7倍となっています。
これに対し、厚生労働省が毎年発表している『「外国人雇用状況」の届出状況について 』を見ると、2018年10月度時点での資格外活動許可で働く外国人の数は、343,792人です。
資格外活動は、本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週28時間以内等)で、相当と認めら れる場合に報酬を受ける活動が許可された人を指し、留学生のアルバイト以外には家族滞在ビザも含みます。
留学生のみの労働者数は発表されていませんが、資格外活動で働く人の大半が留学生と言われているので、日本では約30万人前後の留学生が働いていると見て問題ないでしょう。
留学生の資格外活動についてもう一度おさらい
留学生のアルバイトを採用するとき必ず理解すべき事項である『資格外活動』。
雇用主が間違えやすいポイントなどを踏まえ、改めてご説明したいと思います。
大前提として留学生は働くことが認められていない
この大前提を理解していない雇用主もいらっしゃいますが、留学生のアルバイトは本来は認められていません。
留学の在留資格はあくまでも学業が目的のビザなので、留学生のアルバイトは例外的に認められていると理解しましょう。
この例外を認めるものが、資格外活動許可申請です。
そもそも留学生とは、日本の大学や専門学校、日本語学校に通っている外国人のことを指します。
彼らは留学という在留資格を持ちながら日本の学校で勉強をしていますが、留学費用や生活費を稼ぐためにアルバイトをすることが必要になってきます。
資格外活動許可申請の手続き方法
次に資格外活動許可申請の方法についてご説明します。
●申請者について
留学生本人または、留学生本人から申請の取次の承認を受けている次の人が認められます。
1:申請人から依頼を受けた人
2:申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
3:申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
4:外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
その他にも、地方入国管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で申請人から依頼を受けた人や、申請人本人の法定代理人も申請者として認められます。
●申請書類
当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類1通
在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。以下同じ。)を提示※申請人以外の方が,当該申請人に係る資格外活動許可申請を行う場合には,在留カードの写しを申請人に所持させてください。
旅券又は在留資格証明書を提示・旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは,その理由を記載した理由書・身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)
●申請先
最寄りの地方入国管理官署 または外国人在留総合インフォメーションセンターにて申請します。
●申請期間と費用
2週間~長くて2か月間かかります。手数料は0円です。
※法務省『資格外活動許可申請』より抜粋
これらの手続きが無事完了となれば、在留カードの裏面に資格外活動許可申請が通った旨のスタンプを印字してもらうことができ、晴れてアルバイトをすることが出来るようになります。
留学生の資格外活動許可申請で企業が注意すべきポイント
前の章で、資格外活動許可申請とは何か、どのようにして申請するものなのかをご紹介してきました。
資格外活動許可申請は、留学生本人が行う手続きなので、企業の採用担当に大きな負担がかかるものではないことがお分かりいただいたと思います。
ここからは、資格外活動許可を受けた留学生を採用する上で、企業が気を付けるべき点をお伝えしていきます。
ダーツバーやビリヤードバーでは採用できない?!
資格外活動許可申請さえ通っていれば、留学生を採用し放題だ!と思った企業様、ちょっと待ってください。
実は資格外活動許可を受けた人には働くことが禁止されている業界があります。それは風営法が適用されている業界です。
風営法と聞くと、おそらく多くの方はキャバクラやホストクラブなどの風俗店を思い浮かべるでしょう。
『うちはキャバクラじゃないから大丈夫』と勘違いされやすいのですが、ダーツバーやビリヤードのあるバーなどのお店は風俗店ではありませんが、風営法の適用をしている場合があるのです。
資格外活動許可の中では、風営法適用のお店では採用できないという点の注意が必要でしょう。
週に28時間の労働のみ許可されているので掛け持ちバイトに注意
資格外活動許可のルールの中に、『週に28時間までしか働いてはいけない』というものがあります。
この週に28時間ということは知っているものの、掛け持ちバイトをしているケースを見落としている採用担当者が多くいるので気を付けましょう。
自社で採用している留学生が、きっちり週28時間以内で働いていたとしても、知らない間に掛け持ちしているアルバイト先で長時間働いているかもしれません。
もし企業側がこの事実を知らなかったとしても、この事実が入国管理局にバレてしまうと、留学生の強制退去や在留資格の更新不可となってしまう可能性があります。
そこで、留学生のアルバイトを採用するときには
他の仕事と掛け持ちしているか確認をする、掛け持ちをしていないのであれば嘘ではないと証明するために誓約書など紙面で残しておく
万が一留学生が虚偽の報告をしていて勝手に掛け持ちし28時間を超えた場合、会社は注意義務を果たしていたと証明するものを紙面で残しておく
といったように、お互いを守るための仕組みづくりを行うことをおすすめします。
学校に通っているのか、在留資格は有効か?
何度もお伝えしている通り、留学生の本業は学業です。
生活費を稼ぐため、日本語を学ぶためにアルバイトをすること自体はまったく問題がありません。
しかし極端な例ですが、もし留学生が大学を退学していることに気づかずに、彼らを雇い続けていたとすればそえは非常に危険です。
採用担当者の皆さま、今雇用している留学生たちがきちんと学校に行っているか、学校でどんなことをしているのかなど、日頃からコミュニケーションをとれていますか?
相手を疑い続けるわけではないものの、もしかしたら留学生が悩みを抱えて、知らない間に学校に通わなくなっているかもしれません。彼らを採用する立場として、日々の生活面も気にかけてあげることで、最悪の事態を未然に防いでいくことが重要でしょう。
留学生が卒業したらいつまで留学ビザが有効なの?
留学生が卒業の時期を迎えるころに起こり得る問題として、留学ビザが卒業前後の時期はいつまで有効かという議題があります。
留学生の在留資格は、原則通っていた学校の卒業式の日までが適用となります。
日本の高校生は3月31日まで高校生扱いされますが、留学生の場合は3月1日に卒業式があれば、3月1日までが学生扱いとなるため注意しておきましょう。
たとえ留学の在留カードを持っていても在留資格が有効となるのは学校に在学が認められる期間のみです。
卒業後に進路が決まらず、就職活動を行う場合は、速やかに『特定活動の就職活動』という在留資格に切り替える手続きを行うよう、企業からも伝えてあげると新設でしょう。
留学生の採用を行うこときは在留資格の確認を徹底的に
ここまで、留学生の採用における企業の注意点をご説明してきました。
留学生の採用を行う際は、資格外活動許可申請は問題なく手続きされているか
在留資格の期限は切れていないか、大学にきちんと通い、何月何日卒業なのか
掛け持ちバイトをしているのか、もし掛け持ちする場合は28時間を超えないよう誓約書を残す
このようなポイントをしっかりとおさえておきましょう。
これらの点をおさえるためにも、採用時には必ず在留カードのコピーをとっておくことも有効です。
在留資格のチェックを怠らず留学生の採用をしていこう
いかがでしたか?今回は留学生の採用における落とし穴と、採用時に気を付けることをお話してきました。
自社の採用状況と照らし合わせて、人事労務管理など見直しましょう。
一見大変そうに見えますが、これらの注意点さえおさえていれば、日本人のアルバイトと同じように留学生の採用ができるのです。
留学生アルバイトを採用できるようになれば、企業の人材獲得ルートが増え、メリットが大きいでしょう。