2019年4月新設!外国人の在留資格「特定技能」14分野と試験日程

2019年4月新設!外国人の在留資格「特定技能」14分野と試験日程

2019年4月に、あらたな外国人の在留資格として『特定技能』が新設されました。日本では外国人の単純労働(専門知識を必要とせずに短時間の訓練で行うことができる仕事のこと)を禁止していました。

しかし今回の特定技能の在留資格では、近年の日本の人手不足を解消するために、特定の14業種であれば単純労働を含めて働くことを許可したため、大きな話題となっています。

本記事では特定技能ビザの概要、従来のビザの種類をおさらいし、特定技能ビザを取得するまでの方法や試験日程などもまとめていきます。
※2019年6月19日に更新しました。


★この記事のPOINT

●特定技能1号の14業種で単純労働を含めた就労が許可された

建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業

●特定技能2号の2業種では、家族滞在や在留期間更新が可能に

建設業、造船・舶用工業

●特定技能ビザは業界ごとに試験情報が更新されている

※介護・外食・宿泊以外の11業種の試験は、2019年秋以降を予定とされています。(2019年5月20日現在)

●分野ごとに特定技能の試験情報などまとめています


★What’s new 『介護EPA人材が試験免除で特定技能に追加されることに』 厚生労働省と法務省が、介護人材に対して新たな基準を設けました。 経済連携協定(EPA)のルールに基づき、介護福祉士の候補者として来日した外国人が一定の条件を満たした場合は、特定技能の資格試験を免除する方針を発表しました。 特定技能ビザを取得するには、本記事でご紹介している通り①技能実習制度を修了していること、②14分野ごとの試験および日本語能力試験を受けること、この2つのどちらかが条件となっています。 しかし、現状14分野ごとの試験スケジュールの多くは未定であり、介護分野においては先日ようやく1度目の試験が行われたばかりです。 今後不足が加速する、介護分野の人員を特定技能でカバーしていくためにも、特定技能ビザ取得の入り口を増やす狙いで決定されたと見られています。(5月17日最新情報)


★What’s new『技能実習の宿泊業で2年目以降も継続可能になり特定技能の可能性広がる』 今まで、宿泊業の技能実習生は1年間の第1号技能実習制度しか認められていませんでした。 今回の出入国在留管理局および厚生労働省の取り決めで、宿泊業の技能実習制度が3年まで延長可となったことに伴い、3年以上の宿泊業・技能実習2号を修了した人は、無試験で特定技能に移行することが可能になりました。 この条項は、パブリックコメント(意見公募)を経て、2019年7月に施工される予定です。 外国人技能実習制度内で80の業職種において外国人労働が認められていおり、今回新設された14業種のほとんどの業種は、外国人技能実習制度からの移行が認められる体制が整っていました。 しかし、宿泊業は技能実習制度内で1号の1年間しか期限が認められておらず、特定技能に無試験で移行する体制がなかったのです。(5月17日最新情報)

 

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今までの在留資格についておさらい

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日本で外国人がはたらくためには、就労を許可された在留資格を持つことが必要となっています。

在留資格ではたらくことが許可されていない場合は、資格外活動の許可を申請しなければ原則はたらくことができません。

※資格外活動についての詳細記事『外国人が日本ではたらくとき就労ビザが必須!資格外活動もあわせて解説

現在、在留資格(ビザ)には28種類ありますが、大きく下記の4つに分類してご説明します。




就労ビザ=働くことができる在留資格の種類

  1. 専門的、技術的分野

    1つ目に専門的、技術的分野の在留資格です。

    たとえば大学などの専門機関で研究職となる「教授」の在留資格や、外交、公用、芸術、宗教など専門特化のスキルがある人に対して与えられるものを指します。

    この中でも技能実習という制度は、日本で培われた技能や技術を外国人が習得し母国などへ持ち帰り、地域経済の発展に寄与するために作られた制度です。

    この技能実習制度ははたらくための在留資格ではなく、あくまでも日本で学んだ技能・スキルを開発途上地域に共有することが前提となっています。


    (外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能実習がこれに該当します。)



  2. 身分にもとづく在留資格

    身分にもとづく在留資格というのは、日本人の子どもや配偶者のことです。

    これらの人は日本人と同じように制限なく様々な仕事に就くことができます。(永住者、定住者、永住者の配偶者や日本人の配偶者が該当します。)



  3. 資格外活動

    資格外活動とは、留学生や家族滞在のビザで来訪した人の在留資格で、本来は就労が認められていない人が申請するものです。

    資格外活動の許可が下りれば、週28時間以内と決められた時間内での就労が可能になります。(文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在がこれに該当します。)



  4. 特定活動

    特定活動とは、就労の可否が指定される活動による在留資格のことです。

    外交官の家事使用人やワーキングホリデー、日本語学校などを卒業後に申請する、いわゆる就職活動ビザもこれにあたります。





これだけ在留資格の種類がありますが、働くことが認められる在留資格(いわゆる就労ビザ)でなければ、外国人は働くことができませんでした。

多くの就労ビザは働く職種や時間を制限しており、かつ就労ビザ取得をするためには一定の学歴が必要な状態であり、さらには単純労働を認めていないことが大きな特徴でした。

※在留資格の種類詳細については、下記記事もあわせてご確認ください。

在留資格って何?在留資格の種類やビザ(査証)との違いを解説







特定技能の在留資格が日本で生まれた背景

在留資格の中でも、資格外活動は週28時間の労働制限があります。

また、技能実習の制度は本来は労働目的に設定された制度ではなく、限られた分野の業種でしか就労ができないことがネックとなっていました。

一方、日本国内の少子高齢化はどんどん進み、労働人口の減少し続けおり企業の人材確保は非常に大きな課題となっています。

少ない労働力で日本経済をどう立て直していくか、という観点から働き方改革が制定され、よりダイバーシティ推進が注目されるようになっていきます。

ダイバーシティ推進・グローバル採用をより発展させるため、日本の人手不足を解消する目的で作られることになったのが今回の特定技能の在留資格なのです。

※働き方改革についての記事はこちら『人事担当者に紐解く「働き方改革」と「ダイバーシティ」の重要性


国内の外国人労働者は年々増加しており、2018年末には146万人となりました。直近数年の推移を見てみると、2014年の78万人から倍増となっています。

企業規模別の推移を見ていくと、30人未満の企業での外国人労働者の伸び率は顕著でした。

地域・産業別に見ると、東京を中心とした南関東エリア、そして飲食・宿泊業での採用がもっとも多くなっています。

今回の14分野の特定技能ビザでは、今後5年間で最大345,150人の外国人労働者を受け入れる見込みと発表されています。(※参照元 法務省HP 出入国在留管理庁『新たな外国人材の受入れについて』

直近5年間の在留外国人労働者数の推移は右肩上がり。2018年末には過去最高値の146万人を突破
 

業界別の在留外国人の分布

製造業・小売業・宿泊と飲食サービス業で過半数を占める。建設業や介護業界も増加が顕著

※特に国内で人手不足が顕著な、ブルーカラー領域での活躍が目立つ

 

国籍別の在留外国人労働者数

中国・ベトナムが圧倒的に多く近年インドネシアやネパールの伸び率も高い

※グラフの通り、中国を筆頭にアジア圏の労働者が多く、近年ベトナムやインドネシアが急増している






「特定技能」の特定産業分野の在留資格は『人手不足解消』が目的

この特定技能は、従来の技能実習とは異なりはたらくことを目的とした在留資格である点が大きなポイントとなっています。

日本人の採用が特段難しい14分野の業種に対して就労を認め、この14分野を特定技能の「特定産業分野」と呼ぶこととしました。

この制度は2018年12月に出入国管理・難民認定法(いわゆる入管法)改正案として可決され、2019年4月に開始となりました。





特定産業分野の14業種

  1. 介護
  2. 外食
  3. 建設
  4. ビルクリーニング
  5. 飲食料品製造
  6. 宿泊
  7. 農業
  8. 素材系産業
  9. 造船・舶用工業
  10. 漁業
  11. 自動車整備業
  12. 産業機械製造業
  13. 電子、電気機器関連産業
  14. 航空業





特定技能の特徴

従来の「技術・人文知識・国際業務」では実務経験は不要ですが、学歴に基準があるため少々難易度が高くなっていました。

技人国ビザを取得するためには、大学や短大など卒業する必要があり、かつ大学で学んだ分野と関連性のある仕事にしか付けないという制約もあります。

しかし今回の特定技能は「技術・人文知識・国際業務」とは異なり学歴や実務経験は問いません。

また、特定技能は人数制限を設けず単純労働を可としていることも大きな特徴です。さらに特定技能は同じ業種の中では条件を満たせば転職も可能となるため、技能実習のような制約が少ない点が特徴です。

今回の14分野に関して、基本的には直接雇用となります。しかし、農業と漁業の2分野に関しては派遣も認められます。

★ここでのPOINT

  1. 特定技能は学歴や実務経験の基準なし

  2. 人数制限なく単純労働OK

  3. 同じ業種で基準を満たせば転職OK

  4. 基本的には直接雇用だが、農業と漁業は派遣も可能







特定技能1号と2号の違い

2019年4月から新設される特定技能は、1号と2号と2つに分かれています。

特定技能2号は、特定技能1号を修了した人で希望した人に対して用意されている在留資格です。

①特定技能1号

  • 在留期間…最長5年

  • 技能水準…技能実習2号を修了した外国人は試験免除されます

  • 日本語レベル…日常会話のレベルで生活に支障ない程度のレベル。技能実習2号を修了した外国人は試験免除されます

  • 家族の滞在…不可、配偶者や子どもも不可

  • 単純労働…可

  • 学歴…問わない

  • 実務経験…問わない

  • 対象業種…介護、外食、建設、ビルクリーニング、飲食料品製造、宿泊、農業、素形材産業、造船・舶用工業、漁業、自動車整備業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業、航空業 全14業種




②特定技能2号

  • 在留期間…制限なし

  • 技能水準…

  • 日本語レベル…未定

  • 家族の滞在…可

  • 単純労働…可

  • 学歴…問わない

  • 実務経験…問わない

  • 対象業種…建設業、造船・舶用工業 全2業種




特定技能1号と2号の大きな違いは、2号の方が日本滞在の期間が制限無く更新できる点です。

また、1号では原則、配偶者や子どもを呼び寄せることができませんが、2号になれば家族滞在が可能になります。(兄弟姉妹は含まれない)



★ここでのPOINT

  1. ほとんどの業種が1号に該当

  2. 2号は日本での滞在期間が無制限になり家族滞在も許可される







技能実習と特定技能の違い

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特定技能の在留資格についてご説明するとき、多くの方が技能実習制度と何が違うのかを確認しているようです。

はっきりお伝えすると、特定技能と技能実習は制度の運用方法や目的が大きく異なるため、全く別物の在留資格として認識して問題ないでしょう。

〇技能実習の目的


技能実習の目的は国際貢献であり、労働が目的の在留資格ではありません。

〇技能実習のさまざまな制限と複雑な手続き

技能実習の受け入れを許可している国は15ヶ国と限られています。

また、技能実習生を受け入れるためには送り出し機関・事業協同組合・技能実習機構など各団体との複雑な手続きが必要となります。

これに対して、特定技能は『人手不足を補う』ために設けられた制度であり、受け入れ国は原則自由となっています。手続きに関しては技能実習と同様で複雑ではあるので、必ず行政書士や人材紹介会社、登録支援機関などを通して手続きすることをおすすめします。


※技能実習についての記事はこちら『外国人の技能実習制度とは/30.8万人が活躍する開発途上国への国際協力


特定技能のの在留資格の取得方法は『特定技能評価試験』合格か技能実習2号を修了すること

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特定技能は技能実習制度に比べると、外国人に対するハードルが低い印象があります。しかし、誰でも日本に入ってきて働き放題という訳にはいきません。では、特定技能の在留資格を得るためにはどのような条件をクリアすれば良いのでしょうか?

特定技能の在留資格を取得するためには、特定技能評価試験に合格するか、技能実習2号を修了するという2つの制限を設けることとなっています。

技能実習2号を修了するということは、満3年間の技能実習期間を終えることが条件ということです。

詳しく見ていきましょう。

特定技能評価試験に合格する

特定技能を取得する条件として、まず特定技能評価試験が挙げられます。

この試験は日本国内外で実施されている試験で、特定技能の14分野それぞれの専門知識と、業務に最低限必要な日本語レベルを確認するための試験です。

14分野で一斉に試験が開始された訳ではなく、2019年4月以降に実施されたのは、外食・介護・宿泊の3分野でした。

それ以外の分野は、それぞれが別の団体が試験を管理運営しているため、該当分野の試験スケジュールを自分たちで確認していかなければならないので注意しましょう。


求められる日本語レベルと試験実施国

特定技能の日本語試験で求められるレベルはN4程度と言われています。

また、日本語能力試験は海外でも実施していますが、次の9か国と協定を結んでいます。今後、この協定国は増えていく可能性もあります。

  • 中国

  • フィリピン

  • ベトナム

  • インドネシア

  • ネパール

  • タイ

  • ミャンマー

  • カンボジア

  • モンゴル


技能実習2号を修了する

技能実習制度の2号を修了した人は、特定技能評価試験を受けなくても特定技能の条件を得ることができます。

技能実習制度は、1号~3号と段階を追って進んでいく制度であり、1号は1年目、2号は2年目~3年目、3号は4年目~5年目という区分です。

つまり、技能実習制度で3年間働いた外国人は実務を通して一定の業務ができるレベル感とみなされるため、特定技能の在留資格に移行できる資格を得ることができるということです。


特定技能の受入れ方/受入れ機関と登録支援機関

特定技能を利用するには、外国人を雇用する企業が受入れ機関となり、各手続きや雇用を直接行っていく方法と、登録支援機関を通して出入国在留管理庁へ各種届出を行う方法があります。






受け入れ機関について


受入れ機関は下記4つの基準を満たす必要があります。

  1. 外国人と結ぶ雇用契約が適切

  2. 機関そのものが適切で直近5年間で出入国・労働法令違反がないこと

  3. 外国人を支援する体制が整っている

  4. 外国人を支援する計画が整っている

また、下記3つは受入れ機関の義務となっています。

  1. 外国人との雇用契約を確実に履行し報酬未払いなど不正がないこと

  2. 外国人への支援を適切に実施すること

  3. 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと

これらの義務を確実に行うことが必要です。

この中でも外国人を支援する体制が整っている、すなわち彼らの住まいのフォローや、語学スキルの研修、日本文化の教育などを受入れ機関である雇用主が完璧にできるかというと、すこしハードルが上がってしまいます。

そこで、受入れ機関にならなくても、次にご紹介する登録支援機関を通して外国人を支援する体制を整えることが可能です。









登録支援機関について

登録を受けるための基準は次の2つです。受入れ機関と同様に、外国人が問題なく就労できるように身の回りのサポートをすることが必要です。

  1. 機関そのものが適切で直近5年間で出入国・労働法令違反がないこと

  2. 外国人を支援する体制が整っている






登録支援機関は下記2つが義務となっています。これらを怠ると登録支援機関としての登録が取り消されることとなります。

  1. 外国人との雇用契約を確実に履行し報酬未払いなど不正がないこと

  2. 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと







登録支援機関の申請企業は増えていますが、申請後すぐに登録支援機関になれるわけではありません。

自社が受入れ機関となることの難易度が高く、登録支援機関の登録を待っている企業も複数あるようで、登録支援機関の登録待ちの間だけ外国人に対して特定活動(就労可)を付与することとなっています。

この特定活動は一時的なもののため、出入国在留管理庁や法務省のサイトを順次チェックしてください。


※法務省HP 新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)








まとめ

  1. 外国人労働者をより多く受け入れるために就労目的の在留資格である特定技能『特定産業分野』が2019年4月に14分野新設された。

  2. 特定技能は1号2号と分かれていて、大半は1号に該当。2号は特定産業分野に対する熟練した技能を要するため滞在期間が制限されず家族滞在可能に。

  3. 技能実習2号を良好に修了した人は特定技能に移行できる。それ以外の人は特定技能評価試験を受ける必要がある、開催スケジュールは順次公開中。

 
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