知らない間に違法行為?よくある不法就労助長罪のケースをおさえよう
不法就労助長罪とは、外国人雇用を行っている事業主が外国人を不法就労させた場合に問われる罪です。事業主が雇っている外国人の不法就労の事実を知らなかったとしても、在留カードを確認していなかったり明らかな過失があれば、不法就労助長罪として処罰の対象になります。
本記事では、よくある不法就労のケースをお伝えし、事業主が注意すべきポイントをご紹介します。
※2019年6月12日更新
代表的な不法就労の3つのケース
外国人在留総合インフォメーションセンターによると、不法就労は次の3つと定義されています。
不法滞在者や被退去強制者が働くケース
密入国した人や、在留期限が切れたまま在留し続けた人です。また、すでに退去強制が決まっているのに働き続ける場合も不法就労となります。
入国管理局から働く許可を 受けていないのに働くケース
観光などの短期滞在にも関わらず仕事をしてしまう。留学生や家族滞在、難民申請中の人が許可なく働いてしまう場合は就労許可を受けていないので不法就労となります。
入国管理局から認められた 範囲を超えて働くケース
与えられた在留資格の範囲を超えて、別の仕事をしてしまうのはNGです。また、留学生や家族滞在の人が資格外活動の許可範囲を超えてオーバーワークした場合も不法就労とみなされます。
不法就労助長罪とは?
外国人を雇用している事業主(企業)が、外国人に不法就労をさせること、不法就労のあっせんをすることを不法就労助長罪と言います。
ここでポイントになるのが、例え採用している外国人が不法就労していることに気付かなかったとしても、本来確認すべき在留資格や在留期間を確認せずに雇っていた場合は、事業主に過失があるとみなされてしまいます。
不法就労助長罪は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科せられる犯罪です。
『うちの店には取り締まりが来ないでしょ』と、油断していると痛い目を見ることになります。
最近では、不法就労の取り締まりが厳しくなっているので、疑いのある外国人は過去の就労履歴を遡って、いつどこで何時間働いていたか確認されることもあります。
外国人を雇用する際は必ず在留資格を確認する
外国人の雇用を行うとき、必ずチェックすべきなのは彼らの在留資格です。
在留資格ごとに就労の可否が定められており、留学生や家族滞在の申請する資格外活動のように労働時間が週28時間までと定められているものもあります。
そのため事業主は、採用する外国人の在留資格を確認して何の仕事ならできるのか、いつまで日本で働くことが許可されているのか確認をする義務があるのです。
外国人を雇用したら必ずハローワークに届出が必要
また、現在の日本では外国人を雇用する際、また彼らが離職をする際には必ず最寄りのハローワークに届出を行う義務があります。これは、外国人雇用状況届出書と言います。
例外)特別永住者と、在留資格の『公用』『外交』の外国人は届出不要です。
※詳しくは次の記事をご確認ください。
※厚生労働省サイト「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!
不法就労を見つけたらどうする?どうなる?
不法就労者を見つけた、いざ採用手続きをしようとした外国人が不法滞在者だった場合は、地方入国管理局に連絡することが第一です。
外国人本人も違法だと気付かずに放置しているケースがあります。彼らの在留カードを見て明らかに在留カードの有効期限が切れていたり、在留カードに記載されている在留資格とは別物の仕事に就いていると判明したら、彼らに地方入国管理局へ出頭するよう促すようにしてください。
雇用するときに在留カードを見せてもらえなかったら?
外国人を雇用するときに、もし彼らが在留カードを見せてくれない、または在留カードを持っていないなど話して来たら、雇用をしないようにしましょう。
なぜ見せてくれないのか?本当になくしてしまったのかを確認の上、地方入国管理局へ出頭するように促すか通報することがベターです。
在留カードとは、外国人が日本に中長期的に在留する場合は必ず保持するよう義務付けられています。
特別永住者の外国人以外は、在留カードがない限り、就労することができないと覚えておきましょう。
※在留カードについて次の記事で詳しくご紹介しています。
正しい雇用知識を身に着け不法就労に手を貸さないようにしよう
今回は、外国人の不法就労についてご紹介しました。
外国人の採用が増えてきている今こそ、改めて雇用に関する正しい知識を身に着けて、法令を遵守するようにしましょう。